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Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

3月2日◇さよならスターレット

3月2日◇さよならスターレット_b0090333_19494929.jpg ほぼ10年住み慣れたジョグジャの我が家。ジョグジャ王宮クラトンから徒歩5分の場所。住み始めた頃はまだまだ車の通りも少なくて、いかにも王宮エリア、城壁内の情緒ある空気が漂ってたもんだ。
 最近ではこの通りもジョグジャ名物「グドゥック通り」とか、「食のストリート」みたいに扱われ、週末ともなれば都会からやってきたローカルツーリストで賑わっちゃうようになっている。その騒々しさがここ数年、私を悩ませてきたのは確か。まーそれがジョグジャ撤退の理由ではないけれど。
 住み慣れた家をこうして道の反対側から眺めることなんてめったになかったけど、今日嫁ぐ(?)愛車スターレットを合わせて見ると、なかなかの感慨・・・。


3月2日◇さよならスターレット_b0090333_19534176.jpg 1986年製、黒のスターレット。まだまだ現役。私の走りはよほど派手で荒いらしく、友達に会うとよく
「ミドリ、この前XXXを走ってただろう???あっという間に走り抜けていったけどな・・・」
と言われたものだ。
 だってジョグジャの運転マナーってものが、あってないようなもので、ここで交通ルールを守って走ってたら、おそらく一生家に着かないと思ったときから、私はジョグジャの運転「私がルール」的に走ってきたのだ。かわいいハンドルはもちろんパワステなんかじゃない。切り替えしてるうちに汗ダクになる。でも今となってはこれで運転してるな~って実感となる。


3月2日◇さよならスターレット_b0090333_1956419.jpg まだまだ頑張って純正パーツで直してきたエンジンルーム。故障すればJAFを呼び、給油のついでにスタンドの兄ちゃんに空気圧を見てもらえる日本とは大違いのインドネシア。何事も自分でやらなくちゃいけない。24歳のスターレットを道連れに、私はいつも自分でここを開け、故障を直してきた。
「ミドリ、日本に帰ったらベンケル(修理工)としても生計立てられるな~」
と馴染みの修理屋に言われたくらい、自分でやってきた。
 別れる前に、スターレットの心臓部を開け、このルームにも別れを告げる。年期の入った黒さがカッコいい。


3月2日◇さよならスターレット_b0090333_200352.jpg 午後3時、私のスターレットの新しいオーナーが車を取りにやってきた。考えてみたら一度も愛車と写真を撮ったことがなかった。彼に頼んで記念の一枚。


3月2日◇さよならスターレット_b0090333_2005511.jpg 新たなオーナーは私が8年間つきあってきた印刷屋のマネージャー。私が印刷屋に行く度に、スターレットが気になって仕方ない様子だった。ここまで好きな人になら、乗ってもらえる車も嬉しいだろう。私も知ってる人が今後もコイツに乗ってると思うとなんとなく安心感がある。
 雨の日も、風の日も、本当によく動いてくれたわ、このスターレット。タイヤがパンクしてるのに、ジョグジャの道が悪いんだと数日気づかないで走ったこともあった。ラジエーターの水がこんなに早くなくなるなんて知らず、水なし状態で長時間走り続け、オーバーヒートからラジエーターに穴あかせたこともあった。それでもちゃんっと私の仕事に合わせて動いてくれた。日本だったらおそらく廃車となる運命だったろうけど、コイツはまだまだジョグジャの若者にファンがいる。もう一頑張りだ~!

 こうしてスターレットは嫁いでいった。後は10歳になる犬のモジャの婿入りを残すだけとなった。ジョグジャにいられるのもあと3日。
by midoriart | 2010-03-02 19:49 | Yogyakarta