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Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

5月22日◆猿の村キブガンまで

 午前6時起床。運良く集合場所になっているマリコさん主催のNGOオフィスはキドラ宅の斜め向かえにある。煙草を吸いにベランダに出たササンがマリコさんの車がくるのをチェックしてくれるので、それまでは家の中で待っていればいい。7時になろうとする頃から雨模様、そしてポツポツ降り出した。
 今日のキブガン行き、メンバーは大所帯。主催のコーディレラ・グリーン・ネットワークのメンバーが5人、そして代表のマリコさんファミリーが5人(だんなさんは運転手、そして3人のキッズ)、ドキュメント担当の男が本来1人のところ、なぜか友達2人も連れてきたために3人。そして私とササン、キドラ。

5月22日◆猿の村キブガンまで_b0090333_23433536.jpg  フィリピン名物のジプニーに荷物を積み込み、出発したのは最初の予定の午前7時を大きく回った8時。マリコさんのだんなさんのアーネルはキブガンよりもっと北の山奥出身なので、山道の運転には強いらしい。だからだ、私とササンを空港まで迎えに来てくれたときも、
「5時間なんて全然短い」
と言っていた。


5月22日◆猿の村キブガンまで_b0090333_23435014.jpg  マリコさんキッズに勧められ、途中はジプニーのルーフに席を取ってみた。これがなかなか気持ちイイ。キドラも私たちがはしゃぐのを見て、上ってきた。


バギオの町を抜けてどんどんと田舎道に入り、周囲に緑が多くなってきた辺りから、キドラの映画監督魂がもそもそ動き始めた。彼とアーネルは旧知の仲なので、平気で頼みごとができる。やたらジプニーが停まるなぁ~と思ったら、すでにキドラのカメラが回り始めていた。ここでストップ、あそこでストップってな感じ。
昨日まで体調が優れなかった私なのに、3時間ほど走った後に寄ったタバオ村で煮込み麺を食べて汗をかいたら、いきなり元気が出てきた。みんなの顔もやたらと明るい。自然は根本的に人にパワーを与えてくれるものなんだろうか。


5月22日◆猿の村キブガンまで_b0090333_23441389.jpg ノリノリのキドラの撮影につきあいながらのドライブなので、最初に思ってた所要時間ははるかに越えてしまったようだけれど、とっても楽しい道中。アーネルが運転しながら、山を指さした。
「あれあれ!アレがキブガンの猿だよ!」
村の中ではサンタクロースとも言われているらしい。
「ふん。何がサンタクロースだよ・・・。アメリカ文化に侵されて・・・」
とキドラがささやいた。
私にはワクワクしているゴリラに見えた。


5月22日◆猿の村キブガンまで_b0090333_23442861.jpg そしてこれも猿。
空を見つめて瞑想するゴリラのでっかい横顔。


こんな猿だらけの山々を通り抜け、午後3時過ぎにようやくキブガンに到着。小さな小さなシティホールの正面にジプニーを停めると、つい先日の選挙で新しく当選したというキブガンの市長さんが出迎えてくれた。
キブガンにはホテルは一軒もない。今回の陶芸ワークショップのために、市庁舎裏にある宿舎を貸してもらった。2つの大きなベッドを入れた部屋が4つ、ここに今日来たメンバーが寝なければいけない。私とササン、そしてキドラが「アーティスト組」とくくられて一部屋に入った。


5月22日◆猿の村キブガンまで_b0090333_23444555.jpg そして一息入れたところで、レイ君のもつ陶芸スタジオへ。
キブガンの子供たちと一緒に100個以上の猿のお面を作ったという知らせは、インドネシアを発つ前からもらっていた。でも子供のことだから、せいぜい円形の板に目鼻を粘土でくっつけたような猿面を想像していたら、なんのなんの!芸大の彫刻専攻学生かと思うほどの出来栄えに一同ビックリ。
急に焦り出す私とササン。いったい、我々は何を作ればいいんだ???


今日は着いたばかりで疲れているし、我々は明日から制作に入りましょうってことで、レイ君スタジオを後にした。久しぶりの合宿気分で宿舎に戻り、冷水の修行系水浴びを済ませる。宿舎の1階は市庁舎に勤める人たちの食堂になっていて、夕飯はここでまとめてお願いしてあった。

5月22日◆猿の村キブガンまで_b0090333_23445957.jpg これが夕食のメニュー。キブガン名物サヨーテ(瓜の一種)とフライドキチン。味は薄め。これでもキブガンの人々が見たら贅沢な食事だというから、山岳地帯の人たちがどれほど質素な暮らしをしているかわかる。


そして食後はキドラの短編映画上映会。20分ほどの映画は、彼が日本の竹寺へイフガオ地方の木彫り職人を連れて行ってトーテンポールを彫ったときの映像や、黒澤映画の映像の一部、フィリピンと日本の棚田の映像などがミックスされたものだった。スピーカーがなかったので台詞が聞こえなかったのが残念。

明日は半日陶芸のワークショップに参加して、午後からは個展の準備、ヒトの交換プロジェクトでここよりもっと山奥に入る。雨が降らないといいんだけれど・・・
by midoriart | 2007-05-22 23:41 | the Philippines