Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

<   2010年 06月 ( 2 )   > この月の画像一覧

 6月20日、待ちに待ったダライラマ14世の講演。しなの1号始発に乗って長野へ。今回の講演の話は私がまだジョグジャにいるとき、善光寺近くに住んでいる芸大の先輩から教えてもらってチケットを取ってもらった。善光寺でダライラマの講演といったら、お寺の中でみんなが座り込んで説法を聞くと思うかもしれないが、今回はスゴイ。ダライラマがお話しされるのは、あの浅田真央チャンが長野五輪で滑ったビッグハットなのだ。


b0090333_11142527.jpg 講演前に、初めての善光寺参り。今日はお父さんが善光寺の公式ガイドまで勤めている先輩と一緒だから短時間での見所の抑え方が通だった。今回のダライラマ来日に合わせ、2週間を費やして制作された砂曼荼羅を見ることが出来た。砂曼荼羅の本来の運命とは少々違うのだが、善光寺で制作されたこの曼荼羅は、本堂にしばらく置かれた後、敷地内になる日本忠霊殿へ移され、ずっと展示するらしい。


b0090333_11153945.jpg こんなこと今更と思われるかもしれないが、「牛に引かれて善光寺参り」ってのはのどかに牛と一緒に善光寺へ行くって話なんだと思っていたのはやっぱり私だけだろうか。今回こんな歳になってから知った「牛に引かれて・・・」の真相はこんなお話。
「昔信濃に一人の無信心な老婆がおりました。ある日、白い布を干しておくと、1頭の大牛がそれを角にかけて走り出しました。老婆は慌てて牛を追いかけ善光寺にいたり、翌日やむなく帰る途中、観音堂の観音様の首にかかった白布を見つけました。そして観音様が善光寺へと導いてくれたことを知り、信仰深いよいお婆さんになりました」


b0090333_11203958.jpg とまれ、こちら会場のビッグハット。善光寺にいたときからアナウンスがあり、今日はダライラマ講演もあり、セキュリティチェックに時間がかかるので、できるだけ早めに会場に行くようにと何度も放送されていた。ダライ・ラマ法王14世様を他の外人タレントと一緒にしてはバチが当たるが、今まで私が観たもっともセキュリティーの厳しいコンサートはローリングストーンズだった。しかしそんなの比にならない厳しさ。まるで空港で今から飛行機に乗るのかくらいのチェックだ。さすが、法王。


b0090333_11232633.jpg こちら会場内。法王さまの公式ホームページからいただいたもの。当然会場では撮影禁止。



b0090333_1124252.jpg 法王さまが舞台に上がられる前に、全員起立して、善光寺の僧侶と一緒に般若心経の合唱(といっていいのか?)。
そして現れたダライラマ法王14世!やっぱり生ダライラマには感動する。皆が詠んだ般若心経にいたく感動したようで、講演始めにはこの経文の内容についてお話をされる。
 途中やたらとスポーティな赤いキャップをかぶったのがお茶目だったが、後からダライラマにインタビュー経験もあるという知人に聞いたら、照明がまぶしすぎるために、こういう場での講演ではキャップをかぶるそうだ。


b0090333_11272231.jpg これは会場で各自もらったパンフレット。この中にあったダライラマの言葉をここに記すだけで今日の報告は充分だろう。

「私たちは知らず知らずのうちに、
愛やおもいやり、協力、いたわりといった
人間になくてはならない
最も基本的なものを育むことを忘れるほどに、
物質的進歩に夢中になってしまったのです。

現代人の意識は、
あまりにも外の世界にばかり向いていて、
そちらとばかり関わっています。
内なる世界を大切にしたり知ったりすることが、
おざなりになっていると思います。

慈悲心を育んでゆくなら、
正しい責任感がきっと生まれてくるのです。
他者と心を通い合わせるという自然の感情は、
人のために行動しようという気持ちを
必ず起させてくれます。

思いやりの心は、本来静かで優しいものですが、
とても力強いものでもあります。
それは、内なる力の真の表れです。

楽天的な態度は、成功への秘訣です。
全く初めから悲観的な態度をとれば、
小さなことでさえ成し遂げられないかもしれません。
ですから、常に楽観的でいることはとても大切です。

他者の幸せを大切にすればするほど、
私たち自身の幸せへの意識も深まってゆきます。
他者へのあたたかい親近感が深まれば、
自然に自分の心も安らいでくるものです。
この気持ちが、
どんな恐れや不安を抱いていてもそれを除く手助けとなり、
直面する障害に打ち勝つ力を与えてくれます。
これが人生における究極な成功の源となるのです。

私たちは、出世の直後から親の世話を受けてきました。
晩年に至り、病気や老齢の苦痛に見舞われたとき、
私たちはまたも他人の親切に頼ることになります。
人生の始まりと終わりに他者の親切に頼っていながら、
どうしてその中間において、
私たちは他者に対して親切に振る舞わないでいられましょうか。

家庭や地域社会でも譲歩や和解の精神を広め、
対話による問題解決を試みるべきです。
争いを解決するのに対話は最良の方法で、
それは相手と対決するよりも
遥かに効果的な結果をもたらします。

正しい理由がある人は、
一つ一つ例を挙げて話し合いますが、
まともな支持のない人はすぐ怒りに身を任せてしまいます。
つまり、怒りは力ではなく、弱さのしるしなのです。

あらゆる宗教は、
利己主義などトラブルの根源を宿している心の野放し状態を
コントロールする必要性を説いている点で一致しています」

ノーベル平和賞受賞者 ダライ・ラマ法王14世
来日特別記念講演『善き光に導かれて』パンフレットより
by midoriart | 2010-06-20 11:09 | Japan
b0090333_1513154.jpg 今日は久しぶりにインドネシアの現代美術の紹介。
 私が親しくしているバンドンの友達数人がキュレーターとして、若手アーティストを紹介している小さなギャラリーから新しい展覧会の情報が送られてきた。初めて聞く名前に、インドネシアの現代美術もまだまだ活気があるなーと嬉しくなる。


b0090333_15133316.jpg 今回紹介されたのは、1972年バンドン(西ジャワ)生まれのAdhya Ranadireksa。彼はイタリアのローマにあるデザイン学校the Istituto Europeo Design in Romeで写真を学んだ後1997年に帰国している。


b0090333_15135317.jpg
b0090333_15141562.jpg
 ちょっとグロい身体のパーツがモチーフになった写真作品は、気持ち悪いのだけれどその中にあるメッセージが気になってついつい見つめてしまう。


b0090333_15144532.jpg 今回個展の会場となったPLATFORM3は昨年暮に出来たばかりの新しいギャラリースペース。おもしろいのはここを始めたのが、過去にいろいろな展覧会を企画してきたバンドン在住の若いキュレーターたちの集団であること。今回は作家に向けて「植民地主義への提議」というテーマを渡したという。そしてその答えとして、このような作品が出てきたわけだ。


b0090333_15151459.jpg 彼は「植民地主義」というのは、単に人間を支配するだけではなく、人の五感、考え方、見方、感じ方すべてのものをそっくりそのまま奪い去ることだという。そんな彼の「植民地」に対する考えを聞いてから作品を見ると、この中にある比喩にも様々な思いを巡らせることができるだろう。

 しかし今年で35歳のうら若き彼にとっても、いまだ「植民地主義」はこのような作品を生み出すほどに骨身に染みた歴史であるのだろうか。350年のオランダ支配が現代の若者の中にどの程度の影響を及ぼしているのか、私にはそちらがとても気になった。
by midoriart | 2010-06-01 14:58 | Bandung