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Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

緑のメンタルケア効果

緑のメンタルケア効果_b0090333_0433933.jpg 午後、縫い子さんとこへ座布団を取りに入った。先回は私が子供の頃に着てた着物で作ったものが195個、今日はジョグジャの布屋で買った中国風モチーフの座布団100個が完成していた。これ、縫い子さん。被災した家の横にテントを張って暮らしている。後ろに見えてるミシン、ここが彼の今の仕事場。

 彼のところを出てから、私はなんだかすっきりしない気分だった。何かが足りない、何かが足りない。こんな気分の時はできるだけ穏やかな気持ちになって、自分の心の奥の奥の声を聞くようにしている。頭を使って考えれば、
「マニラへ行くための準備はできてるのか?買い足しておくべきものは?」
「制作は進んでいるのか?展示のためのアイデアは完璧か?」
といったことを一つずつ片付けていけばいいのだけれど、今日のこの気分はそれとは別な何か。
「たまにはすごーーーく美味しいものを腹いっぱい食べたいのか?」
実はこれ、食い意地のはってる私にはよくあること。何かが足りないと思って心の奥の声に聞いてみると、単に最近美味しいものを食べてないだけ。そんな時には大好きな屋台の鳥料理を食べに行ったり、ちょっと雰囲気のいいレストランで一品食べれば気が済む。

 でも、今日はそれでもない。でも絶対に何かが足りない。そう思いながら縫い子さんちから家に向かって車を走らせていてわかった!足りなかったものがわかったのだ!!!
 それは「緑」。ずっと被災地で瓦礫の山ばかり見ていたからなのか、心の奥で欲していたのは、「緑」と接することだったのだ。それが馴染みの植木屋を通った瞬間にわかった。私はすぐに車を停め、乾季でも面倒のかからない種類の植木を選んでもらった。後はお風呂にももっと植物を足そう、とにかく緑をいっぱい見たい。オバチャンに元気のいい鉢を選んでもらいながら、乾燥しきった心がじわーーーっと湿ってくるみたいでほっとした。本当に緑の力ってスゴイなぁ。

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 こんな感じに車いっぱいに植物買い込み、夕方だっていうのに、家の前(はそのまんま公共の舗道なんだけど)にある鉢にも植木を足し、お風呂にぶら下げることのできる植物を下げて一安心。あ、この自慢のお風呂については、過去の記事「私のお風呂場」を見てほしい。風呂場の壁をぶち抜いて、自分でデザインして、友人に手伝ってもらって手作りで完成させたオープン風呂。ガラス越しに犬二匹が覗く中でのバスタイムが楽しめる。


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 自然の力って本当にすごいなーと感動しながら、オレンジと赤の花が咲く植物(ゴメンなさい、名前は知りません)を道路沿いの鉢に移した。仕事を終えたらもう日が暮れていた。重い腐葉土を運んでたもんだから腰痛になっちゃったけど、そんなことより自分自身のメンタルケアができたことが嬉しい。私は今日の心の声で「緑」がメンタルケアに有効だとわかったけれど、いったい被災地の人たちにとっては、何がメンタルケアになるんだろう?そんなこともふと考えてしまった。

 数日前の報告にある写真を見て、バリのN翁が
「これ何?昨日地震がありましたっていってもおかしくない状況じゃないの。彼らはこれを2ヶ月もほっておけるんだね・・・」
と感想をもらした。私が被災者の肩をもって
「いえいえ、彼らだってこんな状況イヤだけど、政府の援助も届かないのです」
と言うこともできるんだけれど、でも毎日被災地を見てて思うのは、それだけじゃないんだな、やっぱり。
 インドネシアを旅したことのある人ならわかると思うけれど、たとえば衛生面一つとってみよう。日本人一般の感覚として「それは不潔」と10人が10人思うことがあったとして、インドネシア人一般の何人がそれを「不潔」と認めるかといったら、5人もいないんじゃないだろうか。そういう大きな感覚の違いがここにはある。

 第3テントのあるプンドン村では今も周辺は瓦礫の山、私はこれが気になって仕方ない。毎回そこを子供が走り回るから埃がたつ。テントの中も瓦礫の埃で真っ白になる。たぶん、日本人だったらここで瓦礫を整理したり、キレイに積みなおしたり、たとえば囲いを作ってその中に収めて埃がたたないようにすると思う。でも、彼らはしない。
 で、これは彼らが怠慢だからでも、面倒だからでも、また被災のショックで無気力になってるのでもなく、私は単純に「彼らにとってはこれが不潔でも不衛生でもない」からなんだと思う。気にならないから片付けない。それだけのこと。
 これをじゃあ私一人が、日本人の感覚で
「片付けましょうよ!不衛生ですからね!」
といっても始まらないのだ。とっても歯がゆいけど。

 つまり救援というものも、私が日本人の感覚で、「これをしたらきっと喜ばれるだろう」ってことが期待どおり彼らのためになり、喜んでもらえるかといったらわからないってことなのだ。だから最初に彼らの声を聞く必要がある。私が東とリサーチに時間をかけるのはそのためなのだ。押し付けの救援にならないためにも。

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 ま、少なくとも今やってる「こどもテント・プロジェクト」は、どの村からもかなり歓迎されてま~す。村人はメンバーの皆さんにとっても感謝しています。だからこれはまだまだ続ける。それとデスティが始めた「こども衛生ワークショップ」で歯磨きや爪きり、手の洗い方を習うってプロジェクトもずっとサポートしていく。

緑のメンタルケア効果_b0090333_049899.jpg そうそう、今日は芸大教授がリーダーになってる第4こどもテントの子供たちにも「こどもTシャツ」が配られた。これ、ホントに子供にウケがよくて嬉しい。ボランティアで入ってる外国人の姉ちゃんが
「OH!コレ、カワイイ!ワタシ、キタイ!」
って、無理矢理こどもサイズを着るのはやめましょう。まー無理すりゃ着れなくもないんだけど。
 大勢の子供がそろってこれ着てるところ見ると、ついついにやけてしまう。第4テントでは今日、こんな感じでみんな遊んだり、音出してみたりした。

緑のメンタルケア効果_b0090333_0494971.jpg ここの問題点はボランティアや教授の予定で毎日のプログラム時間がとっても流動的なこと。今後ここをどこまでサポートしていくかを決めるためには我々が随時チェックする必要があるんだけど、予定がハッキリしないのでちと困る。でも基本的には非常に有意義なプログラムを続けているので、今後もこのまま応援していきたいと思う。
 

 長くなったけど、今日はこんなとこ。私も心身ともに緑に救われ、メンタルがケアされた一日でしたー。そして今から緑いっぱいの自作風呂でのんびりさせていただくとする。日本は明日も休み。充実した休日をお過ごしくださいませ。

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by midoriart | 2006-07-16 23:41 | Jawa Earthquake