Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

1月4日◇京都珍道中

 2年前、韓国で開催された美術展を見に行った大学の同級生I君は建築家。昨年末に私が実家に建てたスタジオの設計者でもある。大学時代から20年以上のクサレ縁、互いに独身という自由な身であることもあって、なぜか一緒に旅することが多い。
 今年の旅行は京都。ついでにお互い「ネットカフェ難民」の初体験もしちゃおうと言ってたけれど、42歳にもなって正月早々難民もないだろうと、ちゃんと宿をとることにした。

 名古屋からはぷらっとこだまで約50分で京都駅に着く。初詣や冬休みの観光客でバス停はものすごい人。格安の宿は三十三間堂のすぐ近くなので、タクシーで宿へ向かい、荷物だけ預けてすぐに寺社巡りを開始した。

b0090333_23281783.jpg  まずは三十三間堂。さすが、京都駅からも近くて有名所だけあって混んでいた。千体の観音像が壇上に並ぶ様子はなんとも荘厳。その手前には国宝の観音28部衆像が並ぶ。インド起源の神々が多いから、バリ・ヒンドゥーを学んだ私には馴染み深い神さんたちがたくさんいて嬉しい。リアル表現のため、目に水晶をはめ込む「玉眼」技法が使われている。正月の混雑じゃないときにこれだけの数の像と静かに向かい合ったら、それはそれはすごい感動だろうと思われた。

b0090333_23282776.jpg これは大弁功徳天像、吉祥天。ヒンドゥー教でいうところのヴィシュヌ神の妃、ラクシュミ。蓮の花に乗っている富と幸運の女神で、私がサラスワティ(仏教では弁財天)の次にお気に入りの女神さんだ。
 

b0090333_23283747.jpg ここでお昼タイムを入れ、後半は南禅寺から銀閣寺までの哲学の道を歩くことにした。南禅寺も有名だけあって参拝者はたくさんいる。レアな場所が好きな我々としては気が向かない。そこで古都の寺社とはちょっとミスマッチでおもしろい水路をくぐり、南禅寺横の南禅院に行ってみた。こっちにはほとんど人影もないから静かな庭園をゆっくり見ることが出来た。


 哲学の道を北上して、次に寄ったのが大豊神社。ネズミの狛犬がいるというので、気になって行ったのだけれど、なんせ神社だから新年のお願い事をしに来る人で、寺への参拝者の数とは比較にならない混雑ぶり。さらに今年はネズミ年ということもあり、狛ネズミの社へは行列が出来ている。どうしたものかと思ったら、

b0090333_23285574.jpgなんと!ここにはそれ以外にも狛犬ならぬ、「狛サル」がいた!!!これは予習した中に出てこなかった情報だったので、現地で大感動。狛ネズミのことなんてほっておいて、狛サル様のいる祠にだけ参ってきた。


  1月の京都は寒い。3時を過ぎて、空気はどんどん冷えてきた。旅の相棒I君は京都に着いたときから熱っぽい顔で、風邪薬まで買ってる状態。それでもたった二日の京都旅行で、見ようと言ってたリストの場所を回らないのは気持ちが悪いというので、思い切り早足で最後の目的地、銀閣寺(東山慈照寺)を目指した。普段の拝観は4時半までだけれど、正月の時期は30分長く拝観できるようにしてあったので、運良くギリギリの時間で寺内へ入り込むことができた。

b0090333_23291912.jpg  本当の名は慈照寺。足利8代将軍が建てた山荘を、後に臨済宗相国寺派の禅寺としたもの。建築家のI君いわく「銀閣は建築やる人の教科書」らしい。たぶん、小学校の修学旅行で来てるんだと思うけれど、私の記憶は皆無。それに、この渋さはいくらなんでも小学生で理解するのは無理でしょ。

b0090333_23293280.jpg  観音殿(銀閣)のすぐ横にある向月台、そして銀沙灘はあまりに斬新で驚く。どこからこんなフォルムが生まれたのか、不思議でならない。カッコ良すぎ。拝観時間のギリギリだったために、ゆっくりと境内すべてのポイントを見ることができなかったのは少々残念だけれど、それにしてもスゴイ寺だと思った。てか、こういう建造物のよさがわかるようになるには、それなりに年を経ないと無理ってことなんじゃないかとも思う。昔の日本人のこういう「粋さ」に対しては、「参りました」と心から思う。


b0090333_23294166.jpg  I君と旅すると大きな特典がついてくる。彼はなんたって異常に歴史に強い。だから以前韓国を巡ったときも、豊臣が攻めた場所のことや当時の日本の状況など、全部話してくれるからガイドいらず。こっちが知らない歴史の疑問が、本なしでその場で解明されるからイージー&クイック。
 さらに建築についての知識もあるから、寺のひとつひとつにも詳しい説明付きとは真にありがたい。京都や奈良に行くならI君は必需。


b0090333_23294925.jpg 今日巡ろうと思ってた場所はとりあえずすべてクリアできた。いったん宿に戻り、次は夕食のために四条へ向かった。夜の先斗町をふらふらしながら、鴨川を眺めることのできる小さな居酒屋に入り、鍋とビールで腹を満たした。
「京都の楽しみ方はね~、一軒でゆっくりするんじゃなくて、何軒かで少しずつ食べて回るんだよ~」
というI君の言葉を信じ、一軒目で食事をセーブするも、当の本人が食べすぎてもう何も入らないとのたまわれる。嘘でしょ、I君…。人が食べていれば、ダイエット中の私も「やむをえず付き合いで」という自分への言い訳が作れるのに、相手がいないんじゃーそれもできない。結局最初の一軒で鍋と串カツをちょっとつまんでビール2本と焼酎を飲んだところで、京都の1日目は幕を閉じた。
by midoriart | 2008-01-04 23:26 | Japan