Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

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8月7日、南山大学で教鞭をとっている濱田琢司氏のガイドで、キャンパス内に多く残るアントニン・レーモンドの建築を回ったツアー報告の第3弾は先回に引き続きG棟。G棟はキャンパスを南北に走るメインストリートの両サイドにあり、それをつなぐ渡り廊下が2階にある。
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 写真右の扇型屋根がG棟の600人教室、左手に当たるのが「南山大学建築ツアーその2」で紹介したG棟の階段教室群にあたる。

b0090333_95841.jpg あの扇型の屋根は内側の構造とも密接に関係していて、そのままにそれが梁と天井の役割を果たしている。このコンセプトは神言神学院の礼拝堂とまったく同じだ。

b0090333_1001687.jpg 入り口の壁面には階段教室群を備えたG棟と同じくカトリックの信仰を表現したフレスコ画が描かれている。よく見てみると、かなり傷みがきているので、最初に描かれたときからどのくらい変わっているのかはよくわからない。なにげに置かれている木のソファもむちゃくちゃ味がある。


b0090333_1021768.jpg「実はこの棟のトイレもすごく古いんですよ」
という濱田氏の言葉で、女子トイレをのぞくと、確かにスゴイ。本物の石が使われてる!この小さめのタイル!レトロな高級感がなんともいえず良ろしい。手洗い場のやたらに広いスペースも、ホラー映画とかに使えそうな空間。

 このG棟の600人教室は、最近では使用頻度が減り、取り壊しなんていう話も出ているという。ここまで多くの学生を入れて講義するケースが少ないことと、昔の建築物にかかるメンテナンスの費用が莫大だったりもするらしい。愛知県立芸大の吉村順三建築取り壊しプランが出たときには、卒業生の建築家たちがみな反対の手を挙げたけれど、建築や美術の学部がない南山大学の卒業生・在校生に、レーモンド建築の意味が分かる人はあまりいないかもしれない。
 でも、南山大学の良さって、広いキャンパスの中で統一されたレーモンド建築が点在していることだと思うんだけどなー。もっとこの良さを伝えることだって、知識を広め伝える教育機関の役目なんじゃないかと思ったりした。


b0090333_1010461.jpg 悲しい運命のまっているG棟を出て、次に連れて行ってもらったのは体育館。今ではプールやサウナ付の近代的体育センターがこの正面に出来ているのだけれど、レーモンド製体育館も現役。彼がこの八事の土地で見つけて建築の基調色としたテラコッタの赤色が曲線のモダンなフォルムに合ってキレイ。


b0090333_1012142.jpg まぁ。。。現実的に機能的なのかどうかとなると、わからないけれど、建物はカッコいいよなぁ。裏に回ると日曜日だというのに、グランドにはたくさんの学生さんが若々しい声をかけあい汗を流していた。アメフトか?いいなぁ~~~、なんともいえず若者の園・・・

 レーモンド建築はまだまだ他にもある。残りはまた次回に。
by midoriart | 2011-08-13 10:14 | Art
 8月7日、南山大学で教鞭をとっている濱田琢司氏のガイドで、キャンパス内に多く残るアントニン・レーモンドの建築を回ったツアー報告の第2弾はG棟。
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 まずはその前に、南山大学周辺の鳥瞰はこんな感じ。
 濱田氏によれば、レーモンドはこの八事の土地を見たときに、起伏のある地形をそのまま生かした状態で全体の構想を考えたという。ちょうど南北に尾根があって、それをまっすぐに残したまま、左右(東西)に棟が並んでいるというのは、確かによくわかる。


b0090333_1836450.jpg わりと広めの階段教室を数部屋備えたG30棟。自然光の採り方が見事。この明るさ、照明はいっさいつかわずにこれだけ内部に光が入ってくる。階段教室にはかなりの勾配があるので、一番奥の高さがこの一階のレベル、そして一番前になるとこの地下のレベルになる。
 しかし、この棟の印象っていったら、まるで愛知県立芸術大学の図書館や油科の棟のようだ。吉村順三がいかにアントニン・レーモンドの影響を受けているのかがよ~くわかる。

b0090333_1842522.jpg 地下へ降りて、吹き抜け部分をみたところ。自然光はここまで入ってくる。地下のひんやりした空気になんともいえない緊張感がある。かっこよすぎてゾクゾクする。



b0090333_18524042.jpgb0090333_18524975.jpg G棟内にあるフレスコ壁画。これもすべてレーモンドのデザイン。壁画上部のオレンジ色で書かれたラテン語は「万物は神によって創造された」という意味。レーモンド建築で有名な高崎市の群馬音楽センターでも、南山大学でフレスコ画を取り入れる前に、この技法が使われている。




b0090333_18443027.jpg 南山大学図書館の資料で見つけた写真。南山大学(山里校舎)の模型を囲んで中央に座っているのがアントニン・レーモンド。実際の建築に携わったのは、レーモンドの右にいる五代信作で、彼が教室棟・食堂棟を担当した。そしてその右横、佐藤一朗が本部棟・研究室棟・体育館等を担当している。
b0090333_18464280.jpg もう一枚、貴重な写真を発見した。1964年5月29日、山里校舎が完成したのを祝い、儀礼を執り行っているバブリック神父。さすがは歴史ある南山大学、こういう資料はきっと山のようにあるんだろう。

 G棟はキャンパスの南北を通る尾根(メインストリート)をはさんで両サイドにある。今日紹介したのは右側にある大きめの講義室で、左側にはコンサートや映画上映とかもできるんじゃないかという広い講堂になっている。そちらも味わいがあるので、次回にもちこすとする。
by midoriart | 2011-08-10 18:49 | Art
 私の母校である愛知県立芸術大学が吉村順三建築であることは、最近の新聞で芸大取り壊しの記事が多いためにわりと知られている。ところが、同じ名古屋(正確には愛知芸大は名古屋ではなく愛知郡長久手町)にある、吉村順三の師匠、アントニン・レーモンドによる建築群が今も現役で使われている南山大学のことは、意外と知らない人が多いのではないだろうか。
 アントニン・レーモンドについては南山大学のサイト内でも紹介がある。ボヘミア地方グラドノ(現在のチェコ共和国)に生まれ、1919年近代建築三大巨匠のひとり、フランク・ロイド・ライトの助手として帝国ホテル建設のために来日。その後1973年に85歳で日本を去るまで、第二次世界大戦前までの18年間と戦後の26年間のあわせて44年間を日本に滞在し、自然と風土に根ざした実用的で美しい建物を作り出した建築家として知られている。
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 そんなアントニン・レーモンドのコンセプトが丸々生かされて設計された南山大学。近くにあってもなかなかそんなことを考えて空間や建物を見るチャンスもなかったところで、ラッキーなことに南山大学で教鞭を取っている濱田琢司氏がキャンパスを案内してくださることになった。そして建築ツアー晴れの今日、普段はなかなか入れないレーモンドの空間の中にまで入ることができた。一回の記事にするのはもったいないので、小出しでいく。

b0090333_2130662.jpg 今日のツアーの一番最初の建築が神言神学院。円筒形の鐘楼を中心に5つの扇形をつないだ礼拝堂で、両端に神父さんたちの居住空間がある。いくつかの棟を案内していただいたけれど、私はこの建物がアノ時代の建築らしくてカッコいい~~~と思った。

b0090333_2132413.jpg 礼拝堂の空間も厳粛で神聖で一色ずつ配置した手作り感溢れるステンドグラスや塔のてっぺんから採った自然光の落ちてき方とか、ちょっとゾクッとする。内部の撮影はできないので、南山大学のサイトから写真を失敬した。

b0090333_21341932.jpg 入り口を抜け、礼拝堂へ向かう道はこんな感じ。木の扉も重厚。

b0090333_2135823.jpg これは1階エントランス部分の天井にあたる部分(バルコニー)から礼拝堂の横を眺めたところ。扇形が見てとれる。



b0090333_21362763.jpg 濱田氏に連れられ、このカテドラルの北へ歩みを進めると、グランドのような敷地があり、赤土が見えた。なんでもレーモンドは南山大学を設計するにあたり、この土地にある「赤土」の色を基調にしようと考えたそうだ。だからこの神学院にも、テラコッタ色が塗られている。そういえば南山大学のすべての建物が、新旧ともにこのテラコッタ色を基調としているわ。なるほど・・・


b0090333_2138413.jpg この堂々としたフォルム!一瞬、名古屋の街中にいることを忘れそうになる。この建物の機能についての紹介が最後になってしまったが、神言神学院は南山大学の設立母体である神言修道会が直接経営管理をするカトリック司祭・修道者・宣教師の教育・養成機関。一般の信者が礼拝するステンドグラスのきれいな礼拝堂の他、今日見学を許可してもらって(濱田氏のおかげ!)入った地下の礼拝所では、まさに宣教師になるべく学んでいる方々の講義室兼祈りの空間みたいなものがあって、こちらも異次元のような空間だった。

 今日の建築ツアーby濱田琢司氏、これはまだまだ序盤。南山大学の中にはまだまだカッコいいレーモンド建築がたくさん残っている。今日の濃いぃツアーの内容は引き続きこのブログにて。
by midoriart | 2011-08-07 22:14 | Art