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Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

12月28日◇嫁入り道具のミシン

 今年の暮れは珍しく私が日本にいるので、母が張り切って大掃除をしている。そんなある日、母が私に言った。
「あの私のミシンね、ブラザーにあげられたらいいのにね。嫁入り道具で買ってもらったときに聞いたんだけど、輸出第1号だったらしいのよ」


12月28日◇嫁入り道具のミシン_b0090333_2203851.jpg 私が生まれたときから、いやそれより前の姉の生まれたときから、このミシンでどれだけの子供服を母は縫ってきただろう。もう50年以上経つのに、いまだ現役のミシン。私も昔はよくこのミシンで小物を縫ったものだ。けれど作業台にくっついたこのミシンは居間に入れることもできないので、今では廊下に置かれている。真夏、真冬では母が縫い物をするにも熱すぎたり寒すぎたりするために、数年前から母はブラザーのポータブルミシンを買って使っている。
 

12月28日◇嫁入り道具のミシン_b0090333_2205464.jpg
 ブラザーだったらきっと過去の製造品を保管してるかもしれない。私は早速ネットで調べた。「ブラザーコミュニケーション スペース(BCS)」という名のシャレた展示場がやっぱりあった。2005年に開催された愛知万博の年に完成したものらしい。
 ネットで館の見学予約をし、母が古いミシンを寄贈したい旨も伝えると、「28日の10:15からお越しください」すぐに返事が来たので、早速母と出かけた。


12月28日◇嫁入り道具のミシン_b0090333_221677.jpg 工場やブラザー病院と並んで建ってる洒落た建物。車を泊めて中に入るといきなり「Welcome廣田様」の表示!まるで立派な温泉旅館にチェックインした気分。寄贈のことを伝えてあったので、副館長さん直々に出迎えてくれた。結局私たちのもっていった写真からはハッキリとした製造年やモデルがわからず、後に私がメールで細部のデータを送ることにして、今日はこのBCSを見学させてもらうことにした。


12月28日◇嫁入り道具のミシン_b0090333_2211837.jpg 映像を見ることもできるのだけれど、ネットで見学申込した際にこっちは断ったので、コミュニケーション・ゾーンはスルー。次にヒストリー&テーマ・ゾーンへ。ここで初めて知ったのだけれど、ブラザーの最初は麦わら帽子!これが帽子の型。ここからブラザーは始まっているのだとは驚き。
(帽子の型が並んでいてカッコいい)

 帽子製造機に始まり、いわゆるミシン(ソーイングマシーン)、タイプライター、洗濯機などへ発展していく過程が、当時の商品の展示と共にわかるようになっている。母は自分の使っていたタイプライターや洗濯機があるから大喜び。
 

12月28日◇嫁入り道具のミシン_b0090333_221309.jpg お隣の部屋はワークスタイル提案ゾーンとして、最新機器が展示され、使えるようになっている。バリエーション豊富で、携帯電話の着信音の配信システム、からおけJOYフル、プリンター、そしていろんな刺繍ができるミシンなどが試せるようになっていた。私が一直線に走ったマシーンは自分の写真を撮って、その場でステッカーにするもの。モニターをタッチしてプリクラみたいにあっという間に作ったステッカーがこちら。


12月28日◇嫁入り道具のミシン_b0090333_2214384.jpg ちょうど年末年始の忙しい時期だったので、我が家にある母の嫁入り道具が作り主のもとへ帰れるかどうかの返事は年を越さなければわからない。母の人生はこのミシンと共にあったと言ってもいいくらい、本当によく働いてくれたこのミシン。このミシンから生まれた私のお気に入りのワンピースやパンツ、みんな覚えている。
(展示を見る母と案内嬢)


  今日の展示館を見て、このミシンが親元に返って、展示館にくる他の人たちにも観てもらえたらいいな~~~と心から思った。年明けの返事を心待ちにしている。
by midoriart | 2007-12-28 22:04 | Japan