Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

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 今回ははじめてバンドンの周辺を回る旅。
 前から気になっていたタシック方面にあるカンプン・ナガという村は、残念なことについ最近インドネシア政府に対して抗議するため、外部の人間をいっさい排除している。だから今回は訪問できなかった。


b0090333_11205655.jpg 今日はまずバンドンから東部を巡った。
 最初に訪れたのはゴア・ジェパン、日本の洞窟。日本軍占領時代に、日本軍が作ったものだ。インドネシアにはいたるところにこのような洞窟がある。そして多くの観光スポットがそうであるように、ここでも若い「自称」ガイドがいて、
「中は暗いから、この懐中電灯が要りますよ。はぃ、3,000ルピアね~」
というヤクザな商売をしていた。
 インドネシアで残念なのは、こうした歴史的重要な場所に、ちゃんと正しい歴史を語れる人がいないこと。そうした表示もないこと。ヤクザな半分ガキなガイドの言うことは本当に信用ならん。観光局でもすこし改善できないもんだろうか。


b0090333_11212369.jpg 次に行ったのはガルット。ここは独特なバティック(ロウケツ染め)の文様をもっていることでも有名。その前に私が気になったのは、西ジャワにはめったに見られないヒンドゥーのチャンディ。Candi Cangkuang(チャンディ・チャンクアン)。入園料みたいなもんを払って中にはいるとそこは湖。その向こうに小島があって、チャンディはそこにあるという。そっちに渡るのにはでっかい筏に乗る。
 けっこうのどかないい感じの場所だったので、バリの観光地によくある「ふっかけ」はしてこないだろうと思いきや、筏こぎの兄ちゃんが一人でやってきた私にこっそり言う。
「あんた、今からすぐ向こう岸に行きたいんだったら、特急料金で行けるよ」


b0090333_11214190.jpg 本当なら泳いだって行ける距離。隙あらば金かぃ。
「いい、いい。他の人が乗ってくるの待ってるから」
こんな場所まで来て急いだって意味がない。こののんびり感こそインドネシア。日常の中でこんなタラタラした時間があるとついついキレかける私も、旅だと思えばなんてことはない。ゆったりと揺れる筏にはちゃんと屋根もついているからここで待つ。
 次に来たのは両親に連れられたイスラムの女の子たちだった。彼女らのはしゃぐ声を聞きながら別の乗客を待つこと40分。


b0090333_1122188.jpg ようやく筏が向こう岸へ動いた。
 こっちにあるのがこのチャンディ。ヒンドゥー教が残したチャンディの前には、イスラムの指導者の一人の墓地があった。ヒンドゥーとイスラムが一緒になってるのは珍しい。さらにチャンディの中にはちゃんとヒンドゥーの神様の像が残っていた。


b0090333_11222055.jpg 同じ船頭さんに送ってもらってチャンディを去る。
 見たいもの見た後、気になるものといったらもちろん「ご当地飯」!
今回はガルット村で有名な飯屋でこんなセットを注文。だいたい具は古今東西似たようなものだけど、味付けが違ってたり、名前が違ってることが多い。炊き込みご飯は美味かった~~~


 そして街まで出てガルットのバティックも物色。一番安い一色染めのコットンバティックを3枚購入してバンドンへ帰った。
by midoriart | 2009-06-30 11:05 | Bandung
 ハンディウィルマンの個展オープニングに参加したらすぐ、バンドン、ジャカルタ方面へ行こうと思っていた。5月にバンドンのSelasar Sunaryoで個展を開いたときに、私の作品テーマに感動してくれたインドネシアのおじいちゃんンが、何度も会場に足を運び、第二次世界大戦中の日本軍の話を特にバンドン周辺に限って話してくれた。その話の中に出てきた場所を、時間をかけて訪ねたいと思ったいたのだ。
 電車のチケットを取りに駅へ行って驚いた、しまったインドネシアの年度末ってことを忘れてた。日本でいえば春休み、みんな旅したくてバンドン行きのチケットは3日後の分しかなかった。運良くハンディウィルマンの個展を見に来てたバンドンのキュレーター、アスムジョがでっかいバンでジョグジャに来ていたので、これに便乗してなんとかバンドンへ。


b0090333_16162467.jpg 今回は親友ササン宅にお邪魔した。彼は最近バンドン北部に引っ越したばかり。ちゃんとゲスト用に一部屋あるというので遠慮なく3泊させてもらった。これは敷地一番奥に作った彼のセラミック工房。


b0090333_16172018.jpg 初日はササン夫婦、若い友人オクトラと一緒にバンドンの新しいスペースを巡ることに。ジャカルタの雨後のタケノコ系ギャラリーとは別に、バンドンでは若いアーティストがコミュニティを作ったりしている。最初に行ったのは「RUMAH BUKU(本の家)」。
 ビデオ好きなコミュニティがレンタル本屋、レンタルビデオ(といっても商業的なものじゃなくてインディーズが多い)などを一箇所でやっている。実は2005年からあったのに、私は今回初めて知った。


b0090333_16195620.jpg ササンが思い出したように言った。
「そういえばITBの数学の教授がさ、新しくでっかいミュージアム作ってるんだけど、オクトラ行ったことある?」
今日は我々のために運転手をかってでてくれたオクトラもまだ見てないというので、早速この建設中のミュージアムを見に行った。
 場所はバンドン北部、かなり高い丘にある。車を停めたら、ちょうどその数学教授という女性が出てきた。ラッキー。


b0090333_16223577.jpg 教授の名はアンドノワティ。もともとアートに興味があって、自分でコレクションもしてるらしい。このミュージアムは彼女の夢で、建築は私がついこの前個展をしたばかりのSelasar Sunaryoと同じバスコロさんの設計、確かに似てる。ってか、豊田市美術館にも似てる。谷口吉生のファンなのかな。

 偶然にも来年1月の開館記念展に、ササンも招待を受けていたので、そんな話を聞いたり、今後の抱負を聞いたり、とにかくおば様は自分の夢がこんなふうに実現していくのを見て、とっても嬉しそうで、興奮気味にミュージアムツアーをしてくれる。


b0090333_1626445.jpg これはミュージアムの2階からの眺め。向こうに見える村も、実は彼女の計画の中にはいっていて、いずれはアーティスト・ビレッジとして機能する。ジャカルタの金持ちが趣味でギャラリー始めてることは先回話したけれど、バンドンの数学教授はもう少し知的に大がかりなことを考えているようだ。
 作品の売買もちゃんと考えて、コレクター様が宿泊できるビラも建設中だし、カフェもあって、さらにミュージアム内にはバンドンで一番の品揃えになる(らしい)画材屋も入る。さらにレンタルオフィスのスペースもあったりと大規模。実際にムチャ広い。

 いやぁ。スゴイわ。今年8月末までには工事を終えて、展覧会準備に入りたいらしいけど、インドネシアのペースで8月に間に合うか?という進み具合ではあった。でもこれが出来たらかなりすごそうなので、またバンドンに来なくちゃ。まだまだ変わっていくバンドンのアートシーン、楽しみである。
by midoriart | 2009-06-29 22:10 | Bandung

6月27日◇Handiwirman個展

 ここ2年ほど、インドネシアではアートバブルがおこっている。中国から始まったバブルがインドネシアにも入ってきて、どんな展覧会があっても、中国、香港、シンガポールからアート買いあさりのアートディーラーがやってきて、そして展覧会丸ごと買っていく。そんなバブルはインドネシアのわずかな金持ち層にも伝播して、いまやジャカルタには金持ちが趣味で作ったようなギャラリーが雨後のタケノコのごとく増えている。


b0090333_22547.jpg そんなバブルとは無関係に、ハンディウィルマンは昔からいい作品を作っていた。私がジョグジャに来た2000年には、彼はまだまだ展覧会もほとんどしたことのない若手のアーティストだった。1日にインスタントラーメン一食しか食べられなくても平気で作品を作っていた。
 そんな彼も、本人が望まないままバブルの波に入れられ、今では土地を買って、スタジオを建て、嫁さんに日本製の新車を買ってあげている。でも、彼がスゴイのは、作品売った金で私腹をこやすんじゃなく、売れた4億5000万ルピア(約450万円)をそのままボランティア活動してる友達に渡しちゃうこと。その金はバンドン郊外の小学校建設と、その村の橋建設のために使われた。
 彼の美談はいくらでもあるけど、そっちはおいといて、6月26日、今日は彼の個展のセッティングを手伝いにいった。梯子にのぼってるのがハンディウィルマン、そして下にいるのはインドネシアのキュレーター、アスムジョと、ヌルディアンイッサン。


b0090333_2292258.jpg 昔の彼はシャイで、私が寄っていったらその分引くような人だった。でも今ではすっかり余裕。昔のビクビクした感じから、ずっと大人になったなー・・・、なぜか母が息子を見るように嬉しい。


b0090333_22105915.jpg 今回の個展はジョグジャの老舗ギャラリー、CEMETI ART HOUSE。そうそう、この会場も、今回ハンディの個展をもって休廊となる。今後はレジデンスプログラムを少しずつ作っていくらしい。インドネシアの現代美術を最初っから支えてきたギャラリーなだけに、惜しむ声は多い。
 とまれ、今回のハンディの個展『THINGS』から少々作品を。個展についてはART ITのWEB版でも紹介したので参考までに。『THINGS』


b0090333_2213569.jpg そして翌日27日、個展OPENING。今ではインドネシア国内外で作品が引っ張りだこのハンディ。ジャカルタ、バンドンからもたくさんのキュレーターやギャラリストが見に来ていた。そうだ、インドネシアだけじゃなくて、シンガポールからも来てたな、さすが、ハンディ。
 会場で会ったのはAGUS SUWAGE。こちらもインドネシアの現代美術のスーパースター。彼は50歳の誕生を記念して、近々ジョグジャのでっかいミュージアムの3フロアを使ったどでかい個展を準備中。


b0090333_2216468.jpg 今日は忙しかった。ハンディの個展と、友人アーティストの結婚式が重なっていた。こっちはEDDO PILU、ハンディより少し上の世代のアーティストだ。彼も知り合いが多く、ハンディの個展に来る人はほぼみんな結婚式にも参加。まーまーカッコいい人ではあるけど、ジャワの正装したらEDDO、むっちゃハンサム!嫁さんももともとかわいいところに加えて可愛くて感動。

 ハンディの個展とエドの結婚式のおかげで、普段なかなか会えない人たちにまとめてドカンと会えた2日間だった。皆さん、いろんな意味でおめでと~~~♪♪
by midoriart | 2009-06-27 22:02 | Art
 インドネシアではいい年しててもまだ誕生日だってパーティを開くことが多い。私は昔の日本人なので、誕生会といったら子供の時だけ、ちょっと裕福な家の子がやるものというイメージをいまだにもっている。そんな、二十歳過ぎたものがお誕生日祝ってワイワイなんてどうも・・・と思ってしまう。

 インドネシアに暮らし始めてから、誕生日は一人で過ごしている。バリ人に習って、当日は身を清めて線香炊いて、瞑想までいかないけれど、新しい年齢の1年間をどうしようか、前の1年はどうだったか、考える時間を作るようにしてきた。
 ちょうどいい具合に、最近ジョグジャにできたインド料理屋でYOGA教室が始まった。ここのオーナーはインドネシア・フランス文化協会の元ディレクター、パスカルが始めた店、彼とは友達なのでYOGAとはなにぞと聞いたら、とにかくやってみろとのこと。誕生日からYOGAを始めるってのもいいもんだと、早速今日24日からYOGAを始めることにした。


b0090333_19515282.jpg ジョグジャにこんな洒落た店があるとは本当に嬉しい。これ入り口。


b0090333_1952834.jpg これオーナーのパスカル。ちゃんとガンジーの写真が飾ってある。


b0090333_19523144.jpg 店の中にはヒンドゥーの神さんたちがたくさんいる。ちょっと早めに着いたので、ここでラッシーを一杯のんで腹ごしらえ(?)。


 今日のYOGAはセバスチャン先生によるHATHA YOGA、呼吸とリラックスをメインにしたクラシックなヨガらしい。先生は白人なんだけど、12年インドで修行したそうで、見た目はもうインド人。私でも怖くて写真撮れなかった。
 初めてやってみて、ゆっくりした動きなのに汗しっかりかいてるからビックリ。はいいけど、英語の指導だからツライ・・・。目を閉じて聞いてると、わからない単語が出てくる。わからないから隣を見たら
「クローズ ユア アイズ!」
って叱られた。だって、わからんじゃん、あんたの言ってることが。。。

 今日の夜はジョグジャ在住の青年3人と約束があった。中央大学総合政策のI君はフィールドワークでジョグジャの水について調査中。九州大学大学院のF君は森林関係の学会にも出てる若手研究者で、今はジョグジャのエリート大学の農学部に在籍中。そして彼らより長くジョグジャにいるN君は、ジョグジャにある日本の種屋さんに海外勤務で来てる研究員。ってことで皆さん大きい括りでは「自然派」。この学生2人と、仕事で来てる研究員を紹介しようと思ったのが私。


b0090333_19535100.jpg 言いだしっぺのくせに、初めてのYOGAで約束の時間を15分遅れて喫茶店に到着。
 私の半分近い年齢の3人には、恥ずかしくて今日が誕生日だなんて言ってなかったんだけれど、ミクシィはすごいなぁ、こういうときにわかっちゃうんだなー。気づいたN君が、この集いにケーキを準備してきてくれた。それもちゃんと4人分、なんと気の利く青年だろう。
 ケーキも嬉しいし、ここ数年ず~~~っと一人で祝ってた誕生日を、日本の若者3人と一緒に祝えるのも嬉しい。こんなにでっかい兄ちゃんたちだけど、二人足して私の年齢かぃ??と思うと、自分のことながら空恐ろしい。けど、いいや、これからはYOGAで頑張るぞ。


b0090333_19533016.jpg お祝いしてもらえて嬉しいのとは別で、ちゃんと恒例のお祝いもせねば。「うちケーキ」。インドネシアで誕生日迎えたら、ケーキ買ってきて家で祝うのが恒例なので、それはそれでやらないと。犬が待ってるし。相棒の2匹のうち、今年はティルムが逝ってしまったからモジャだけしかいないけど、今年も一緒に祝ってもらった。


 いや~、今年は生まれてからこの方、多分一番たくさんの友達からお祝いメールをもらった。というのもfacebookのおかげ。日本ではミクシィ主流のようだけれど、インドネシアでは誰も彼もがfb、フェイスブックに入っている。ここで今日は誰の誕生日ってわかるから、簡単に友達のウォールに祝いのメッセージが残せるわけだ。いい年してなんだけど、やっぱりオメデトウって言われるのは嬉しいもんだなーと、今日つくづく感じた。

 この世に子供として呼んでくれた父と母にまず感謝して、今日は祝ってくれた日本の若者トリオ、YOGAを始めるきっかけを作ってくれたパスカル、一緒にうちで祝ってくれたモジャ、それからfacebookに祝メッセージくれたみんなに感謝。年取ってもっやっぱり誕生日って嬉しいや♪
by midoriart | 2009-06-24 19:48 | Yogyakarta
 今日は私のバリ滞在最終日。ちょうどいい具合に15日に一度巡ってくるバリヒンドゥーの聖日カジャンクリウォンに当たるので、部屋の完成式にもってこい。昨日のうちにマデ兄貴の嫁さんムプに費用を渡して今日のためのバンタン(供え物)を準備してもらうことにした。

b0090333_14235768.jpg 私が自分の娘のようにして可愛がっているエリパニも、嫁ぎ先からやってきて供え物作りの準備を手伝ってくれる。彼女は若くして日本語専門学校で一緒だったヒンドゥー僧侶の息子と結婚した。世襲制のため、私の娘婿はすでに僧侶、エリパニもいずれは寺院の儀礼を取仕切る役を担う。彼女はもともとバリ・ヒンドゥー教については興味をもっていて、古代文字もちゃんと読める。今日のような儀礼に必要な供え物についても詳しい。


b0090333_14242759.jpg 私には何もできないので、儀礼前に壁画のタッチアップ。


b0090333_14245186.jpg そして完成~。
 つい先日、インドネシアのスーパースターバンドGIGIのギタリスト、バリ人のデワブジャナに頼まれて彼のGibsonに絵を描いた。うちのバリの家族にとってはそれがもう、自慢で自慢で仕方ないらしく、この壁画にもブジャナのギターに描いたモチーフと同じものを入れろとリクエストされた。


b0090333_14251892.jpg ようやく供え物が揃った。水浴びして身体を清め、家の祠でまずお参り。そして新しく完成した私の部屋に作った部屋用の小さい祠の前でもお参り。大きな儀礼の場合には、本職の僧侶(マンク)を呼んで儀礼をとりしきってもらうのだけれど、今回は新しく建物を建てたってよりもリノベーションなので、すべてはマデ兄貴の嫁ムプが仕切ってくれた。


b0090333_14254436.jpg マデ兄貴の木彫り倉庫が、キレイなマイルームに変身。いずれ私がジョグジャを撤退しても、インドネシアから撤退しても、ここが私の戻る場所になる。インドネシアでのベースってことだ。いずれはマデ兄貴の息子フォギが嫁をもらっても、一つ部屋があれば新婚さんがこの部屋を使うことだってできる。ってもまだこのフォギー、高校2年生だけど。


b0090333_1426945.jpg 儀礼も終わり、次回からはここで寝ることができるようになった。2月末ジョグジャで逝った私の愛犬ティルムも部屋の壁画になって私を守ってくれる。9月には会期1ヶ月の個展がバリで開催される。この時にはじっくりとマイルームを満喫するとしよう。
by midoriart | 2009-06-11 14:22 | Bali
 10年近くバリのUBUDで暮らした私は、家族同様の付き合いをしているマデ・サナの家が第2の故郷になっている。1999年にインドネシア政府の留学生プログラムでジョグジャカルタの芸術大学に入ることになってからジョグジャに住処とスタジオを移したものの、今でも2ヶ月に一度くらいは「里帰り」している。
 バリの家族は一つの敷地に全家族が住んでいる(ことが多い)。我が家の場合は家長である農夫の父ちゃん、長男(農夫&画廊の清掃夫)家族、次男のマデサナ(木彫り師)家族、三男のサヌ家族(私のもと木彫りの師匠)、そしてつい最近結核で他界した四男の嫁と2人の娘、これだけが一緒に暮らしている。

 ジョグジャへ移る前は三男のサヌが私の木彫りの師匠であり、私は彼の相続分になる土地に小さな仕事場を借りてそこで制作をしていた。ジョグジャに移り、彼が嫁をもらってからは、たいそうヤキモチ焼きな嫁に気をつかってサヌが私と距離を置くようになってしまった。その後はその兄であるマデサナの一家が私の受け入れ先になっている。ちょうど私より3つ上の彼は、バリの兄貴といえる。
 今年3月、彼の倉庫に私の部屋を作ることに決めた。いずれジョグジャを撤退したらインドネシアでのベースはバリに移そうと思っているから、どうしても自分のスペースが必要になる。いつもはバリに「帰った」ら、若くして嫁いだマデサナの娘エリパニの部屋を私が使うのだけれど、机もベッドも置いてとなったらちょっと狭い。

 選んだのはマデサナの木彫り倉庫。とんでもなく汚い空間を掃除して4x4mのスペースを確保、ここに私の部屋を作ることにした。たまにバリに戻ったら大工を呼び、大まかに指示をしてジョグジャに戻る・・・といったプロセスを二度、今回はついに最終段階。


b0090333_2326574.jpg 部屋はここまでできていた。後は窓のガラスをはめ、ドアとその横の窓に窓枠を入れる。外側はあえてセメント仕上げのままにしてもらった。そんなに贅沢しなくても、自分で壁画を描くつもりだからだ。


b0090333_23272090.jpg せっかくキレイに塗装したのに、ちょっと前の豪雨が窓から入り、かなり目立つシミを作っていた。これは修正に時間がかかる。今回のバリ滞在は5日間。といっても仕事で戻ってきてるから、なかなか部屋を完成させるための時間が取れない。でも11日の聖日に完成儀礼をしちゃわないと、また先延ばしになる。困った・・・


b0090333_23273655.jpg って話をしてたもんだから、10日の朝起きたらマデサナと嫁のムプがすでに部屋の中で仕事していた。今まで使ってた大工がなぜか昨日も来なかったので、痺れをきらした二人が大工に頼らずにとっとと作っちまおう!と思ったらしい。私も遅れて手伝うことにした。


b0090333_23275410.jpg 窓のシミはムプが何度も塗り重ねてくれたけど、どうしても消えなかった。だったら逆に絵を描いて目立たなくしちゃえってことで、窓はお花畑フレームになった。


b0090333_23281174.jpg 外側にも壁画。
 マデはドアと窓の設置担当。なんとか明日までに完成させて儀礼を済ませてしまえば、次回戻ってきたときから私はこの部屋で自由に寝られる。兄貴、ムプ、どうもありがとう。本当にバリに戻ってくると、この人たちのおかげで里帰りしたみたいにホッとできるんだよな~。感謝です。
by midoriart | 2009-06-10 23:25 | Bali

6月8日◇近況オムニバス

★ヒトつくり
 今年インドネシアで3箇所、最後に東京を巡る個展『Memory of Asia~お爺ちゃんの時代~』はジャカルタ会場、バンドン会場での会期を終えて現在中休み。交換プロジェクトで使用した小作品もついにすべて交換が終わった。

b0090333_11512534.jpg 東京会場では、谷中銀座周辺のお爺ちゃん、お婆ちゃんとも交換プロジェクトを実施するので、このためにまたヒト制作を始めた。今までに使ってきたヒトとほぼ同じで、サイズが若干小さい。使用する陶土も前より赤みのあるものを使うことにした。今回はこのオリジナル「ヒト」に加え、新しく祈る「ヒト」も制作中。

b0090333_11521323.jpg ジョグジャで陶の作品を作るときに使っているのが北部カリウランにある工房。陶の仕事してる人ってなんだか好きだ。寡黙で仕事熱心で。最終的な細部の仕上げは集中したいから自宅のスタジオへ持って帰るのだけれど、模りや粗彫りはいつもここで職人の皆さんに混じってやっている。


★Gibson Les Paul customed by MidoriついにTV登場!

b0090333_11525983.jpg「デワ・ブジャナのギターfeat.Midori Hirota」で完成したギターがついにTVで登場した。デワブジャナがギターをつとめるインドネシアの人気バンドGIGIは最近15周年を迎え、記念アルバムと本を出版したばかり。だからTVにも出っぱなしで新曲のプロモーションをしているのだ。ちょうどいいタイミングで私がギターに絵を描いたものだから、ブジャナはほぼ毎回の出演にこのギターを使ってくれている。 ついには、GIGIのファンたちからも「Gibson Midori」という呼ばれ方をするようになってるからまた嬉しい。

b0090333_1153273.jpg TVに映ってる画像って撮影難しいんだよな。こんなふうにしか撮れないんだけど、とにかくブジャナのソロ演奏になると必ずアップで映るからそのタイミングが嬉しい。インドネシアの音楽番組はほとんどが生放送なので、TVに出たらすぐ彼に携帯メッセージを送って
「今日もハッキリ映ったよ~」
と報告することにしている。
 私はこのギター、完成させてジャカルタで渡したっきりで、実際に彼が弾いてる様子は生で見たことがない。いつかジョグジャのライブにこれもってきて弾いてくれたらいいなぁ・・・。


★満月のバリ
 毎年1度バリで仕事がある。愛知県犬山市にある野外民族博物館に展示してあるバリ島貴族の家の飾り布の発注と発送の仕事だ。リトルワールドでは毎年夏休みの時期に、家中に飾ってある布を新しい一式と取り替えるのだ。

b0090333_11535662.jpg 今回は満月に重なったので、久しぶりに家族と一緒に町内の寺院へお参りに行った。
バリ・ヒンドゥーでは満月、新月と、バリの暦の大切な日に寺院へ詣でる。これは日常の基本的な聖日で、それ以外にもっともっとたくさんの重要な日があるもんだから、ガイドブックでは「ほぼ毎日のようにお供え物を持っていく人を見かける」という説明になる。でも本当にそのとおり。
お供え物は聖水で清められ、うちに持って帰れば、もう神様のお下がりだから、人間が食べてもいい。私はいつもこのお下がりを楽しみにしてるから、バリの家族から
「お前は子供か」と笑われる。お下がりの中で好きなのは揚げせんべいとココナツ菓子。

b0090333_11542792.jpg これは私が兄貴と呼んでる元木彫りの先生の妻。私より若いんだけど、バリではなぜかこのムプが私の母代わり。冷え込む日には水浴びじゃ寒いだろうと湯を沸かしてくれるのも、私が起きるとすぐにコーヒー作ってくれるのもムプ。


 だからバリではホッとする。ジョグジャの一人暮らしもそれはそれで気楽でいいけど、バリのこの家族との時間もまた楽しい。今回は仕事に加え9月の個展の打ち合わせもあったりしてあと3日はバリ滞在。
by midoriart | 2009-06-08 11:47 | Indonesia