Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

8月19日◆ジョグジャのヤング・アーティストたち

 今回の後小路さんの調査でメインになるのは、彼がここ数年あまり調査できずにいた、最近の世代のアーティストたち。ちょうど私はここ2~3年の間に、インドネシア国内と、日本(名古屋・東京)、つい先日自分の個展に合わせてフィリピンへもインドネシア若手作家の作品展を企画して持っていってたので、後小路さんが来イする前に、彼らの中から紹介できそうな作家を数人ピックアップし、スタジオ訪問のアポイントを入れていた。
 私の意見だけで若手紹介をしては偏るので、ギャラリー経営者でもありアーティストでもあるメラとニンディッティオなどからもそれぞれに、「今注目の若手作家といったら誰?」と質問してリストアップしてもらった。

 そして今日訪問したアーティストは3人。
 まず一人目はアブディ・スティアワン。ジョグジャカルタ芸術大学彫刻科を3年ほど前に卒業した。ちょうどその年に在インドネシア大使館から依頼されて、日本インドネシア交流行事の中で『What’s in Your Pockets?』展という現代美術展を企画中だった私は、彼の卒業制作に目をつけ、この展覧会に入れることにした。
 選考した作家は日本人3人とインドネシア人5人。売春宿の女たちをほぼ実寸大で彫った像にカツラや本物の靴を履かせた彼の作品は、入場者にとても人気だった。その後はどんどん精力的にこの人物シリーズを作っている。


b0090333_14796.jpg 最近は美術マーケットの需要もあり、50~60センチほどのミニ作品もたくさん作っている。
 

b0090333_1472547.jpg こっちは最新作で、売春婦とアマチュア・ボクサー。「都会」をテーマに、その中に生きるいろいろな職業、暮らしの人々を彫りたいと本人が語ってくれた。


b0090333_1474539.jpg そこから今度はエコ・ヌグロホのスタジオへ。彼は今ではインドネシアの若手の代表選手。海外展にも多く参加している。作品の性質上、搬入費用も少ない、制作費もそんなにかからないので、招待する側にとってもありがたいアーティストであるとも言えるけれど、単純にそれだけではなく、やっぱり彼の作品はとても魅力的だと思う。

b0090333_148251.jpg タシックマラヤ(西ジャワ)の刺繍職人とのコラボで作る刺繍作品のシリーズは、本気で一枚我が家に飾りたくなる。


b0090333_1482198.jpg いくつかの資料の中で、後小路さんが興味をもった作家がアンキ・プラバンドノ。写真家。
 彼はジョグジャの国立芸大写真科の仲間と一緒にMES56というアーティスト・ラニング・スペースを運営している。後小路さんが興味をもったのは、インドネシアの古い写真を500枚以上も集め、それを自分でカテゴライズするという活動。

 実際に会って話を聞いたらもっと面白かった。ジョグジャにたくさん出ている骨董品の夜店で、古いスナップ写真を集め、それを「一人」「家族」「祝い」などと分類していくだけにとどまらず、気になった写真があると、その写真の撮られた場所、撮られた背景(本当の背景ではなく、その時代の物語)を求めて、実際に場所や人探しの旅に出て、それをドキュメントしているのだ。聞いてるだけでおもしろい。昔TVであった桂小金治の人探し番組に似た感覚だ。


b0090333_1483814.jpg 彼の集めた写真の中には、こんなどこの国かわからない謎のカップルの葉書もあった。裏には「お誕生日オメデトウ」と手書きでメッセージが残っていた。まさかこれを書いた人は、これが巡り巡ってアンキの手に渡り、はるばる日本から来たご一行様に見られることになるなんて、思ってもいなかっただろう。


 興味深い作品を作っている若手アーティストたちと会えて、後小路さんも今日は満足されたようだ。インドネシアでも一番アーティストが多いと言われるジョグジャカルタで、すべてのアーティストを知ろうとするのは本当に大変なことだけれど、今日はその中でもみんながリコメンドするアーティストを巡れてよかった。私も普段はついつい世間話しかしないこの人たちと、こういう機会に深いところまで話すことができて収穫の多い一日だった。
by midoriart | 2007-08-19 22:45 | Yogyakarta