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Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

8月18日◆ワクワクのインドネシア美術調査

 九州大学から後小路さんがジョグジャにやってこられた。後小路雅弘氏は、福岡アジア美術館の開館時の学芸課長で、アジア美術の収集と研究の第一人者。今はアジア美術館を退き、九州大学で教えていらっしゃる。
 3年前に私がインドネシア現代美術の若手アーティストを紹介する展覧会を企画し、名古屋で展示したときに、せっかく持っていった作品なので、福岡か東京へ巡回させられないかと、骨折ってくださったのも後小路さんだった。そして彼の紹介で茅場町にあるBASE GALLERYへ『Passing On Distance』展は巡回を果たした。

 後小路さんとの再会は3年ぶりになるだろうか。彼の調査テーマである「近代アジア美術の中のモダニズム」をより深く調べるため、インドネシアの当時活躍したアーティストを訪ねていらしたとき、私はインタビュー通訳のお手伝いをしたのだった。
 そして今回は、もっと広い範囲で、いま現在活躍中のアーティストを含んだアジア美術の動向を知るために来イされた後小路さんに、アテンドする機会を得たというわけだ。


8月18日◆ワクワクのインドネシア美術調査_b0090333_1253591.jpg バンコクで2日間の調査を終え、そのままジャカルタからジョグジャまで移動してきた後小路さんご一行様を空港で向かえ、疲れを見せない4人(編集長1人と学生2人)と一緒にまずはアファンディ・ミュージアムへ。アファンディはインドネシア近代絵画の父といわれる人で、後小路さんはアジア美術館時代に個展を企画したこともある。すでに閉館していたミュージアムにいたアファンディの甥に事情を話し、中に入れてもらうことができた。


8月18日◆ワクワクのインドネシア美術調査_b0090333_12541690.jpg 今年はアファンディ生誕100周年のイベントがいくつか企画されているのだが、笑えるのはこのカブリモノのアファンディ。100個作って100人がかぶって街を練り歩いたっていうから、全盛期の麻原ショウコウみたいだ。すでに半分近くは売れ、今は50のアファンディ生首が美術館の中に展示されていて滑稽&不気味。


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 後小路さんが80年代に取材したアーティストには、すでに国際的になっちゃってる人もいる。「ジョグジャに着いた最初の夜はヘリ・ドノと一緒に夕食でもしたい」とリクエストがあったので、今ではインドネシアにいるよりも海外にいることの方が多いこの人にコンタクトをとり、運良くドイツから帰国したばかりのところを捕まえた。
 そしたら今日はちょうど彼も出品している展覧会のオープニングがあるというので、みんなでそろって昨年オープンしたばかりのジョグジャ・ギャラリーへ繰り出した。


 このジョグジャ・ギャラリーはジョグジャの中心、クラトン(王宮)の北広場の角にある。おりしも独立記念日翌日の今日は、この北広場で国民の英雄的シンガーソングライター、イワン・ファルスのライブが開かれていたものだから、ジョグジャ・ギャラリーへ行くにも道路は通行止めになってて進むこともできない。

実は我が家はこのエリアまで徒歩5分の距離にある。そこで車は我が家のガレージに入れ、歩いてギャラリーへ行くことにした。後小路さんの学生さんに、イワン・ファルスとは誰ぞと教えたいのだけれど、日本には彼に相当する人がいない。万人に人気で、政治的メッセージが強く、すでに年寄り(50前)なのに今でも高校生の少年たちが熱狂する。って日本じゃ誰だ?

8月18日◆ワクワクのインドネシア美術調査_b0090333_1255137.jpg ともかく、そういうスゴイ人のライブなので、一緒にいた国際的アーティストのヘリ・ドノには申し訳ないけれど、ジョグジャ・ギャラリーを目の前にしながらも、まずはイワン・ファルスの歌っている舞台へ近づいてみた。とても本人が見えるような状態ではなかったけれど、会場の熱気を体験することはできた。


8月18日◆ワクワクのインドネシア美術調査_b0090333_12551774.jpgそしてこっちがジョグジャ・ギャラリー。これも独立に関係した、ナショナリズムをテーマにした展覧会。
 

8月18日◆ワクワクのインドネシア美術調査_b0090333_12553452.jpg ジャカルタの女医さんで、若手アーティストに惜しみないサポートをすることで有名なメラニおばちゃんも来ていた。メラニおばちゃんは写真大好きなので、今晩は便乗してみんなでスナップ写真~。左から私、後小路さん、メラニおばちゃん、ジョグジャの作家、そしてベネチア・ビエンナーレ、光州ビエンナーレ他、海外展参加も多く、赤坂の国際交流基金フォーラムで個展もしたことのあるインドネシアの誇る(?)作家、ヘリ・ドノ。


明日からジョグジャ、バンドン、ジャカルタと後小路さんの調査に同行。どんな取材ができるか楽しみだ。
by midoriart | 2007-08-18 22:54 | Yogyakarta