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Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

救援パックNO2:夜のデリバリー

 う~眠い、今日は6時起き。っていうのも、通訳ボランティアをするため。昨日から日本の自衛隊が入ってきてて、友人Yさん(ジョグジャ在住の日本人)のレンタカー会社から6台チャーターすることになったのだ。彼女は運転手と車のコーディネートが仕事なんだけど、インドネシア語の話せる日本人ってことで、通訳業務も任されかけていて一人で大変だったのだ。人出も足りないし、少しだけ私のヘルプが欲しいってことになったわけだ。
 なんせ私は昨日の時点で救援パックの申し込みがあまりに多くてクラッ・・・としてたので、今日は午前中の物資購入をインドネシア人の友人に任せ、「息抜きに」自衛隊のボランティアに行くことにした。ひょんなきっかけで私も援助活動に関わることになっちゃったし、今日は少し、「守る人がいる」自衛隊のプロな動きってものを見せてもらって参考にしよう!と20名ほどの自衛隊員がいるホテルを目指す。小奇麗なホテルのロビーに迷彩色のおじ様&お兄様方がいる様子はそれだけでなんだかとっても緊急事態って感じがする。近くでこんな人数まとめて見たことなかったけど、意外とカッコイイ人もいるじゃん(私が迷彩色オタクなのか?)。
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 今回第一に派遣されてきたのは自衛隊の中枢部隊。明日以降大量に入ってくるフィールドの隊員たちの受け入れ態勢、救援(今回は医療系がメインらしい)の段取りやロケハン、こっちの要人たちとの連携をコントロールする立場の人たちだ。ごっついGIジョー・オヤジを想像してたらみなさん意外と若くてマイルドなイメージ。皇室じゃないけれど、「開かれた自衛隊」ってか。私は隊員の衣食住を確保・コントロールするセクションの三名をアシストした。写真はその中の一人で会計関係を担当しているMさん。自衛隊員の階級とか、空陸海のユニフォームの見分け方とか、自衛隊手帖なんかも見せてくれたりして、結構感動。あの人たちの肩についてる階級ごとの「星」が、ホントは星じゃなくって「サクラ」だったことに今日は一番感動した。かわいいっ!!
 さらに会議室の雰囲気っていったら、一般市民じゃなかなか見れないから、戦争映画好きの私はなんだか一人でワクワク。現場ではホントにランボーやシュワちゃんみたいに顔も緑に塗りたくるのか?とか、海軍で船酔いテストとかってあるの?とか、私のくだならい質問一つ一つにちゃんと答えてくれた。
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 って喜んでる場合じゃないんだよ。
 今日の救援パックの買出しったら、半端な量じゃないんだから。物資あるかな?私のおんぼろスターレットでは、何度も買出ししては家に積下ろしてって繰り返さなくちゃならない。自衛隊員をアシストしながら、今日は私抜きで物資調達に回っているブラム夫婦(現在のところ、私の小さなデリバリー活動は我々三人で動いている)に電話して途中確認をとる。今日は昨日まで調達が難しかったテント、ブランケット、粉ミルク、生理用ナプキンなどがかなりの量で仕入れられていると彼らの報告。ちょっとホッとして、夕方までは自衛隊のアシストに徹することにした。
 
 そして夕方から自分の活動に戻ることに。ホテルまで私の車でブラム夫婦に迎えに着てもらい、物資調達へ。救援パックNO2:夜のデリバリー_b0090333_3274246.jpgとにかく昨日の時点の25パック分の物資を早く揃えてしまいたかったけど、なかなかそこまでの買い物はできない。とりあえず朝から夜7時までに15パック分の物資は調達。しかし、仕事はコレだけではすまない。明日は丸一日物資のデリバリーに出るので、その前に今日買った物資をパックごとに詰めなければならない。灯油は2リットルごとに分けてプラ容器に移さなければならない。このへんの作業はブラム夫婦んちの弟夫婦や、被災して居候している若者たちが手伝ってくれた(実はこのへんの作業が時間かかるのだ)。私は家にいないことも多いので、結局今ではブラム夫婦の家が救援パックの物資置き場になっている。こんなことしてたらもう午後8時を回っていた。けれどブラムはどうもまだ余力があるようで、
「今晩のうちに5パックくらいいっとくか?」
という。
 もともと彼ではなく、私がやり始めたことなので、ここで
「えー、今日はもう眠いよ。明日にしようよ」
とはいえないし、なんせ日本から義援金送ってくださってる人にも申し訳ない。でもっともっと申し訳ないのは、今ここに毛布があるのに持っていかないと、今晩震えながら眠る子供がいるってこと。だからやっぱり動くことに。行き先はもうリストアップしてある。

 我々三人の仕事量を見かねたブラムのおじさんが3パックのデリバリーを引き受けてくれたので、今晩は2パックのお届けだけになった。一番ひどい被災地に夜9時過ぎて入るのはけっこう危険だ。特に最近では大量に夜中の泥棒が増えているので、見慣れない車が村に入ると村の夜警に警戒される。だから前もってデリバリーの町内にいる知人に連絡を取り、緊急に編成された町内の夜警隊詰め所で迎えてもらうようにした。
 そうやって今日の便は以下の町内へデリバリー済み。
1)ブンドゴロ村トゥリムルヨジョテス9丁目
 ここは40世帯の町内で4名の死者を出し、95%の家屋が全壊。
2)ジョガハン村サンデン5丁目
 68世帯、10名死亡。町内のすべての家屋が全壊。いまだにテントも足りていない。
3)クプ村ムルヨダティ1丁目
 40世帯、1名死亡、90%が全壊。
4)ムルトサナン・クロン村ポトロノ6丁目
 ここはブラム夫婦の知人が住む町内。54世帯で20%が全壊。他の村と同じくらいの被災だけれど、ここが問題なのは主要道路の奥の奥。政府の支援物資を届ける車が中に入ろうとすると、手前の町内でストップされ、末端に届かないという状態。町内での助け合いができているからいいものの、配給物資は非常に少ない。こんな感じで私のもっていったものを確認、受領してくれる。このオッチャンたち、夕涼みじゃないからね。ここで寝てるんだから、このゴザで。後ろに家も見えるけど、亀裂が入っていつ倒れてもおかしくない状態。誰もこんな中で寝ようって人はいない。手前の私は怒ってるんじゃなくて眠いんです。
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5)プレレッ村クダトン3丁目
 今回の救援物資の調達で行った大型スーパーマーケットのレジをしていた女の子が、私の買い物を見て、
「これは何?被災地へ送るんですか?いいことですよね。私も実はプレレッ村出身で、家がないのですがここに働きに来てるんです」
と淡々と語ったのだった。その淡々さが逆に私には妙にひっかかっていて(他の若者が被災したら救援されるのが当然って顔したのもいる中、何か彼女は違っていた)、私の携帯番号を彼女に伝えていたのだ。二日後、ショートメッセージで、
「うちの町内は全員テント暮らしで、料理もできません。支援があったらとても嬉しい」
と送られてきたのだった。だからできるだけ早いうちに、彼女にはパックを届けたかった。写真はデリバリーを手伝ってくれてるブラム。
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 ってことで、今日の5パックも無事終了~。
 明日は今日調達したものを10パックにして、一日デリバリーの予定。お届けリストもできている。
 はいいんだけど。
 最初は私、日本で私の知ってる人たちが、ジョグジャは私のいる場所だし。ってことで心配してくださったり、親しみをもってくださったりしてて、そういう人が今回の被災者に対して一番いいことをしたいっていう善意を、じゃあ私がせっかくこっちにいるから届けましょうね、ってことで始まっている。
 なのになのに、まったく予想もしなかった数の人々が賛同してくださって、救援パックメンバーがどんどん増えている。嬉しいけれど責任重大でちょっと怖い。帰ってきてメール開けるのにかなりビクビクしてしまう。で、励ましのメールを読んでウルっとして
「そうだよなー、頑張らなくちゃなー・・・」
ってまたガンバる気になっている。

 で、またここで今日の入金確認メンバーを発表なんだけど。もう集計するのが怖いよー・・・。後、振込み時の名前はカタカナで表記されてくるので、それとメールを照らし合わせてたりすると、とんでもない時間がかかるので、お名前をもともと存じ上げない皆様については、そのままカタカナ表記にさせていただきます。ここで時間をかけていると、寝る時間が減ってしまうので、今はお許しを!送っていただいたお金を確実に受け取ってますというお知らせだと思ってくださいませ。では、ネットバンクの表記順に:
 アライユウコさん、サクマヨウイチさん、ワタナベアイさん、オギノコウゾウさん、スズキトラヒトさん、池内秀行さん(大阪)、オオデカツヤさん、イワタアキコさん、匿名希望のもと同僚、ミツキノリエさん、高田よしきさん、アムリタ食堂(吉祥寺)、宮山明子さん、カネヒラヨシフミさん、ユギミサトさん、石井春雄&ハルミさん(名古屋)、マキハタアラタさん、長山ひろ子さん(奈良)、加藤家(稲沢)&葮川家 (名古屋)、葮川めぐちゃん&じゅりあん(名古屋)、ヤマグチコウイチさん、ソウダキョウコさん、マチノキミトシさん、{榊原晴勝さん、黒田千香子さん、キュー・リー・メイ・ジュリヤさん、杉野実さん、湯澤清美さん、山本敏子さん、小笠原克浩さん、佐藤絵美さん、伴友佳理さん、水野令子さん、水野亜矢子さん}(国際デザインセンター・名古屋)、鈴木正男&佳子さん、サカモトクリさん、ニシガキユウコさん、福武慎太郎くん(今は日本?)、セイキタマキさん、池上純子さん、ヤマウチトヨカさん、大坂クマちゃん(東京)、シマダサトコさん、ヤマザキユキさん、タジマレイコさん(武蔵野美術大学)、藤原惠洋さん(福岡)、ハヤシヒデアキさん、ワヤナベトモコさん、ユギミサトさん、カワモトタカシさん(京都文教大学)、カナザワムツミさん、土師ちひろさん(名古屋)、ヨウレイケイさん(日本在住の中国の方)、匿名希望(信楽の森のアーティスト)、ワカミヤミサさん、スギキケイコさん、ニワヒロシさん、ゴトウユウコさん
 以上です。カタカナ表記の方が多いってことはどういうことかというと、私とは今までに関係のなかった方、つまりまだ知らない方々ということ。それだけ勇気のある人が多いともいえる。私がまるまる使っちゃったらどうするの、この義援金?
見ず知らずの人に信頼されると、なんとも責任重大だ。。。今、この今日の入金を合計するのも怖い・・・。えっとですね、今日の分で627,500円です。62パック、追加~!

 昨日の記事でもちゃんと説明したけど、もう、ここまできたら即日配達はホントに無理ですからね、皆さん。預かったお金、確実に被災者のためになるよう使いますが、最初に私が考えていた、「あなたの義援金がすぐ目に見える形でわかりますよ」ってことはもう無理ですから、先に断っておきますけど。
 たとえば、ここまでの義援金集まったんだったら、車チャーターしてガバッと物資買って、トラックで配れば早いって思う人もいるかもしれないけど、結局それを政府とかがやってて、末端の人まで行き届いてない状況があるわけで。私はそれがイヤだから、ぽんこつスターレットで家族のふりして末端の人に「日本からの愛のデリバリー」してるのです。理想は「早く、本当に必要な人へ」なので、そうなると私としては自分の動ける量ずつを今救助の必要な人へ届けるって方法は変えられない。ガバッとどこか主要の受付所に物資を下ろして「ハイさようなら」じゃダメなんだから。それじゃー救援する側のエゴと自己満足なのですよ。そーいうのがイヤで始めたんだから。で、皆様はそれに賛同して救援パックのメンバーになってくださってると信じているので、私はこの方法で続けます。
 だから、昨日までのように毎回誰の便がどこへ行ったまで、細かい報告はできなくなりますけど、そこは許してくださいよ。毎日そこまでやるとなったらもう、会計からマネージャーからつけて組織にしなくちゃなんない。でも、こういうものは大きくなったら活動の内容も変わっちゃうのです。私はこの方法でできるとこまで続けます。そこはご理解を。

 今日はどんどん膨らんできてる救済パックの状況から、私の健康や負担を気づかってくれたバリの長い友N翁から電話があり、救済パックのパック詰めをバリから応援してくださることになった。彼、私が気合入れてやりすぎてある日突然パタッといくのを心配してくださってるのだ。こっちに来て手伝うとまで言ってくださったけれど、それよりは物資調達部分を助けていだけるだけで私の肉体労働時間はかなり減る。その部分は今後バリからお願いすることにした。翁、いつもありがとうございます。ってことで、今日計算した62パック分からは、バリ調達にしてパック詰めしてもらってこちらに送ってもらうことにする。

 あ、それからね、毎回デリバリーに行くたび、被災地の状況も刻々変化してるわけです。まさかこんな大きな額を扱うことになるなんて思ってなかったから、最初のパックの単位を1万円=1パック、これを町内単位で渡すって決めたんだけど、これはホントに必要最小限の物資のみ。ここまで義援金に余裕が出てきたんだったら、この1パックは2~3世帯のためのパックってことで、もう少し余裕をもって被災者に配ることにする。ま、そのへんの物資の内容については、バリの翁と連携して決定しようと思う。バリ調達便が動き出す前に、私は昨日の義援金の残りからまだ10パック以上を作らなくちゃいけないし。
 そんな状況をお察しくださいませ、メンバーの皆さま。とにかく小さな動きだけど確実に届いてますから。皆様の善意はガシっと被災者の皆さんに届いてますからね。あ、そうそう、今日の夜にデリバリーしたムルトサナン・クロン村ポトロノ6丁目の町内会長さんが、
「日本の皆さんにどうぞよろしく伝えてください」
とのことでした。最後に日本語で「サヨナラ~」って言ってたんでここで伝えておきますよ。
 明日のデリバリーでは、ジョグジャ在住の日本人Mさんが車を出してくれることになった。ってのも、地震発生から毎日毎日私のポンコツ車で奥地へ思い物資を運んでいたので、かなりくだびれちゃって、危ない状態になっちゃったのだ。エンジンルームがゴーゴーうなってるし。だから明日は一日私の愛車は休ませて点検に出す。Mさんの車は大きいから、物資も一往復で届けられそうだ。協力に感謝。
 ってことでまた明日の報告をお楽しみに。
by midoriart | 2006-06-01 23:59 | Jawa Earthquake