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Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

南山大学建築ツアーその1★アントニン・レーモンドの神言神学院

 私の母校である愛知県立芸術大学が吉村順三建築であることは、最近の新聞で芸大取り壊しの記事が多いためにわりと知られている。ところが、同じ名古屋(正確には愛知芸大は名古屋ではなく愛知郡長久手町)にある、吉村順三の師匠、アントニン・レーモンドによる建築群が今も現役で使われている南山大学のことは、意外と知らない人が多いのではないだろうか。
 アントニン・レーモンドについては南山大学のサイト内でも紹介がある。ボヘミア地方グラドノ(現在のチェコ共和国)に生まれ、1919年近代建築三大巨匠のひとり、フランク・ロイド・ライトの助手として帝国ホテル建設のために来日。その後1973年に85歳で日本を去るまで、第二次世界大戦前までの18年間と戦後の26年間のあわせて44年間を日本に滞在し、自然と風土に根ざした実用的で美しい建物を作り出した建築家として知られている。
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 そんなアントニン・レーモンドのコンセプトが丸々生かされて設計された南山大学。近くにあってもなかなかそんなことを考えて空間や建物を見るチャンスもなかったところで、ラッキーなことに南山大学で教鞭を取っている濱田琢司氏がキャンパスを案内してくださることになった。そして建築ツアー晴れの今日、普段はなかなか入れないレーモンドの空間の中にまで入ることができた。一回の記事にするのはもったいないので、小出しでいく。

南山大学建築ツアーその1★アントニン・レーモンドの神言神学院_b0090333_2130662.jpg 今日のツアーの一番最初の建築が神言神学院。円筒形の鐘楼を中心に5つの扇形をつないだ礼拝堂で、両端に神父さんたちの居住空間がある。いくつかの棟を案内していただいたけれど、私はこの建物がアノ時代の建築らしくてカッコいい~~~と思った。

南山大学建築ツアーその1★アントニン・レーモンドの神言神学院_b0090333_2132413.jpg 礼拝堂の空間も厳粛で神聖で一色ずつ配置した手作り感溢れるステンドグラスや塔のてっぺんから採った自然光の落ちてき方とか、ちょっとゾクッとする。内部の撮影はできないので、南山大学のサイトから写真を失敬した。

南山大学建築ツアーその1★アントニン・レーモンドの神言神学院_b0090333_21341932.jpg 入り口を抜け、礼拝堂へ向かう道はこんな感じ。木の扉も重厚。

南山大学建築ツアーその1★アントニン・レーモンドの神言神学院_b0090333_2135823.jpg これは1階エントランス部分の天井にあたる部分(バルコニー)から礼拝堂の横を眺めたところ。扇形が見てとれる。



南山大学建築ツアーその1★アントニン・レーモンドの神言神学院_b0090333_21362763.jpg 濱田氏に連れられ、このカテドラルの北へ歩みを進めると、グランドのような敷地があり、赤土が見えた。なんでもレーモンドは南山大学を設計するにあたり、この土地にある「赤土」の色を基調にしようと考えたそうだ。だからこの神学院にも、テラコッタ色が塗られている。そういえば南山大学のすべての建物が、新旧ともにこのテラコッタ色を基調としているわ。なるほど・・・


南山大学建築ツアーその1★アントニン・レーモンドの神言神学院_b0090333_2138413.jpg この堂々としたフォルム!一瞬、名古屋の街中にいることを忘れそうになる。この建物の機能についての紹介が最後になってしまったが、神言神学院は南山大学の設立母体である神言修道会が直接経営管理をするカトリック司祭・修道者・宣教師の教育・養成機関。一般の信者が礼拝するステンドグラスのきれいな礼拝堂の他、今日見学を許可してもらって(濱田氏のおかげ!)入った地下の礼拝所では、まさに宣教師になるべく学んでいる方々の講義室兼祈りの空間みたいなものがあって、こちらも異次元のような空間だった。

 今日の建築ツアーby濱田琢司氏、これはまだまだ序盤。南山大学の中にはまだまだカッコいいレーモンド建築がたくさん残っている。今日の濃いぃツアーの内容は引き続きこのブログにて。
by midoriart | 2011-08-07 22:14 | Art