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Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

ジョグジャから1時間:古都ソロより

 昨日で私も参加していた大型展覧会「ジャカルタ・ビエンナーレ」が幕を閉じた。ジョグジャ地震の4日前に開会し、大災害のために国民はみなジョグジャに注目していたので、なんだか誰にも相手にされない展覧会になっちゃった感あり。残念ではあるけれど仕方がない。本当は展覧会の終了に合わせてジャカルタに行き、自分の作品は自分で搬出するつもりでいたんだけれど、今回は事情も事情なのでパスすることにした。主催者もわかってくれるだろうし、もともと作品返却はむこうの仕事。作品のセッティングに当のアーティストがいないんじゃーダメだけど、片付ける方は誰でもできるといえばできる。
 そして私は今晩ソロにいる。スラカルタとも呼ばれるこの街、ちょっと年配の方なら「ブンガワン・ソロ」の唄でご存知の街。ジョグジャと並んで今でも街の中心には王宮がある。ジョグジャ市内からは車で1時間強の場所にある。なぜ私がここにいるかというと、実はこれも仕事なのだ。私はジョグジャ唯一の日本語ガイドブック『ジョグジャ・サーフィン』の編集長(というとカッコイイけど、一人でやってるからこうなってるだけ)。最初は趣味みたくして始めたこの雑誌も今年で3年目、今ではジョグジャカルタ市観光局がスポンサーにつき、毎2ヶ月で発行している。奇数月の1日発行を目指しているんだけれど、今度の7~8月号はいったいどうしたものかと思案中だった。
ジョグジャから1時間:古都ソロより_b0090333_3561382.jpg 最近は東のおかげで時間が取れるようになったので、先日地震後初めて観光局長に会いに行った。こんな状況で当然なんだけれど、局長はかなりシボんでいた。自宅はヒビだらけ、建てたばかりのオープンハウスは全壊、さらに観光局の年間PR費用が削られ、それを被災地の教育施設建設に回すことになったらしい。
「ミドリ、日本のツーリストに、ジョグジャは大丈夫だってことをちゃんと説明できないだろうか・・・」
って言われても、今の状況で「ジョグジャは安全です」って誰が言える?それは無理だよ、局長。 それでもやっぱり今まで続けてきた発行をここでストップさせたくないので、今回に限り、ジョグジャ周辺特集とすることにしたのだ。先号に広告を載せてくれた5つ星ホテルがソロにある。写真を見てすごく気になっていたホテルなので、局長に頼んでホテルのマネージャーに連絡を取ってもらい、取材で泊まりたい旨伝えてもらった。向こうは喜んでOKしてくれたというわけ。そこで今日は一泊のソロ取材旅行とあいなりましたー。
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 毎日被災地の大変な状況ばかり伝えているので、今日はちょっと場所をソロへ移してみよう。まずこの写真見て欲しい。スゴイでしょ、まるでバリのリゾート・ホテル。

ジョグジャから1時間:古都ソロより_b0090333_454555.jpg このホテル「LOR IN」は敷地4haに112部屋、どえらい豪華なバンガロータイプも3軒ある。なんていってもプールがスゴイ。バリのリゾート地ならこのレベルはいくらでもあるけれど、ジャワって田舎くさいからこの手の洒落たホテルはジョグジャ市内ですらない。庭から装飾品から、オーストラリアのデザイナー入れてるっていうからうなずける。昨晩見てきた被災地の避難民テントとは180度違う世界にやってきて申し訳ない気もするけど、別に私も遊んでいるわけじゃないから仕方ない。今晩中に部屋でホテルの記事を仕上げて、なんとか7月の早い時期に「ジョグジャ・サーフィン」7~8月号を印刷に回さねば。ブログの読者から、日本でも手に入るかと問い合わせをいただいたけれど、今のところはインドネシア国内の日本人会、ジョグジャカルタのホテルや観光スポット、ツーリストインフォメーション、バリUbud周辺のレストランなどで配付している。過去の情報はジョグジャサーフィンの公式サイトの中でバックナンバーあり(最近忙しくて更新してません、ゴメンなさい!)。

 SOLO話が長くなってしまった。でも「こどもプロジェクト」は今日ジョグジャを発つ前にちゃんと東と打ち合わせ済み。今日はこどもテントをロケーションへ運び、設置を始めている班、子供たちの「おりこうさんパック」の内容を調達している班、プロジェクトのロゴ入りカバンのオーダーに行く班に分かれて動いているので、私なんぞ必要ないらしい。今日はこれだけの準備するので、義援金がかなり大きく動いた。今日までの支出で、ようやく過去の支出と残金が同じくらいになった。つまり支出が約150万円、残金が150万円といったところ。会計報告はまた近々。
 ところで東が住んでいるのは私の家からそんなに遠くない街の中、けれどジョグジャ市内では一番被災がひどかったエリアだ。昨日ロケーション視察前のミーティングで、初めて彼の家(いつもミーティングは私の家か、東グループのボランティア詰所でやっている)に行って驚いたけれど、こんな街中にあって、全壊の家もたくさんある。東んちから歩いてすぐの小学校がこれ。
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 ここに子供が集まり、こんなテントで勉強している。周囲は瓦礫の山。風が吹くたびにレンガの粉が舞う。想像するだけでしんどい。健全な環境からはほど遠い。今、被災地の子供たちは皆、これに近い環境で学んでいる。そして校舎が復旧するのはまだまだま~~~だ先の話。我々の「こどもテント・プロジェクト」でカバーできる子供の数は、被災した子供全部からしたらほんの一握りに過ぎない。けれど、我々のできる範囲で、できるだけ多くの子供たちに楽しく遊び、震災の恐怖から早く立ち直るチャンスを与えられたらいいと思う。


ジョグジャから1時間:古都ソロより_b0090333_484710.jpg そうそう、今日ホテルのスタッフにインタビューしていたら、中に一人、地震の激災地バントゥル県出身者がいた。彼の知人は妊娠中で被災し、夫と義理の両親を亡くした。近くにある実家では、実の両親も亡くなっていた。一瞬にして近しい身内を全員亡くしてしまった身重の彼女のことを思うと、気が重いと彼は話してくれた。
 そして彼は、地震の翌日が婚約式の予定だったためにやむをえず延期することになったという。偶然にも彼の家は「第3こどもテント・プロジェクト」の村の隣り。彼は私が説明するこどもテント・プロジェクト内容を聞きながら
「ボクはね、その企画には心っから大賛成です。今、子供たちはちょっと揺れがくるだけでも”アノ日“を思い出してキャーと大人にしがみついてくるんですよ。いつもおびえている。今、彼らを遊んでくれて、少しでもストレスから解放することを手伝ってくれる人には心から感謝します」
と言った。間違ってなかったな~「こどもテント・プロジェクト」。

ジョグジャから1時間:古都ソロより_b0090333_4121730.jpg 彼はよほどこのプロジェクトが気に入ったようで、7月初旬に決行する彼の婚約式に私を招待してくれるという。ちゃんとした場所があるのかと聞くと
「もちろん、ボクらの村は100%全壊なので、マトモな場所なんてないですよ。でも場所なんて問題じゃないですよ。テントでだった、ボクらの婚約式はできますからね」
と強く語った。
 そのとおり!キレイで立派な場所で婚約したら長続きするってもんでもなし、こんな大変な状況の中でも、しっかり手を取り合って歩いていくってことが大事なんだろうな。是非是非、婚約式には出席したいものだ。

 今日の新メンバーさん発表。
 大石麻美さん、嘉納愛夏さん、ヤマダ ユキコさん、田中えつこさん、アベ メグミさんの5名で合計40,000円の追加です。どうもありがとうございます。

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◆今は「こどもテント・プロジェクト」として遂行中の「救援パック・プロジェクト」に参加ご希望の方は、
http://midoriart.exblog.jp/d2006-05-30を見てください。
◆東って誰?って思う方は、当ブログの「新たな仲間登場」
http://midoriart.exblog.jp/d2006-06-05を見てください。
◆「救援パック・プロジェクト」隊員って誰?って思う方は「ジョグジャ救援パック小隊:隊員紹介」
http://midoriart.exblog.jp/d2006-06-14を見てください。
by midoriart | 2006-06-26 23:53 | Yogyakarta