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Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

充実の救済パックとドームテント・プラン

 朝8時に東が昨日の報告に来てくれた。しかしコイツすごいわ、連日ボランティア・グループの指示&自ら運転してるから相当疲れてるだろうけど、若いってイイなー、疲れを感じさせない。目は真っ赤っか(ここまで言うのが名古屋弁)なんだけど、シャンとしてるわ、偉い。そうそう、彼ら一団のことをまだ詳しく話してないけど、東はジョグジャ市内にあるアキンド(「商人」じゃない)という専門学校の講師。教えているのはカメラ&編集。ジャカルタのフリーランス・カメラマン協会にも所属している。
 東はおいといて、私にはインドネシアに長い日本人の友人Sさんがいる。一度も同じ街に住んだことはない。私のバリ時代は彼はバンドン(西ジャワ)、私がジョグジャに移った頃に彼はジャカルタへ。Sさんはバンドンでもジャカルタでも演劇舞台、撮影の勉強をしていて、実はインドネシアではちょっと有名。TVコマーシャルや映画にも出演している。ジャカルタにSさんの才能を認めている若手の監督がいて、その人が東と同じフリーランス・カメラマン協会の仲間なわけ。
 ちょうど私が今回の大きなミッションを受け、ブラムとマヤの助けを借りて動いていたものの、彼らが職場に戻ることになって困ってたその夜に電話をくれたのがSさんだった。
「ミドリさーん、ボク今ジョグジャなんですよー」
「えー?! Sさん、何してんですか?」
Sさんはときどき撮影でジョグジャに来る。来たという連絡はくれても、仕事が忙しくてめったにゆっくり会ったことがない。
「実はねー、ジャカルタから救援物資積んできたんですよー。ジョグジャの仲間と一緒にボランティアすることになって・・・」
って話だったので、私のミッションをこれに混ぜることができないかと相談したのがきっかけ。

 Sさんに聞いてわかったけど、インドネシア映画界ってのは仁義の世界で、借りた恩は必ず返すって感じらしい。Sさんの監督はよくノーギャラで東の助けを借りてるらしい。だから逆に東が困ってると聞けば、監督は何をおいてもジョグジャまで来て彼らを助ける、イイじゃん、仁義。東グループ(スタッフは東の学生が多い)は被災地へできるだけのサポートをしようと、自分たちの持ち出しの金で買えるだけの物資を買って被災者へ送っており、どうしても出せるだけの金がなくなったら、やむをえずやめるしかないって状態だったところへ義援金いっぱい持ってるけど迅速にさばききれない私との出会いがあったわけ。私にしてみたらSさんと長いつきあいの東だし、監督ってのはマヤの大学時代の同期生でもある。ってことで信用できる友達の輪が広がり、一緒に救援デリバリー・ミッションを動かしていくことになったという経緯。

充実の救済パックとドームテント・プラン_b0090333_0411354.jpg で、昨日と今日で東たちが運んだパックは米、油、砂糖など台所で必要となる消耗品をまとめた「OKパック」(私がいろんなパックを生み出すので、彼らも対抗して今回OKパックを作ったらしい。けどネーミングじゃ私が勝ってると思う)53パック、台所の必需品と下着、毛布をセットにした「節約パック」58パック、毛布と下着(成人女性・男性用から子供用までをまとめた)「あたたかな夜パック」57パック、簡単に服用できる市販の薬をセットにした「健康パック」8パック、「オンリー乳パック」109パック、昨日私がリクエストした小学生対象の「賢い子パック」(小さな手提げかばん、鉛筆、消しゴム、定規、水筒)15パック、それと今朝私がキャッシングして購入したテント97枚もデリバリー済。速いわ、ホントに。充実の救済パックとドームテント・プラン_b0090333_0413484.jpg
充実の救済パックとドームテント・プラン_b0090333_0415571.jpg行った先で乳飲み子抱きかかえたママたちに喜ばれるとすごく嬉しいみたい。そりゃそうだわ。私も自分で渡しに行って、粉ミルク見たママが安堵の色みせると、「よかったぁ~・・・」って思ったもの。ミッションとしてやってんだから、受け取る方が喜んで受け取ろうが、もらって当然って顔して受け取ろうが、文句言ってられんけど、やっぱ喜んだ顔見ると元気出る。救援メンバーの愛が正しい住所に運ばれたって気がしてほっとする。
 
 で、実は今日は私はまたオフなのです。東グループのおかげ。
上記のようなまだまだ必要な物資デリバリーは、東配下のスタッフで充分任務遂行できるから。でも夜に連絡あって、今日中に明日の物資調達したいっていうので、でっかいスーパーで待ち合わせて、かなり買い込んだ。彼らももう大量ショッピングにも慣れたもんだわ。
 そういえば最近登場回数多いこの東、大学の同期がいらん心配してるんだな。
「ボランティアを足掛かりにエエ男見つけたって話になるんじゃないだろうねー。さすが単なる人助けで終わらないところはアンタらしい。でも、それもいいと思う」
ってねー、あんた何を間違えとるんかねー・・・。
東はもう妻持ち。今回のボランティアのため、妻子を妻の里へ返してのお努めらしいわ。だいたいあんた、本物の東幹久には悪いけど、アレは私の趣味じゃないっつーの。だったら自衛隊のお兄ちゃんたちの方がずっとエエ男多いわぃ。

 ま、でもこの口の減らない同期君、私の相談に答えてちゃんとドームテントのプランを送ってきてくれた。実は今デリバリーしてるテントってのは、日本にもよくある青のビニールシート、全辺に穴があいてるもの。大きさは4x6mとか5x7mとか。現在被災で家を失った人たちに必要なのはこのテント、我々も頻繁に物資を追加している。ただ、本来テントじゃないわけで、設置の仕方が問題。夜には冷える被災地で、グランドレベルまでがふさがれていないと地面との隙間から冷気が入ってきて寒い。大雨の夜には雨水のはねっ返りが入ってくる。最近こうしたコンディションの悪さから、下痢や風邪になる子供が増えているので心配だった。これをどうにかして改善したテントの貼り方を提案し、我々のサンプルをみて、被災地の皆さんで直していけないかって案。そこで同期の減らず口君が提案してくれたのがコレ。
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 竹ならいくらでも手にはいるので、しならせてアーチ状にして地面に打ち込み(強化のためにはベースを少しセメントで固めてもいいかも)かまぼこ状のドームを作る。今日東がこのプラン図を持ってったので、どんな感じで作れそうか、暑くないか(涼しいわけは絶対ないけど)実験してみることになった。減らず口君よ、ありがとう。
ところであっという間にもう週末じゃん。被災から2週間かー。新月に地震がきて、明日で満月だもんね、半月ってことね。しかしここ数日震度4くらいの余震が続いててビビるけど、もうやめてよーこれ以上。ヘルメット置いて寝る緊張感からは早く解放されたいものである。

 さて今日の新メンバーのみなさん。
シラネ カズミさん、フジイ ノゾミさん、夏目房之介さん、ハシモ(メ)ノリコさん、{加藤さん、藤田さん、山口さん、毛さん、持松さん、広瀬さん、稲鍵さん、津田さん、半田さん、高鳥さん、森田さん、牛島さん}(サントリーデザイン部)、クラタ カツトシさん、ヨコヤマ クミコさん、タナカナカガワさん、ウエダ フミコさん、ヤスタケ サトミさん、フジイ アキコさん、ジョウグチ トモミさん
以上の12名で計168,448円。

 明日は久しぶりにブラムと合流、彼の仕事場は激しい被災地であるバントゥル県だし、東グループの事務所もそこにある。アメリカ軍がサッカー場に作ってる診療所ってのもチラッと見てみたいし、午前中はぐるぐる回ってみてこようと思う。また明日の報告をお楽しみに。
by midoriart | 2006-06-09 23:52 | Jawa Earthquake