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Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

KODOMOプロジェクト・バンブー幼稚園視察

 ジョグジャ北部の活火山メラピが噴火をしてからあっという間に1年近くが過ぎようとしている。日本の多くの方々に支援をいただき、噴火直後の被災地で支援活動をしてきたKODOMOプロジェクトが、支援の締めとして建てたKODOMOバンブー幼稚園は4月20日に完成した。⇒幼稚園完成!
 半年近くたってようやく私も本当の幼稚園を実際に見に行くことができたので、ここで支援してくださった皆さんに報告させていただくことにした。
 
KODOMOプロジェクト・バンブー幼稚園視察_b0090333_1457535.jpg KODOMOプロジェクトは2006年の中部ジャワ沖地震のときに私がジョグジャの青年チャハヨと一緒に始めたもので、別にいつでもどこでも困った人を助けているわけではない。メラピ火山噴火のときには私は日本にいたので、何かしたくても何もできなかった。それでもジョグジャに関わりのある人が、なんとかして被災者の力になりたいということで、KODOMOプロジェクトの相方チャハヨに相談し、私が日本から義捐金を送り、何に使うかを相談して、彼が現地で動くという形で支援をしてきた。
(写真:私を迎えてくれる幼稚園の先生たち)


KODOMOプロジェクト・バンブー幼稚園視察_b0090333_151279.jpg 噴火したすぐの頃には日本の皆さんの義援金はその場で必要な物資になって避難所に届けられたが、その後、噴火直後の被災ではなく、噴火物が雨によってどんどんと下方の村に流れる火砕流被害が多くなり、そこで手を差し伸べてくれたのが私の大学の先輩、奈良美智さんだった(奈良さんのチャリティ・フリマについてはこちら⇒奈良フリマ
(写真:幼稚園が終わってお母さんのバイクに乗って帰宅する子供たち)


KODOMOプロジェクト・バンブー幼稚園視察_b0090333_1544713.jpg 今までは、私も日本へ送られてくるチャハヨの写真でしか幼稚園の様子がわからなかったけれど、今回はちゃんと自分の目で確かめ、使い勝手についても先生から聞くことができて嬉しかった。なにより、着いたとたんに幼稚園の園児54人が出てきて、一人ずつが私に握手をもとめてきた(ジャワ流の丁寧な挨拶)のが感動だった。
 今までチャハヨとは過去4つのバンブー幼稚園を建ててきたけれど、今回が一番気合が入っている。特に過去3つの幼稚園が5年目になり、長所も短所もわかってきたので、そこから学んだことが生かせたのもよかった。
(写真:年長さんクラス。最初は下部の黄色地にイラストを足す予定だったけれど、使用状態を見て、ここにゴチャゴチャと絵がないほうがいいんじゃないかということで、とってあるペンキ代は建物のメンテ費用に回すことにした)


KODOMOプロジェクト・バンブー幼稚園視察_b0090333_1591681.jpg 先生の部屋もなかなかキレイ。紅茶とお菓子をいただきながら、感想を聞く。
「とにかく、ここの幼稚園は子供からも親からも大人気なんですよ。遠くの教育関係者まで視察に来るんですよ」
「ジョグジャ知事(ってことは=ジョグジャカルタ王宮の王様)もとても興味をもたれて、2~3度いらしたんです」
「どうしてここの幼稚園が日本からの支援を得ることができたんですかって、みんなに聞かれるんですよ。私たちも自慢なんです」
などなど。かなり評判はいいらしい。


KODOMOプロジェクト・バンブー幼稚園視察_b0090333_15201831.jpg もうひとつ、おもしろい話を聞いた。インドネシアに賄賂が蔓延していることは皆さんご存知だろうと思う。私の相方のチャハヨは、自腹を切って動くことこそあれ、人から預かったお金に手をつけるなんてことはまったく頭にない「インドネシア人らしくない」人なので、私のこのブログ内、メラピレポートを見ていただければ彼がほぼ毎日被災地での活動をコマメに報告してくれているのがわかる。つまり、彼は今回も日本の皆さんから預かったお金をできるだけ有効に、被災地の人々に使うことにしっかり努力してくれていたのだ。
 そして、そんな几帳面で正直なチャハヨが現地視察して、支援が必要と思われたこの場所を見つけ、被災してつぶれた3つの幼稚園を合わせて建てたのが今回のKODOMO幼稚園。そしてその横には小学校も建つことになったのだ。こっちはインドネシア国内からの義援金が小学校の校長に対して送られた。建物はこんなバラックのようなもの。殺風景で風通しが悪くて勉強の環境としてはとてもいいとは思えない。


KODOMOプロジェクト・バンブー幼稚園視察_b0090333_1652819.jpg で、こっちが我々の建てたバンブー幼稚園。両方が出来上がったとき、小学校建設の義援金を送った組織の代表者が見にきて、小学校とバンブー幼稚園の出来上がりの差に驚き、チャハヨに建設費用(義援金総額)を聞いたところ、なんと小学校の義援金とほぼ同額だったそうだ。それで結局小学校校長の着服がバレちゃったというわけ。これは幼稚園から小学校の関係者、みんなに知れ渡ることとなり、校長先生は逆ギレしてチャハヨのことを恨んでいるらしい。その後、校長はバンブー幼稚園の邪魔ばっかりしてくるとか。


KODOMOプロジェクト・バンブー幼稚園視察_b0090333_1549221.jpg かわいそうなのは小学校の子供たちだよなぁ・・・。今後はわれらKODOMOプロジェクトのように、義援金の額、用途が透明で、着服のない支援がどんどん増えたらいいなぁと思う。多くの人が興味をもって視察に来てくれてるKODOMO幼稚園が、今後の被災地支援のひとつの良きサンプルになることを願って、やさしい幼稚園の先生たちと記念撮影。

 今までに送っていただいた義援金は、奈良フリマをもって全額をKODOMO幼稚園建設に使ったけれど、その後に送っていただいた義援金がルピアと日本円合わせて3万円ほど残っている。今回私が現地視察をした後に、その残金の使い道を考えることにしていた。そしてチャハヨと相談した結果、10月末、KODOMO幼稚園創立半年を区切りにして、そのときに必要な建物のメンテナンス費用として、残金を使うことにした。まだまだ普通の生活に戻るには長い道のりになる彼らに、できるだけよい環境で学んでもらうためだ。10月末のメンテ後には、律儀なチャハヨが必ず報告をしてくれるので、あとのことはどうかお任せを。

 今回をもって、KODOMO幼稚園の報告はいったん終了させていただき、義援金も打ち切らせていただきます。ここまで我々の活動に関わってくださった皆さんには、この場を借りてもう一度お礼申し上げます。
★スガノキヨミさま、8月22日、9月16日にお預かりした義援金は、幼稚園のメンテナンス費用として役立てさせていただきます。ありがとうございました。

KODOMOプロジェクト
廣田 緑・Cahayo Inda
by midoriart | 2011-09-13 22:51 | メラピ火山噴火