Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

1月5日◇京都珍道中2日目

 昨晩は怖くて眠れなかった。先斗町で呑んで戻った時には体調もかなり悪くなってた旅の道連れI君が夜中に妙な唸り声を上げ、そのあとは今度は1人で笑い出すという奇怪な現象が起きたのだ。洋間の寝室は電気を消して真っ暗、彼の様子はうかがい知れない。電気を付けて確認もできるけど、もしも一日巡った寺社で、なにかが彼に「憑いちゃった」としたら、怖くて見るのもイヤだ。だから私はそのまま彼の気味悪い笑い声を聞かないふりして必死で朝の来るのを待った。
 

b0090333_11532951.jpg 京都の旅2日目は西北エリア。駅から電車に乗って嵐山へ向かい、ここから化野(あだしの)念仏寺へ。ここは徒然草にも書かれた古来の葬送地、空海がこの地に葬られた多くの死者の菩提を弔うためにこの場を作ったという。8000体もの石塔石仏が並ぶ光景はちょっとスゴイ。40年以上も生きてくると、こういう場を見て自分の死後にも思いをはせてしまう。京都の静かな山間で弔われた数千の霊たちが羨ましく思えたりして。


b0090333_11534418.jpg 嵐山の中心へ戻る途中で祇王寺(現在は真言宗大覚寺派の尼寺)に寄った。平清盛の寵愛を受けていた祇王が、出家してこもった家は琵琶法師の『平家物語』中屈指の哀話らしい。確かにこのひっそりとした小さな庵にはすべての感情を抑え、余計なものを排除した無常感たっぷりの空気がある。正月用に飾られた鉢前も京都らしい。

我々二人ともメジャーな場所よりも人の少ない場所が好きなので、ここからまた奥へ入って滝口寺を目指した。歴史オタクのI君は入り口にある新田義貞の首塚にも興味をそそられたようだ。
b0090333_1153572.jpg ここも『平家物語』に縁のある寺で、滝口入道と横笛の説話に由来している。ひっそりした境内には誰もいない。正月の京都でもこんな場所があるのかとビックリした。シンと冷えた境内には平重盛を祀る堂や平家供養塔もあった。


b0090333_1154694.jpg ちょっと気になっていたので、ついでによったのは落柿舎。松尾芭蕉の門人、向井去来が晩年過ごした草庵。庭にあった40本の柿の木の実が、嵐で一夜にして落ちてしまったことからついた名だというが、今もまだたくさんの柿の木が生えていた。
 本当に人生の侘びさびがわかってしまって、すべての欲が消え去ったら、こんな嵯峨野のなんにもない草庵で暮らそうって思えるんだろうか?なんて思いながらこの場を後にした。


b0090333_11541599.jpg さらに歩き続けてようやく出たのが桂川。これは紅葉の季節に来たらムチャきれいだわ。。。
 さすがにこのエリアまで来ると観光客でいっぱいで食事処には行列が出来ている。空腹に耐えられず、ついついコロッケや豚まんを立ち食いしたけど、これがまた美味しい。桂川のほとりに座って簡易ランチを済ませて、次に目指したのが大徳寺。


 臨済宗大徳寺派の大本山、大徳寺の境内はムチャクチャ広い。全部を見てたらおそらく1日かかるだろう。南禅寺と並んで京都の五山に位されたこの寺も室町には一時衰退、応仁の乱後に一休禅師たちが復興させたり、秀吉が信長の葬儀を行ったりして武将とつながり、千利休ら茶人とも関わりができて現在に至るらしい。
 夕方5時半に名古屋に戻る新幹線を取っちゃってるから、ここからは急ぎモード。


b0090333_11545165.jpg 瑞峯院、室町時代のキリシタン大名、大友宗麟公が創建。方丈前の枯山水の砂利は他で見たものより大きくてゴツゴツしている。波も豪快で雄雄しい。方丈裏には閑眠庭という、珍しい十字架の庭があった。古いものではなく60年代にキリシタンである大友にちなんで7個の石をクロスに見えるように配置したものらしい。


b0090333_1155014.jpg 龍源院、畠山義元と大友義長が創建した大徳寺の塔頭で、本堂も表門も当時のものという、大徳寺内で最古の建物。四つの庭園の中でも、方丈東にあるミニ枯山水はキレイだった。「東滴壺」と名づけられたこれは日本で最小サイズ。格調高い石庭と言われているそうだ。小さな空間の中に、これだけ深く上品な庭をミニマムで造れるというのは、本当に日本の庭園技術のレベルの高さがスゴイってことなんだろう。

「あんたも新しいスタジオの横に砂利敷いて、修行だと思って毎日枯山水の波を作ってたらいいんじゃないの」
と建築家のI君。
 そうだねぇ~、人生を悟るために、こういうのは有効な修行になるかもしれないね…。

 メインの大徳寺へは行かずに、高桐院をさらっと拝観してそのままバス停へ向かった。京都まで名古屋から新幹線でたったの50分。これからはもっと京都へ行きたいと思う。最近、もっともっと勉強しなくちゃと思っている日本の歴史に触れるためにも、帰国するたびに京都に行けたらいいかもなぁ。
by midoriart | 2008-01-05 23:51 | Japan