Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

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 2月最後の日曜日、ずっと気になっていた岡崎市美術博物館の『芹沢銈介展』を見に行ってきた。この日を選んだのには訳がある。展覧会に合わせ、濱田琢司氏の「民藝の思想と個人作家-蒐集と創造-」という講演があったからだ。民藝好きの芸大時代の先輩と同期を誘って名古屋から小一時間のプチドライブ。

b0090333_22463998.jpg 別名「マインドスケープミュージアム」と呼ばれる岡崎市美術博物館は岡崎の中心からはちょっと離れた広大な公園内にある。車じゃないとかなり行きづらい場所だ。この奥に見えてるガラスの建物がそう。

b0090333_22265733.jpg 駐車場から歩いていくと、1995年栗生明によって設計された美術博物館が見えてくる。ガラス張のこの感じ、入ったらすぐに地下階へ向かうエスカレーターがある感じ、私は大阪の国立国際美術館を思い出す。
 そしてまずは入場券を買い、13時からの講演会入場整理券のために並ぶ。こういうものに並ぶという行為が、なんだかコンサートを待ってるような感じに近くて、私は一人わくわく感が抑えられない。芹沢銈介の展覧会で、民藝についての講演なので、待ってる人は言っちゃ悪いが私より上の世代の方ばかり。でもこんなにたくさんの人が講演会とかに興味があって、わざわざ整理券のために並ぶんだな~と、少し驚いた。


b0090333_22304810.jpg 整理券を無事にGETし、講演前にまずは腹ごしらえ。ここのレストランは景色がよくて気持ちがいい。しっかり食べて定員70名のセミナールームへ。濱田琢司氏の今日の講演は民藝のおこった時代のこと、その思想から蒐集についてまでのおおまかな話。民藝運動の中心人物ともいえる濱田庄司(左)、柳宗悦(中央)、河井寛次郎(右)らの写真なんかも出てきた。講聴者の中には、よもや今日の講演者があの益子の人間国宝、濱田庄司の孫とは知らずに参加した人もいたようで、学芸員からそんな説明があったら、「お~~~~・・・」と低く小さなどよめきが起こっていた。


b0090333_22562914.jpg 講演が終わってからようやく展覧会を見る。今回の展示品はなんと個人コレクション!染色家宗廣陽助氏が中年かけて蒐集した芹沢の作品はよく見られる作品以外にガラス絵や板絵などもあったりして、その数と種類には驚かされた。私がとくに好きだったのはガラス絵群。

b0090333_22373870.jpg 芹沢が強く影響を受けた沖縄を感じる作品も多々あった。


b0090333_22382231.jpg 棟方志功のときも、河井寛次郎のときもそうだったけれど、彼らの作品を展覧会で見ると、作品そのものよりも、彼らの生き方が強く前面に見えてきて、その真摯さに打たれる。地道な作業の繰り返しの中で、常に一つを追究していった姿勢に頭が下がる思いがする。
 今回も、素材と丁寧に真面目に向き合うことの大切さや、人として日々感謝する気持ちとか、そんなものを静かなトーンで教わったような、そんな展覧会だった。こんなに近いとは思わなかった岡崎市美術博物館。これからはもっとちょくちょく来てみよっと。
by midoriart | 2012-02-26 22:20 | Art

寒空のパフォーマンス

 まだまだ寒波の留まる2月の週末、久しぶりに岐阜まで足を伸ばした。一番の目的は岐阜県美術館で開催中の『円空大賞』展で今日行われる田中泯のパフォーマンス「場おどり」を見るため。第6回の今回、円空賞を受賞した田中泯は、展覧会会期中に岐阜県の数箇所で「場おどり」を見せる。


b0090333_1152297.jpg 名古屋の知人を誘ったところ、うまい具合に彼女には大垣で用事があったので、ちょっとしたプチドライブとなった。昼間はまぁまぁ日差しもあり、車に乗ってる分にはそれなりのドライブ日和。大垣市に入り、彼女が寄ったのは、枡屋さん。


b0090333_11524796.jpg 今回知ったのだが、日本中の枡のシェアの90%以上はここ大垣にある5つの枡屋さんでまかなわれているらしい。店内にはすでに檜のいい香りが漂っている。知人はここで自分の焼型まで持っていて、教え子のプレゼントには自分の研究室のロゴ入り枡を作ってやり、卒業式にそれに酒を注いで祝ってあげるそうだ。なんとも洒落たお祝い。


b0090333_11525720.jpg たしかに、こんなふうに型をもっておいて、なにかの折にプレゼントしてもいいし、でかめの枡を作ってもらったら、小物入れにして積んでおいてもお洒落だ。プラスティックの計量カップで米計らずに、これ使ってもいいなぁ・・・


b0090333_11531393.jpg 次に寄ったのはこちらも古そうなせんべい屋。ここは創業安政6年の田中屋せんべい総本家。ちゃんと店内に職人さんがいて、おせんべいを焼いている。さっきは檜のいい香り、今度はおせんべいの焼けるいい香り。う~ん、日本ってなんて贅沢な文化をもってるんだろう。大垣ってなかなかおもしろいなぁ。
 知人は仕事でよく大垣に来ていたので、空いてる時間を見つけては大垣のおもしろそうな店などをチェックしたそうだ。ここのせんべいも散歩で見つけ、ファンになったというんだけれど、確かにどのせんべいも美味しい。つられて私もビンズせんべいと「利休」という抹茶味のせんべいを購入。

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b0090333_1153446.jpg そしてようやく一番の目的だった岐阜県美術館へ。時間はすでに3時を回り、日差しはなくなり寒々しい冬空に一転。まずは館内の展覧会を見て、ここで気合を入れて防寒具を足す。なんといっても、今日の「場おどり」は美術館の外に展示してある榎倉康二作品の前なのだ。美術館ロビーにはすでにサッカー観戦でもするのかといういでたちの人々が集まっている。きっと始まるギリギリまでは館内にいて、始まったら野外へ走っていこうとしているのだろう。
 そして始まった「場おどり」。久しぶりに見る田中泯。寒さの中で、より一層空気が緊張する。休みの家族連れもいて、彼のBUTOHを見て子供が叫ぶ。
「ママ~!見て見て!変なオジサン!!!」
しかしそんな言葉に笑えないほど、田中泯がつくりだす空間はピンとしていた。
(写真は昨年9月に刊行された田中泯初のエッセイ集『僕はずっと裸だった』より)

 正直、耳も鼻も凍りつき、明日のわが身はどうなることかと気になってしまい、どうして2月にこれなんだ・・・と少々主催者である美術館に愚痴でも言いたくなったけれど、見られて良かった。泯の「場おどり」はまだこれからも2月18日、3月3日、3月4日と岐阜県内で行われるので、興味のある方はこちらでチェック⇒「田中泯 場おどり」
by midoriart | 2012-02-15 19:57 | Art