Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

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 昨日の午前10時40分バギオからビクトリー・ライナー(バス)でマニラに向かった。3回のトイレ休憩を挟み、クバオに到着したのは午後5時半。昨年知り合ったフィリピン女性デイジーさんちに4泊お世話になることにしてたので、ササンも連れてお邪魔した。彼女はオーガニック野菜の農園を経営している。国際交流基金スタッフをしている私の日本の友人Mさんから紹介されて去年知り合ったのだけれど、彼女がいうようにまさに「マニラの若いアーティストにとっては肝っ玉母さん」。若いアーティストを金銭的にも精神的にもサポートしてくれる力強い母ちゃん。

b0090333_3395670.jpg 今回は私たちのために書籍部屋にマットレスを準備してくれた。彼女の大好きな料理の本でいっぱい、真っ白でとっても清潔なお部屋で快適。


b0090333_3402436.jpg 彼女の家は私が去年一ヶ月滞在したUP(University of the Philippines)の近く、UPビレッジにある。ここから展覧会場のCCPまではかなり遠い。そこでササンと二人でMRTを乗り換えて行くことに。昨年は一度も使う機会がなかったので今回初めて乗ってみたけれど、なかなか便利。でも山の手線の朝くらい混んでるから座ることはまずできない。


今回のフィリピン滞在で最後のイベントとなるCCP(カルチャー・センター・オブ・フィリピン)での展覧会『POPSCAPE』は14日がオープン。キュレーター・チームの棟梁であり、マニラにあるナショナル・ミュージアムのチーフキュレイターでもあるパトリックが、副キュレイターである私とササンの到着を待たずして、随分展示の準備をしておいてくれたので、会場に着いたらすでに2名の作品はキレイにセッティングが終わっていた。さすがはインターナショナルに活躍するキュレイター、パトリックだけある。

会場の様子を見て安心したところで、まずは三人の再会を祝ってランチタイム。早速インドネシアからの土産を渡してから聞いてみた。
「ねぇ、パトリックはヨーヨーできる?」
「アハ?オー、イエス。小さい頃は遊んだよ」

b0090333_341558.jpgというので、早速私の師匠TAKAさんから送っていただいた普及用ヨーヨーwithマイ・ロゴを献上。トリックを見せてもらうことはできなかったけれど、かなり喜んでいただいた。


b0090333_3413520.jpg ランチ後にセッティングを始める。さすがイメルダ夫人が作ったフィリピンが誇るCCPだけあって、スタッフもしっかりしている。こちらが作品の位置を決めれば、ササっと動く技術屋さんがいるから、我々が作業服で働く必要がない。素晴らしい~。


今日12日、マカティにある新しいギャラリーではバギオでお世話になっているキドラおじさんの三人の息子、キドラJr、カワヤン、カブニャンの「3K」写真展のオープニング。作品のセッティングを午後5時までに終え、CCPからマカティにあるSilverlensギャラリーへ向かった。

b0090333_3415857.jpg 先にマニラ入りしていたキドラおやじに2日ぶりに再会。息子三人がすべて美術関係に進んで、今回のようにそれぞれにいい作品を見せていると、きっと映画作家の彼も嬉しいんだろうなぁ。日本の羽織をはおって立ってるのがキドラおやじ。ただのクレイジーなおやじに見えるかもしれないが、国際的に評価の高い映画作家であり、また2005年のベニス・ビエンナーレにフィリピンから招待されたアーティストでもある。


昨日の夜マニラに着いたばかりで、まだマニラの友人と会う時間がなかった。それに今回は4日間しか滞在できず、バギオにトンボ帰りになるので、前もって何人かに
「12日のSilverlensのオープニングで会おう」
と連絡しておいた。

b0090333_3423033.jpg 一番会いたかったのがこのJOY、UPの学生でもあり、若きビデオ・アーティストでもある。彼女とは昨年8月私のマニラの個展で知り合い、ずっとメールでコンタクトをとってきた。私がインドネシアにいながらも、フィリピン特にマニラ周辺のアーティスト・ゴシップに詳しいのは彼女のおかげ。再会を祝ってパチ。


 三人息子の展覧会は盛況で、久しぶりの友人や国際交流基金のBさんなど懐かしい人にたくさん会えた。キブガンの野焼きに参加したマニラのアーティスト三人も来たし、レイ君も来たし、同郷で集まったみたいな気分で楽しかった。結局デイジーさん宅に戻ったのは午前1時を過ぎていた。
by midoriart | 2007-06-12 23:36 | the Philippines
b0090333_317813.jpg 昨日ローカル・マーケットで見つけることのできなかった小さな電球を探しに、バギオで唯一のショッピングモールSMへ出かけた。ここにはインドネシアでもおなじみの「ACEハードウエア」が入っているから便利。電気系は秋葉原みたいなちまちました店がたくさん入ったローカルな場所の方が本来好きなのだけれど、今回は時間が勝負。確実に商品が揃っているACEを選んだ。

b0090333_3171889.jpg そして個展会場の照明用に電球を見つけ、VOCASへ戻って設置。ランチタイムに近かったために、店の職人さんにお願いすることができず、ササンに手伝ってもらって自分で配線も済ませた。


 午後からはちょっとツーリストでもしようってことになった。
 考えてみたら、バギオに着いてからこっち、ほとんど休みもなく動いていたし、ササンはキブガンの山篭りして野焼きの準備してたから、お互いにバギオの街をあまり歩いていないんだった。
 我々の展覧会の少し前から、写真展が開催されていたカフェ・バイ・ルインは観光客にも人気のスポット、昨年はじめてバギオを訪ねたときにもこのカフェに来たことがある。市庁舎のまん前にあるとってもお洒落な場所だ。


b0090333_3173445.jpg その名の通り、ホントの城壁の廃墟をそのまま使ったカフェで、弾丸の残った塀がある。その壁を囲うようにしてカフェができている。この洒落た店構えとは反対に、写真展は今ひとつ。でも食事はとっても美味しかったので二人ともかなり満足。


 その後、今回の展覧会をドキュメントしてくれていた主催者CGNのオフィスへ。
 ここでCGN代表のマリコさんと会う。
「あなたたち、せっかくのんびりしてるんだったら、今日は観光客になっちゃったらどう?」
と言われ、ガイドブックにも載ってるマインズ・ビュー公園へ。断崖の上から標高1500メートルのベンゲット山脈が見渡せるスポット。周辺にはたっくさんの土産物屋が軒を並べている。


b0090333_3175256.jpg 残念ながら天気が悪かったので、景色は今ひとつだった。それに我々はなんてったっていきなりキブガンのようなDEEPな山奥に行っちゃってるから、このくらいの景色じゃ驚かないってのもある。それでもこういう場所に来ると、ついつい観光客気分になるもの。

b0090333_318886.jpg マリコさんのだんなさんはフィリピーノで、値切り上手なので、彼のいる間に買い物を済ませようと、ササンと一緒に土産物探し。バギオ名物のナッツのお菓子など日本の家族と友人への土産物もお安くGETできた。
 バギオに来て3週間目にして、初めて観光客気分の1日だった。
by midoriart | 2007-06-08 23:14 | the Philippines
 昨日のアーティスト・トークで、私に数々の質問をした女性がいる。すべてが終わってから、彼女がもう一度私に近づいてきて言った。
「実は私、UPバギオ美術学部で教えているのです。明日時間があったら是非大学を訪ねてくれませんか」

b0090333_2484255.jpg UPとはUniversity of the Philippines、フィリピン唯一の国立大学で、本校は私が昨年アーティスト・トークとワークショップを行ったケソン市Dilimanにある。夏の間すべての行政がバギオに移されることもあり、このバギオにもUPの小型版、UPバギオがある。
(UPバギオの校舎)


b0090333_2491811.jpg 今日は特別に予定もなかったので、夕方からUP訪問することにした。まずは恒例、作品のチェックにVOCASへ行き、すべて問題がないことをチェックして、昨日から気になっている私の個展作品の照明を探しにローカル・マーケットへ。

b0090333_2493353.jpg ここの地下にはマハリカというフード・コートが入っていて、私の大好物ハロハロが美味しいと聞いていた。ずっと行きたいと思ってたので、ようやく今日、照明探しのついでに寄ることができた。たっくさん並んでいるハロハロ屋の中から、中身を見て選んだのはこの店のハロハロ。


 昨日会った女性が紹介してくれた同僚の男性ボブとバーハム・パークで待ち合わせして、UPバギオへ。校舎は小さいけれどキレイ。この部分は美術学部ではなくて一般学部が使っているという。奥にはギャラリーもあった。小さいながらも照明設備もよくてイイ感じのホワイトキューブだった。

b0090333_2495166.jpg こちらが美術学部。なんだか幼稚園のような色使い。スタジオを案内してくれる二人の先生もちょっと恥ずかしげ。もともと高校として使われていた校舎を、UPバギオが出来たときに譲り受けたらしい。また正式に大学として学部になったのも最近のことで、まだ1学年20人で専攻別にもなっていないのだそうだ。

b0090333_250338.jpg そして4年次までには一人、また一人とドロップアウトしていくので、4学年合わせても40人程度という。


「アジアの後進国じゃ、美術学部はみんな同じ運命なのかねぇ・・・」
とササンがつぶやく。美術なんて習ったって、将来食えないからと、進学をよく思わない親がたくさんいるという。インドネシアで美術を教えているササンには、どうやら人事とは思えないのだろう。


b0090333_2502512.jpg その後、二人が暮らしているというUP職員専用のアパートメントへ招待された。彼女が軽い食事を作ってくれるという。入ってみて驚いたことに、このアパートメントは私が去年UP Dilimanに招待されたときに一ヶ月滞在したキャンパス内のゲストハウスとまったく同じ建築。
 聞けばなるほど、フィリピンで有名な建築家が作ったものだった。彼女の部屋の間取りは私が暮らしたものとまったく同じものだったので、1年前を懐かしく思い出した。
「わぁ~・・・バンドン(工科大学)でも先生用にこんなアパートメントあったら、僕ぜったいに移るのになぁ~~」
とササンやたら感動。


 彼ら、どう見ても30代半ばくらい。UP Dilimanを出てからバギオで教えることになったという。本当だったら私たち二人のアーティスト・トークを是非大学でやってほしかったけれど、ちょうど休暇中で学生がいないので残念とも話してくれた。

 私たちも、望む人がいるならいくらだって話したんだけど、相手が休みじゃしょうがない。またいつか、機会があってバギオに来る日があれば、そのときは是非・・・。
 彼女の部屋で記念撮影。若き二人の講師、ガンバレ!
by midoriart | 2007-06-07 23:42 | the Philippines
 展覧会のオープニングが済んでほっと一息つく暇もなく、今日はアーティスト・トークの日。ササンは自分の見せる作品の資料を昨晩遅くまで作っていたけれど、運良く私は昨年の8月、マニラにあるUP(University of the Philippines)に招待されて美術学部の学生たちにアーティスト・トークをしたことがあるので、ネタはすでにそろっていた。だから予習いらず。


b0090333_15394983.jpg 午後3時からのアーティスト・トーク前に、今回の滞在ではお馴染みになったバーハム・パーク角のSOLIBAOへ。バギオの街は小さい。真ん中にどか~んと広いバーハム・パークがある。キドラ宅はここまで歩いて3分、そしてVOCASはここからさらに歩いて5分のところにある。

 コーディレラ・グリーンネットワーク代表のマリコさんには三人のキッズがいて、全員が週末にこのパークでサッカーの練習をしているから、ママは子供たちを見ながらこのソリバオ・レストランで週末のひと時を過ごすことになっている。私とササンもバギオに来てからはそれがいつものスケジュールになった。


b0090333_1540951.jpg 今日はここのPUTO(プト)を試してみた。インドネシアにも似たものがある。お餅にココナツスライスをかけたようなもの。インドネシアと違うのは、ここでは上にたっぷりとバターをのせること。調子に乗ってたら確実に体重増加な一品。


 アーティスト・トークには意外にもたくさんの人が集まっていて驚いた。ネタの少ないササンが先行。それでも陶芸の専門家がバギオに来ることはめったにないので、たくさんの人が彼に陶芸のテクニカルな質問をしていた。こんな時には彼も講師魂がうずくのか、まるで講義みたくなっちゃっていた。

b0090333_15403379.jpg その後に私のアーティスト・トーク。まずは今回の個展でコラボレーションしたフィリピンの映画作家キドラ・タヒミックのドキュメント映画を流す。そして私の過去からの作品紹介。


b0090333_15404524.jpg NGOの活動を5年続けてきたコーディレラ・ネットワークのマリコさんにとっては、私が昨年ジョグジャ地震の時にひょんなことから始めてしまった被災者救済活動に興味があったようで、こちらのプレゼンテーションもリクエストがかかった。
 バギオでも10年以上前に震度8近い地震があり、多くの被害が出ているので、今日来てる人たちも是非見たいと言ってくれたのでこっちの紹介もしてたらもう夜だった。


b0090333_1541396.jpg これが『The Back of Affection』の展示空間。こじんまりした空間だけれど、1000個の交換物を展示して、キドラのドキュメントを流すにはぴったりのサイズ(もう少し右左に余裕があれば言うことないけど)。まだ照明の明るさが今ひとつ気になるので、別の照明器具を探して修正したいなぁ。続きは明日に・・・
by midoriart | 2007-06-06 23:38 | the Philippines

b0090333_1532092.jpg ようやく展覧会のオープニング。
 仮眠を取り、8時に起きて会場へ。最終の作品チェック。バギオでの交換プロジェクトで、交換した人81人と撮った写真はようやく当日になってプリントできたので、急いで全部を壁に取り付けた。キドラが撮影した交換プロジェクトのドキュメント映画はオープンギリギリになって編集が終わった。


b0090333_15324760.jpg 会場は午後3時を過ぎるとどんどん人が集まってくる。さすがマリコさん率いるコーディレラ・グリーンネットワークのPRのうまさと、キドラ・タヒミックという映画作家の人脈はスゴイもんだ。フィリピンが独立して最初にバギオ市長になったのは、キドラの母ビクトリアさん。96歳の彼女は、今も毎朝丁寧に新聞に目を通し、2週に一度バギオの新聞でコラムを担当し、お昼にはジャズを流しながらランチを取るというスーパー・オバア様。彼女もこの日のためにわざわざ会場へ来てくれた。


b0090333_1533543.jpg そして主催者代表マリコさんの挨拶、カントリーシンガーのブライアンさんの挨拶と歌、さらに私までがなぜか歌い(それもインドネシアのPOP歌謡、ダンドゥットをササンの代わりに2曲披露)、コーディレラの民族音楽&舞踊もあったりして、賑やかに国際環境デーが開幕した。


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b0090333_15334027.jpg これが私の個展『The Back of Affection』の展示空間。
 キドラが製作したドキュメント映画(16分)が白いギャラリーの壁で映し出される。昨年マニラで2箇所を巡回し、今回のキブガンで交換プロジェクトを続けてついに1000体のヒトを1000人のフィリピーノと交換することができた。

 そのすべての過程と、交換した物がここで展示されている。キドラのドキュメントも16分の中に交換の意味がさりげなく織り込まれていて、自分のやってることながら、客観的にそのプロセスを見ることができて感動した。


b0090333_1534284.jpg 5月18日にバギオ入りし、風邪引いてダウンして一時はどうなることかと思ったけれど、ここまでたどり着くことができた。まずは皆さん、お疲れ様でした~!
by midoriart | 2007-06-05 22:30 | the Philippines

b0090333_1525269.jpg 朝からササンとVOCASへ。
 昨日の夕方ベニア板に取り付けた「瞑想猿」のパーツはしっかりと接着剤が固まっている。安心してドローイングを足す。順調に一個目の作品展示は進む。


b0090333_15253886.jpg そしてキドラのお抱え職人さんによって、私の選んだ一角にベニア板ごと作品が取り付けられようとしていたその時・・・


 職人がこのベニア板を思いっきりハンマーで叩いたもんだから、左肩のパーツ一個が落下して大破。職人二人は固まっちゃったけれど、私としてはこれが顔パーツじゃなくて本当によかった。海外で展覧会を経験して何が嬉しいって、どんな過酷な状況でもなんとかするってことを学べること。ドライバーがありませんってところから始めなくちゃいけなんだから、日本の画廊や美術館のように至れりつくせりな環境とはまったく違う。


b0090333_1525584.jpg 設置場所へ登って、取れたパーツ部分に再度ドローイングを施す。そして「瞑想猿」は完成~。



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 でも、私のメインのショーはこのグループ展ではなくて、昨年マニラで始まって以来続いている個展のプロジェクト。こっちは昨日も職人が来なくて、まだ展示できる空間が出来上がっていない。展覧会のオープニングは明日の午後3時だっていうのに、まだまったく作品をセッティングできないでいるから、小心者の私は気が気じゃない。
「これも修行・・・」
と気持ちを落ち着かせてみる。


b0090333_15263383.jpg こんなときにヨーヨーあるといいわぁ・・・
 ちょっと凝り固まってた身体にもイイ塩梅。笑ってはいるけど、心はすでに泣きにはいってる午後5時。


 結局、私が個展の作品を設置しようとしていた空間に照明がついたのは午後10時だった。ササンも妥協を知らないアーティストなので、私が徹夜覚悟なのを知って、自分の作品の納得いかない部分を大幅に修正し始めた。だからここからの写真は一切ない。お互いが自分の作品の完成に必死になり、なんとか一度家に帰れる状態までになった時には午前4時を回っていた。
 夜明けに私の好物ハロハロを食べたいと思っていたのだけれど、バギオの夜明けはかなり寒い。私自身、とても夜明けにカキ氷食べられる元気がなかったので、そのままキドラ宅へ直行した。
by midoriart | 2007-06-04 15:24 | the Philippines
 キブガンからやってきたレイ君は昨晩私たちと一緒にキドラ宅に宿泊。朝起きてきたレイ君に、日本ヨーヨー協会作成、廣田緑デザインのヨーヨーを進呈~。これは私のヨーヨー師匠、世界チャンプのTAKAさんが、フィリピンでのヨーヨー普及&たくさんのYOYO友達GETのために、たっくさん送ってくださったもの。

b0090333_11222248.jpg でも、キブガンでレイ君の技を見ていたので、普及用&初心者向けのヨーヨーではもったいない気がして、別にもらっていた大き目のプロっぽいヨーヨーを進呈。早速喜んでトリックを見せてくれるレイ君。 


b0090333_11224469.jpg VOCASで作品設置をすべく三人で家を出る。しばらくして、今回の4人展のもう一人のアーティスト、キドラの次男カワヤンがやってきた。彼もYOYOが好きだというので、普及用ヨーヨーを進呈。すぐに手にしてヨーヨーを回すカワヤン。彼はどちらかというとパフォーマンスよりのアーティストなので、「見た目」にカッコイイ。けど実際のトリックとしては私以下だった。でも190センチちかい長身でヨーヨー回すその様は全然カッコいいので許す。


 キブガンからの長距離ジープ、重い猿面運びと老体いじめのスケジュールが続いていたので、今日は全身が痛い。なんとか空き時間を見つけて、同じビルに入ってるマッサージ屋に行きたい・・・と思うのだけれど、作品を取り付けてるとなんだかんだと気になる部分が出てきて、そんな時間は見つからない。


b0090333_1123450.jpg せめて私の好物、フィリピンの代表的デザートのハロハロを食べて元気を出そう!とササンと二人でランチタイムに食べたハロハロ。矢印はあんこ!


b0090333_11232093.jpg この黄色い壁にキブガンで作った瞑想する猿を取り付ける。今日と明日の二日で私だけはグループ展の瞑想猿と、個展の作品の二種類を設置しなくてはいけない。今までにやってきた展覧会の中でも、結構ハードなスケジュール。まずはとっとと瞑想猿のセッティングを終えたい。


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 2階に上って設置面を確認したら、3ミリ厚のベニア板だった。とてもこれに陶のパーツをくっつけることはできないので、VOCASオーナーであるキドラに相談。新たに1.5センチ厚のベニアを取り付けてもらうことにした。そのほうが設置面を床に置いて作品を固定できるから楽だし。


b0090333_11235875.jpg レイ君はキブガンの子供たちと一緒に作った150個以上の猿面の設置に忙しい。ササンはササンでバンドンからもってきた石膏型から焼いた約20本の枝の取り付けに悩んでいる。


 そして思ったとおり、マッサージに行く時間なんてまったくないままに夜。
 レイは意外にも堂々と、かなりの仕事量を明日に残したまま、今日は別の友人宅へ泊まると言って早々にVOCASを出て行った。営業時間も終わって暗くなったVOCASの中にササンと二人残され、仕事のきりをつけたのは午後10時半。このビルの中にはランチタイムは食堂、夜はライブハウスに変わるという老舗が入っている。もう疲れて場所を変えたくなかったので、この店で軽くサンドイッチを食べて帰宅。


b0090333_11245755.jpg お疲れのササンははじめ
「僕はこういうやかましい場所って喋れないから嫌いなんだよね~~」
って言ってたくせに、アコースティックギターのオッちゃんがビートルズのナンバー歌い始めたら、
「う~ん。。。いいねぇ・・・」
なんて喜んでいた。
 
 私は瞑想猿がちゃんとベニア板に取り付けられたので、明日は個展の作品設置に時間をかけられそうだ。まずは順調。
by midoriart | 2007-06-03 11:25 | the Philippines
 キブガン最後の日。昨日野焼きした猿面は一晩クールダウンされ、CGNのメンバーとレイ君工房の皆さんが約70キロのデコボコ道でも破損がないよう、丁寧に梱包してくれている。私は最後のエクスチェンジをすべく、通訳のレネ君とコーディネーターのマリコさん、そして今回の私の個展『The Back of Affection』をドキュメントしてくれているフィルムメーカー、キドラ・タヒミックと一緒に、キブガン村で健在している元フィリピン軍人を訪ねた。

 偶然にもマリコさんのCGNに関わっている女性のお父さんがこの人だった。私の今回のプロジェクトが第2次世界大戦に大きく関わっていることを知ったマリコさんが、気をきかせてコーディネートしてくれていたのだ。日本軍がしでかした「死の行進」では何万人ものアメリカ兵とフィリピン人が亡くなった。その出来事から、私は今回の交換プロジェクトを思いついたのだ。だから第2次世界大戦を知っている人と、私の作品を交換したいという想いをマリコさんは察してくれていた。


b0090333_0434759.jpg 今年86歳というこのお爺さんは、私に日本軍に撃たれたといってスネと右腕の傷を見せてくれた。
「わたしはね、戦争の前から日本人の下で働いていたんですよ。だから日本のことが大好きなんだ。でも政府が悪くて、あの時戦わなければならなかった。アレは政府が悪いんですよ・・・。今、こうして日本人のあなたがわたしの家に訪ねてきてくれる。こんな平和なことはない。嬉しいですよ・・・」
 お爺さんはわたしの手を握って離さなかった。


b0090333_044470.jpg 老夫婦と交換をして、猿面の梱包を始めているだろうササンたちの元へ帰る途中の山道で見たキブガンの山。


b0090333_0441746.jpg ここんところの天気からして、午後になったら雨が降る。そしたらキブガンの山道を走るのも大変だし、今回帰宅組は人数が多いから、ジープの屋根にも人を乗せなくちゃいけない。早々に150個の猿面を新聞紙で包み、11時にシティホールを出発。さらばキブガン・・・。


b0090333_0443247.jpg 途中、川のほとりでランチタイム。久しぶりにこんなピクニック気分を味わった。


b0090333_0444512.jpg 喜びもつかの間、ジープに戻るとブレーキの故障。ポツポツ雨まで降ってきて不安なところでなんとか直って再出発~。屋根の上にはマリコさんキッズ他ササンやレイ君、もう一人のグループ展参加者カワヤンの友達3人も乗っている。どんどん雨足がひどくなる中、でもジープ内にはもうこれ以上の人が乗れる余裕もなく、おおきなシートにみんなが隠れた状態で街まで。

 バギオの街までくるとさすがに警察がうるさいらしく、キッズはジープ内のみんなの膝の上に乗ることになったけど、大人3人にはどうしてもスペースがなかったので、そのままシートの下で荷物と化してもらって、6月5日から始まるこの展覧会の会場、VOCASへ向かう。

 人手のあるうちにすべての猿面をVOCASへ運ぶ。だって、VOCASはビルの4階で、このビルにはエレベーターがないんだから。みんなゼィゼィ言って重い猿面の入ったダンボール箱を運んだところで今日はお開き。

b0090333_045037.jpg キブガンから久しぶりにバギオに出てきたレイ君とササン、そして私の三人はキドラ宅泊まり、思ったより遅い時間になったので、そのままVOCAS近くにあるピザの老舗でディナー。こじんまりと野焼きの成功を祝った。パン焼きの上手なレイ君オススメのパスタとピザ、なかなか美味しかった。明日から2日間は作品展示で忙しくなる。
by midoriart | 2007-06-02 22:42 | the Philippines
 キブガンの山々を見ながら起きる。涼しい空気が気持ちいい。ササンとレイは早速今日の野焼きに備えて新聞窯のチェック。今回の野焼きは、信楽に住む私の知人、陶芸家のMさんのアイデアを参考にした。新聞紙でブロックを作り、それを濡らして窯を作るという野焼きの方法だ。それをササンに伝えたら、彼なりにネットで情報を収集し、レイ君と試作を重ねて今回のような簡易窯に行きついた。基礎だけはレンガ、構造は木の枝、壁はダンボールと泥水に浸した新聞紙。


b0090333_0195544.jpg 「レイ窯」と「ササン窯」、二つの窯に10時の火入れが終わると、あとは6時間火のコントロール。火がついちゃったら、後は彼らに任せるしかないので、私は並行して進んでいる開会儀礼を見に、シティホール前の広場からレイ君工房へ移動した。

 こっちではすでに今日のイベントの無事を祈る生贄となる豚が待っていた。フィリピンでは結婚式など祝いの席で豚や水牛をおろす。バリととっても似ている。バリでは何度も豚をおろして腹を割いて腸を川で洗うなんてことを見たり手伝ったりしてきたので、フィリピン式がどんなか気になった。


b0090333_020862.jpg まず一番違うのは突き方。バリでは首を狙うけれど、ここでは心臓を刺す。その前にシャーマンが地酒を巻き、祈りを唱えた(写真左の白いTシャツの老人がシャーマン)。


 その後豚全身を火で炙り、しっぽはポツンと切り取り、子供に渡す。今回このしっぽをGETしたのはマリコさんの次男ビリッグだった。これをもらうと結婚式のブーケみたいに何かいいことがあるのか地元の人に聞いたけれど、ちゃんと意味を教えてくれる人はいなかった。しっぽも最後は食べるらしい。


 炙った豚の毛をキレイにそぎ取り、ようやく解体。そしてレバーを丁寧に取り出してシャーマンに見せる。これで今日の儀礼の吉兆を占うらしい。この立派なレバー。


b0090333_0203043.jpg シャーマンはこのレバーの玉の部分(私にはこれがどういうパーツなのかよくわからない)を見て言う。
「お~、これはとてもジューシーだのぅ。今日の儀礼に関わる者はみな吉じゃ」
 この玉の部分が乾いてジューシーじゃない場合もあるという。そうだとその儀礼の主催者は、もう一頭豚を用意しなくちゃいけないらしい。こんなに大きな豚となるとフィリピンでも非常に高価なので、占いで凶と出ちゃったら余計な出費が多くて困るそうだ。
 一頭で吉が出て、主催者のCGN代表マリコさんもほっと一息。


b0090333_0204658.jpg そして内臓が鍋で煮られ、肉は塩味で茹でられる。

b0090333_0214224.jpg バリの儀礼で使われる豚料理と比べたら、かなりシンプルで大味。ほとんど味ナシ。でもこれは儀礼だからこそだという。にしても一切れがでかいよ~~。


b0090333_022062.jpg これはキブガンで作られているサヨーテ・ワイン。サヨーテというのは日本でいうハヤト瓜。バギオからキブガンへ向かう道中、急斜面の山々にはサヨーテが成りまくっていた。あまりに急斜面で何も植えられないところ、サヨーテは簡単にツタを這わせて成長するため、みんながサヨーテを植えているそうだ。ハヤト瓜で作ったワインを試してみた。ちょっと砂糖の甘みが気になるものの、野焼きのイベントでお祭気分だから何呑んでも美味い美味い・・・。


 そしてシティホール広場に戻ると、レイ君とササンが汗だくで火の守りをしていた。こんな紙製の窯でも、まだその熱さに耐えている。さすが一度試作で焼いてるだけあって、150個の猿面を入れた二つの窯、頑張っている。
 火入れから5時間、ササン窯の表面が焼け始めた。新聞紙の壁から火が出ると、またそこに泥水で濡らした新聞紙を貼って抑える。それを何度も何度も繰り返し、最後には全体が燃え上がる。ササン窯は5時間、レイ窯は約7時間燃えた。彼らの話ではササン窯の下部で300度、上部で500度。レイ窯は下部が500度、上部でなんとか700度くらいまで達したらしい(といっても温度計で測ったわけではなく、焼けたものの状態などで判断しているのだけれど)。


b0090333_0221913.jpg 人間、火を見ると特別な感情が起こるものだと思う。こんなキブガンの自然に囲まれて、フィリピンの儀礼を見た後で、手作り窯の焼け落ちていく様を関係者のみんなと見守って、なんとも感動的な夜だった。結局午後から降ってきた雨の中、広場に屋根はあったものの全身ずぶ濡れで窯を守った二人のアーティストの動きも感動的だった。そしてキブガンの夜はふける。
by midoriart | 2007-06-01 21:18 | the Philippines
 この前はじめてキブガンに来たときもそうだった。それまでバギオで風邪引いて「えらい」大変なことになってたのに、緑いっぱいの澄んだ空気を吸ったら、こっちの方がずっとずっと標高高くて寒いはずなのに、やたら元気になるんだよなぁ。。。猿の村(という意味の)キブガンだから、猿好きの私には似合っているんだろうか・・・
「体調のいい悪いってのは、結局自分を取り巻く空気だと思うよ・・・」
と22日以来キブガンに山篭りしていたササンが言う。確かにそうかもしれない。

 バギオの後発隊は今日の午後にキブガンに向かうと言ってるので、半日は交換プロジェクトに時間を使える。野焼きの準備も最初はまずレイ君の工房から乾いたお面を野焼きの舞台となるキブガン・シティホール前の広場に移すなど、こんな老婆には手伝うことのできない準備がいるからだ。今日はまだ今回の個展のパートナー、フィリピンが生んだ世界の映画作家キドラ・タヒミックがキブガン入りしていないので、ドキュメントはマリコさんにお願いして、まずは近場の村の衆狙いで交換プロジェクトを始めた。
 

b0090333_1228526.jpg ちょっと道くだった先にあった牧師夫人とは、彼女の従兄弟の結婚式でもらった引き出物のキーホルダーを交換してくれた。


b0090333_1229546.jpg 昨日の晩飯の材料を買った屋台のオバチャンは木製のシャモジを


b0090333_12291987.jpg マリコさん代表のコーディレラ・グリーンネットワーク(CGN)はコーディレラ地方の山林を守るための植林活動の他にも、田舎の若者に奨学金を出し、農業をしっかり学習させるというプログラムもある。だから今回のような活動(自然環境とアートを結び、環境デーを祝う)があると、その村の奨学生たちも素直に働く。トラックを運転していたのはCGN奨学生のお兄さん。家で使ってたというでっかい竹編みの籠と交換。


b0090333_12293360.jpg お昼はマリコさんがもってきた釜揚げうどんの登場。でもうどんのだしがフィリピーノの皆さんのお口に合うか心配だったので、こちらバージョンでちょい辛めのショウユ味焼きうどんにしてみた。そしたらレイ君もササンも気に入ってくれたのでよかった~。


 レイ君の陶芸工房は私たちが宿舎にしているシティホールから急な坂道をぐんぐん降りたはるか向こうにある。今回ワークショップで100個以上の猿面ができているのはいいけれど、これをいったん梱包して、野焼きのステージとなるシティホールまで持って上がらなくてはいけないから、私のような老体軟弱者ではまったく使い物にならない。

b0090333_12294752.jpg ランチ後、DGNのスタッフやレイ君工房の皆さんが結集して、猿面全部を運んでくれた。さらに野焼きのための松の枝やブロックも準備OK。


b0090333_1230117.jpg 明日の火付け前にもたくさんやらなくちゃいけないことがある。でもここは素人ではなんともわからないので、レイ君とササンがリーダーになって野焼き窯の基礎が作られていく。ここんところ必ず午後からは雨。今日もやっぱり降ってきた。それでも黙々とブロックを積み上げるレイ君とササン。
 彼らを見てると、本当~~~に焼き物が好きな人たちなんだなぁ~~~と思う。寡黙だけど芯の強い人たち。


 さらにもう一つわかったことは、焼き物する人はきっとパン焼きも上手いってこと。実際レイ君はハーブ入りパンやらクロワッサンやら焼くのが好きで、食べた人によればかなり美味いらしい。陶芸といえば、まず菊練り(粘土から空気を抜くためにこねる)、そして窯入れで火の調節をする。つまり、練ることと火のコントロールのプロなんだから、きっとパン焼きに通じるものがあるんだと思う。今回の滞在中に、なんとしても一度レイ君製パンをいただきたいものだ。

 明日は野焼きの日。豚もおろして儀礼が行われる。
by midoriart | 2007-05-31 12:30 | the Philippines