Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

カテゴリ:Art( 63 )

 私の母校は愛知県立芸術大学。名古屋市内ではなく、ちょっと市をはずれた長久手という田舎にある。私の行ってた頃は本当にまだまだ田舎も田舎で、イタチがさっと走りぬけたり、長久手の合戦の落ち武者の幽霊が出まくっていた。みんなの下宿に夜行こうものなら、真っ暗な畦道を歩く覚悟がなきゃ出歩けなかったもんだ。大学にいたって、ほぼ町の娯楽や明かりからは隔離されていた。
 がしかし、私がインドネシアで20年も暮らしている間に、この場所では愛知万博があったりして、「大田舎」長久手はいまや若いファミリーの住宅街もある新しい町になった。多分愛知芸大にいま通ってる学生たちも、昔の汚い貧しい美大生のイメージからはずいぶんとかけ離れているんだろう。

 とまれ、そんな愛知芸大が、名古屋の町中である栄にサテライトギャラリーをつくったのは2010年5月。今日は愛知芸大の油科の先輩、今村哲さん、染谷亜里可さんの展覧会を見に、このギャラリーを初めて訪ねた。
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 芸大に関わりのない人がこの写真を見てもなんとも思わないだろうが、あの「大田舎」にある愛知芸大のロゴが、栄の町に煌々と輝いている(白く光ってるビルの看板)のを見て、まず驚いた。ちなみに、この場所についての情報はこちら→愛知芸大サテライトギャラリー

 今回の展覧会「二重に出歩くもの」は今村哲+染谷亜里可+山元ゆり子の3人展(先輩すみません、呼び捨てで・・・)。山元さんは愛知芸大出身ではなく、舞台美術などのお仕事をされている方だ。
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 ビルの3階がギャラリー。どうも「田舎臭い」というイメージがいまだに抜けない母校、愛知芸大がこんな小洒落たものをもっていると思うと、不思議でならない・・・
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 久しぶりに大好きな先輩、今村さんと亜里可さんに会い、四方山話の前にまず作品を見せていただく。1フロアーに1室のギャラリースペースが区切られ、平面作品を見る空間と、その奥には不思議なラビリンスが広がる。かなり狭い路地のような空間もあるが、ダイエットが必要な私でもなんとか入っていくことができた。
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 ドアを開けると怖懐かしいような、なんとも心地よい奇妙な空間が現れる。意味深なメッセージが空間のあちこちに散りばめられている。ゲームの中に入ったような錯覚にも陥ったり・・・。
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 都会のギャラリーの一室にいたんだっけか?と思うような場所に出あったり。舞台、音響、映像のサポートがあるだけあって、かなりリアルに「体感」できる作品。ネタばれになるので全部は言えないけれど、かなりおもしろい展覧会だ。後半の感動部分についてはここでは語らないことにする。

「二重に出歩くもの」は愛知芸大サテライトギャラリーにて
期日: 平成23年6月29日(水)~7月23日(土)
開館時間: 火曜~木曜 13:00~19:00
        金曜~日曜 12:00~18:00
休館日: 月曜日

※7月15日 19:00から作家による体験シンポジウムあり!
by midoriart | 2011-07-03 22:10 | Art
 しばらくのご無沙汰になってしまった。8月末に徳島県名西郡神山町の「KAIR(神山アーティストインレジデンス」に参加してから、毎日があっという間に過ぎてしまった。2ヶ月の制作期間をそろそろ終え、招聘作家5組の展覧会がもうすぐ始まる。
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 今年の招聘作家は
Adam Avikainen(アメリカ)
Yukie Hori(ブラジル)
Midori Hirota(日本)
Poh Wang(日本)
Ilgvars Zalans(ラトビア)

 それぞれが神山町の中で選んだ場所を使って作品展示をする。初日となる10月24日はアートツアーという全会場巡りもあるらしい。


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 私が展示に選んだのは神山町長さんのもっている元酒蔵。外観もカッコイイけど中もかなり歴史漂っててかっこいい。


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 今回は「神山八十八人巡り」と題して、2005年から続けているプロジェクトを88人と行った。第2次世界大戦の記憶をもっているお年寄りを訪ね、思い出を聞き、作品と交換してもらうものだ。
 神山はお年寄り天国というか、若者がほとんどいない町で、逆に85歳前後のお年寄りはどこにでも元気にいらっしゃって驚いた(でも糖尿病の割合は日本1らしい)。


 ここではあまり写真をUPしないでおく。詳細は24日以降に。
 こちら、KAIR(神山アーティストインレジデンス)のHPにも展覧会情報アリ。
「イン神山」http://www.in-kamiyama.jp/art/7619/

by midoriart | 2010-10-21 17:35 | Art

8月22日◇神山の朝

b0090333_10445348.jpg 神山について最初の朝を迎えた。昨日はもう暗くてどんな家にこれから3ヶ月住むことになるのか、よく見えてなかったので、じっくりと周囲をチェックすることにした。
 家はこんな感じ。2家族で一つの棟になっていて、これが3棟、ここに建っている。私は青線で囲った4号室。お隣にはブラジルからきたYukiちゃんが住むことになった。


b0090333_10465014.jpg 住宅を出ると周辺はすべてこんな景色。家の裏庭から見ると遠くまできれいに山の稜線がグラデーションになっててキレイ。これからは起きたらまず、山を見ながらラジオ体操の第1と第2をやることにした。


b0090333_10482731.jpg 今日は10月末に予定されている滞在制作の成果を見せる展覧会の会場視察。ブラジルのYukiさん、ラトビアのZalanさんと一緒に神山アーティストインレジデンスで普段使用のできる展示会場を案内された。
 これは寄居座という昭和8年に立てられた芝居小屋。天井に広告板が入っててカッコいい。舞台はちゃんと回り舞台になっている。空間としてはかなりおもしろいのだけれど、私は個人的にこんなにユニークで強烈な空間だと、自分の作品が負けてしまいそうなので使えないけれど、今回は日本人ユニット、プーワンがこの場でインスタレーション作品を発表する予定。


b0090333_10514295.jpg 次に見たのは酒蔵。外観はきょうび流行の古民家を改造したような洒落たつくり。この酒蔵周辺は旧街道で、趣のある古くて大きな家が軒を並べている。一緒にいたブラジル作家のYukiさんは軒を展示場所として考えているようで、この街道が気に入ったようだった。


b0090333_10532647.jpg 酒蔵の中。暑い外の空気とはまったく違うひんやりとした空気。酒の瓶つめ工場だっただけあって、不思議な形の机や金属製の道具があって魅力的。ここにあるものだけでインスタレーション作品ができそうなくらいだ。
 私は神山でも戦争の時代に生まれていて、記憶をもっているお爺ちゃんお婆ちゃんを探して回るプランなので、ここなら協力してくれた方々のポートレート写真の展示も、インタビューのビデオも、展示しやすいなぁ。かなり気に入った空間。


b0090333_10562538.jpg 次は町の氏神さま。なんとこの場を使って展示をした外国人作家もいるらしい。日本人だと、どうしてもこういう神聖な場所に作品を置くのはためらいがあるのが普通だけれど、逆に神聖だからこそ、外国人には魅力的な場所になるのかな。私には恐れ多くて、展示場所としては見れず。 でも神社としてみるなら、なかなか古くて落ち着きのある、小さいけれど風格のある社だった。


b0090333_10585236.jpg ここから少し走れば、過去のレジデンスで作家が作った野外作品も残っている。とにかくこの周辺は438号が一本通っていて、それをはずれたらみんなこんな景色。相当にのどか。

 夕方参加アーティストが全員集まって、それぞれに希望の展示会場を話し合って決めることになった。運良く4組全員がダブることなく希望の会場をGETできることになって担当者も我々もホッと一息。会場が決まればインスタレーション作品を作るアーティストにとっては動きやすくなる。私もこれで展示方法を考えながら、交換プロジェクトを始めていくことができる。
 着いて間もないけれど、少しずつプロジェクト実行に向けて動くぞー
by midoriart | 2010-08-22 23:43 | Art
b0090333_13381247.jpg ついに待ちに待ってた神山アーティストインレジデンスで徳島出発の日。ANAで名古屋⇔徳島は毎日1便出ている。徳島阿波踊り空港(って名前がまずスゴイじゃないか)着陸寸前の徳島の町。


b0090333_13393091.jpg 緑の多さ、水の多さがバリやジョグジャをちょっと髣髴させる。島国繋がりでやっぱりバリや沖縄に近い印象があるのは私だけだろうか。


b0090333_13402394.jpg 今年の神山アーティストインレジデンス、参加作家はラトビアのIlgvars Zalans、ブラジル日系2世のYuki Horii、日本人ユニットのPoh Wang、そして私。私以外の作家はすでに前日徳島入りをしていたので、みんなを乗せた車が私を空港まで出迎えてくれた。まずはランチ。


b0090333_13421566.jpg ムチャボリュームのある徳島流ランチの後は藍染工芸館に連れて行ってもらった。ここで藍染体験。ハンカチ一枚を染めたり、その昔藍で栄えた商人の家の中を見学したり。
 こっちはでかいトランクもあって、手荷物にビデオカメラやらパソコンやらもってる状態でいきなりのツアー、老体には若干こたえながらも35年ぶりの四国に感慨深かったりする。


b0090333_13443170.jpg 今日は空港まで来てる(=徳島市内の都会まで来てる)ので、必要なものがあったらここで買っておきなさいと言われ、それぞれのアーティストはDIYショップ、電化製品店などに散る。
 でも、まだどんなところに暮らすことになるのかわからない私には何がこれから必要になるのかすらわからない。先に来ているアーティストによれば、調味料も何もまったくないというので、必要最小限の塩、しょうゆを購入するため、私だけが食品スーパーへ。
 お~、さすがは四国、PONジュースが占めてる面積広っ。


b0090333_13471056.jpg DIY店には、なぜか特大ざるがたくさんあった。これはなぜですか???


b0090333_13474234.jpg そして夕方には、こんな438号線を走って神山へ入ってきた。おー、やっぱりかなりの田舎・・・
 そして夜は夜で、神山アーティストインレジデンスの関係者(スタッフ&ボランティアさん)全員揃っての歓迎パーティも開かれたのだった。住居や周辺のことについては、また明日以降に~
by midoriart | 2010-08-21 23:37 | Art
 今日は昨日ジョグジャを案内した森美術館キュレーターAさんを案内するジョグジャのアートツアー2日目。昨日のツアーを終え、Aさんからのリクエストは、いろいろなアーティストを訪問したいとのことだった。昨晩のうちに思い当たる友達に連絡をとり、数人にアポイントを入れた。


b0090333_2236815.jpg アーティスト訪問の前に、アートスペースをひとつ見ることに。これはジョグジャ市内を南のパラントゥリティス海岸方面に向ってずっと南下したTembi(トゥンビ)という地域にできた新しいスペースで名前はそのまんまTembi Contemporaryという。

 毎回展覧会があるたびに、我が家にも招待状をいただいていながら、なかなかタイミングが合わなかったり、興味ある展覧会がなくて行ったことがなかった。せっかくAさんもいらしているこの機会にと出かけた。ここはバレンタインギャラリーというクアラルンプールやシンガポールにもギャラリーをもってる人が、ジョグジャ在住の白人のオッチャンと組んで作ったアートスペースだった。できて2年目。印象としては、今のインドネシア現代美術事情そのままで、売れる絵画を集めるための倉庫っぽいものだった。


b0090333_22405086.jpg その後、私が過去にインドネシアの現代美術を紹介すべく、『Passing On Distance』という名で日本へもっていった展覧会(名古屋と東京を巡回)に参加してくれたアーティスト、Yusra Martunus、Handiwirman SaptraのスタジオへAさんをお連れした。
 これはHandiwirmanのスタジオ。彼も昨日のリヨンと同様、ここ数年であっという間に引っ張りだこになった若手作家。10年前、私がジョグジャに来た頃は、1日インスタントラーメン一食で暮らしていた。それが今や国内外のコレクターが彼の作品を待ってる状態。そして昨年土地を買い、スタジオと家を建てた。


b0090333_22435584.jpg 訪問したときに制作していたのが手前のピンクの作品。最近ではミラノのギャラリー、台北の美術館など、海外でも頻繁に発表している。なんたって彼は第1回シンガポールビエンナーレのインドネシア代表。数年前は制作しても発表の場もなく、家が近かった私とはギターを弾きながら夜な夜な歌いまくる仲間だったのに、いまやそんな時間はまったくなくなってしまった。稼ぎ頭の彼が友達と遊ぶのを、妻はまったく許してはくれない。苦労の時代を知ってる私としては、彼の活躍はまことに喜ばしいのだけれど、ギター仲間が減ったって意味ではかなり寂しい気がする。


b0090333_22465310.jpg あまりに忙しそうなHandiwirmanのスタジオを早々に引き上げ、次に行ったのはEko Nugrohoのスタジオ。彼も若くして、そのPOPな作風は早くからヨーロッパで評価され、リヨンビエンナーレにも参加している。今回のツアーでAさんに紹介した彼らみんなに共通して言えるのは、見た目にはフツーーーのインドネシア青年で、けしてオシャレな格好をしてるわけでもないのに、作品から見えるセンスはかなりのものだ。
 Ekoは主としてミューラル(壁画)の作品が多い。だから作品を売ることが難しい。そんな彼は今、ジョグジャにお店を持っていて、ここで彼のドローイングTシャツ、ジャケットなど、手ごろに若者が買っていける商品として販売している。


b0090333_22502360.jpg 昨日訪ねたSangkringのバリ人アーティスト、リヨンはその空間を後輩達の発表の場として使って自分の成功を「還元」あるいは「貢献」している。そしてEkoは、自分が海外で見てきたアーティストとしての生き方、生きていく方法を、後輩達と共有している。彼のショップ「Daging Tumbuh Shop」は最初の1年、彼一人の資本で始まり、若いアーティストが何を作っても、この店で売れるようにその場を開放していた。次の1年は、後輩の中からすこしずつ活躍の場を広げ始めたWhedarを誘い、共同出資で継続している。

 昨日のAさんの感想のとおり、ジョグジャのアーティスト達は自分の成功をちゃんと他者にも還元してるケースが多いのかもしれない。それはちょっと意地悪に見れば、他人のやっかみや恨み、嫉妬を避けるために、前もって還元してしまおうとしてるのかもしれないし、よく言えば「相互協力」「私のものはみんなのもの」という昔ながらのインドネシアのいい部分なのかもしれない。
 とはいえ、もちろんそんないい子ばかりじゃなく、作品が売れたお金でどんどん奥さんのおっぱいが整形ででっかくなってってるケースもなくはない。運転免許もってないくせに新車買っちゃってる子とか。奥さんが急に派手になって、お買い物は上海・・・なんていってる子とか。

 いやぁ~、今回久しぶりにAさんのおかげでしばらく会ってなかった旧友に会い、私自身も考えることが多かった。まさに中国のアートバブル。それでも彼らはすでにブームは冷めてきてるのを感じているという。こりゃ2~3年先が楽しみだ。ブーム前からコツコツやってた者と、ブームに乗った成り金アーティスト、どんなふうに差が出てくるか。ぜひぜひ見たいものだ。
by midoriart | 2010-02-02 22:33 | Art
 東京のお洒落エリア六本木に建つ森美術館。53階にある展示スペースは、「世界で一番高いところにある美術館」でもある。今回この森美術館のキュレーターAさんがインドネシアへいらっしゃるにあたり、ジョグジャの現代美術の様子を視察すべく、私が2日間コーディネーターとしてお付き合いすることになった。


b0090333_16401791.jpg まずは前出の記事『シダルタ回顧展』を開催中のJNM(ジョグジャ・ナショナル・ミュージアム)へ。シダルタの作品を初めて見るというAさんも、彼のマルチな才能に驚かれた様子。
 JNMは昔の芸大校舎の再開発でできたミュージアムで、2008年には国際交流基金による大規模な日本アーティストの展覧会も開催された会場。当時も現地コーディネーターとして数ヶ月働いた私にとっては、かなり親しみのある美術館でもある。その頃にはまだなかったレジデンス用施設も今では完成している。


b0090333_16435080.jpg これが部屋の中。ホットシャワー付きのダブルとツインの部屋が3部屋、AC付きが1部屋、そしてドミトリーが1部屋。なかなかの施設。これが2年前にあったなら、きっと日本から来た若手アーティストもここに泊まりたいといっただろう。


b0090333_16451990.jpg その後、私のオススメなジョグジャのアーティストを訪問し、夕方からはバリ人の友達が最近建てたばかりの、ジョグジャでもっとも新しいアート・スペースSangkringへ。


b0090333_16462593.jpg この大きなスペースが、まだ30代前半のバリ人アーティスト個人の持ち物だというんだからインドネシアも凄い。生きてるうちにそれも若くしてこんな立派な個人ミュージアムを作れちゃうのがインドネシアだなぁ~。本当にここ数年、中国アートバブルがインドネシアに飛び火して以来、この国の現代美術マーケットは気が狂っちゃったように見える。
 ましかし、彼のように作品が売れたお金を貯めてこんな立派なスペースを作り、後輩アーティスト達の発表の場として運営してるってのは頭が下がる。そうそう、彼の名はPutu Sutawijaya、我々親しい仲間は彼をリヨンと呼んでいる。


b0090333_16543585.jpg 2階もまだまだこんなスペース。森美術館のAさんも、
「これ、ミュージアムですよ。ギャラリーってレベルじゃないですよね・・・」
とつぶやく。驚くなかれ、Sangkringは今も建設途中で、メインの建物の他に、ミュージアムショップ、カフェ、木工スタジオ、金工スタジオ、陶芸スタジオなど様々な素材が扱えるスタジオと、海外から来たアーティストが滞在できるようなレジデンス施設までプランされている。裏を除いたら、まだまだ土地はずっと奥まで続いていた。


 驚くべき現代美術バブル。こうやって実物を見ると本当にスゴイ。明らかに彼なんかは日本でいうところの「勝ち組」だろうな・・・。でも彼のすごいのは、それを独り占めするでもなく、村人に(建設の職人は近場で雇っている)、芸大の後輩たちに、こうして還元するところだろう。Sangkringは2009年11月に開催されたジョグジャ・ビエンナーレの一会場としても思い切り活躍した。

 Aさんの言葉が印象に残った。
「日本にもわずかに成功したアーティストっていますけど、彼らが他者に何かを還元してきたかっていったら、なにもないですよね。ここのアーティスト達が、こうして周囲に還元しているってのは本当にすごい。素晴らしい・・・」
 確かに、それがゴトンロヨン(相互協力)のインドネシアなのかもしれない。
by midoriart | 2010-02-01 16:36 | Art
b0090333_20551297.jpg 1月22日、ジョグジャカルタ・ナショナル・ミュージアムで、インドネシアの彫刻家、故G・シダルタ氏の回顧展が始まった。


b0090333_205628100.jpg 1932年生まれのシダルタ氏は、50年代のインドネシア近代美術を引っ張ってきた重鎮。その作品は福岡のアジア美術館にもコレクションされている。彼は私も通ったインドネシア国立芸術院(ISI)ジョグジャカルタ校の第一期生でもある。インドネシア美術を語るにはかかせないアーティストの一人だ。
 そんな彼が亡くなってちょうど1000日目にあたる今日、彼の解雇展がジョグジャカルタ市長によって幕を開けた。


b0090333_20565390.jpg 2年前にはこのJNM(ジョグジャカルタ・ナショナル・ミュージアム)へ日本から50組近いアーティストが集まり、日本インドネシアの国交樹立50周年を祝う美術展もあった。そんな懐かしい会場が、今日は故シダルタ氏の作品で埋まっていた。


b0090333_20571848.jpg 日本では、九州大学教授の後小路雅弘氏(元福岡アジア美術館学芸課長)が彼と旧知で、私はその調査の同行通訳をさせてもらったことから、シダルタさんとも面識があった(参考記事「彫刻家弔問とオバケ屋敷スタジオ」)。
 今日の開会式には奥様も息子さんも出席していた。シダルタ氏の死を知った後小路氏が、お悔やみに訪ねたとき、後小路氏の顔を見るなり泣き崩れた奥様のことを想い出して、また目が潤む。
 会場には故シダルタ氏のスタジオの様子を復元したような空間もあった。


b0090333_2057466.jpg 最近は中国のアートバブルがここにも飛び火して、なんでもかんでも買いあさる成り金系コレクターがたくさんやってくる展覧会オープニングが多い中、今日はなんともご年配の多い、それもいかにも関係者が多い厳かな開会式だった。シダルタ氏のお人柄なのだろう。偉大なるインドネシアの彫刻家に、もう一度合掌・・・


G・シダルタ回顧展『Homage to G. Sidharta Soegijo』
1月22日~2月5日 OPEN 09:00~21:00
ジョグジャカルタ・ナショナル・ギャラリー(JNM)
Jl. Amri Yahya No. 1, Gampingan, Yogyakarta
by midoriart | 2010-01-22 20:54 | Art
 寒さのせいか、日記の更新が遅れ気味の昨今。昨年11月末に東京での個展を終え、日本で過ごせる年末年始もあまりのんびりできなかったのは、2010年早々1月5日から始まった展覧会「あいちアートの森」があったから。
 愛知県内6エリアを使って昨年12月から今年春まで、各エリアで開催される「アートの森」の堀川エリアにはもっとも多くのアーティストが作品を発表している。


b0090333_20471093.jpg たまたま日本に戻っている時期だったこともあり、私もこの展覧会に招待を受けた。場所は堀川プロジェクトの水谷邸。この家がかっこいい。昭和5年築のお医者様宅なのだ。


b0090333_20472635.jpg 東京では「交換プロジェクト」のフィリピン編、東ジャワ編、バリ編を展示し、滞在制作として2年前から始めた日本編を続行した。そして今回の水谷邸での展示のため、太平洋戦争体験者100人と出会うべく、名古屋に戻っても対象者を探しては名古屋周辺を歩き回った。
 そして最終的には94人の体験者と出会い、当時の想い出を聞くことができた。


b0090333_20475444.jpg 「交換プロジェクト」を始めてから、出会った人とのやりとりはすべてビデオにおさめるようにしてきたけれど、今回は一般家屋それも和室でお隣には別の参加作家の作品があるという状態だったので、ドキュメントビデオを使用するのはやめにした。
 その代わりに使ったのは、出会った人々から聞いた話の中から抜き出した「記憶の言葉」。これを文字として切り取り、34の言葉としてビデオを作った。


b0090333_20481646.jpg とにもかくにも寒くてたまらない家ではあるけれど、最近ちょっと流行の古い町並みがあるエリアで、円頓寺商店街には50年くらい変わってないんじゃないかって思うような喫茶店(昔は純喫茶って言ったなぁ)があったり、かと思えば蔵を利用した洒落たカフェがあったり、結構おもしろいエリア。昨年暮れの個展をした東京の下町、やねせん(谷中・根津・千駄木)といい、今回の堀川といい、レトロな町とご縁続き。


 展覧会は月曜休みで毎日午前11時~午後4時まで。3月7日まで開催される。興味のある方はぜひ足をお運びください。昭和5年築の珍しい家屋を見るだけでもかなり価値アリな2ヶ月と思われ。
<<あいち アートの森>>
by midoriart | 2010-01-09 20:48 | Art
 東京での個展を終えて名古屋に戻ってからは、「交換プロジェクト」の日本編を続けている。名古屋周辺で第2次世界大戦を体験している方を探し、私がジャワで作ってきた小さな「ヒト」型の素焼きを持って訪ね、戦争のお話を聞いた後で、作品をその方々の持ち物一点と交換してもらう。これが私の作品となる。

 今回の一時帰国は、もともと10月に東京HIGURE 17-15 casで開催された個展のためだったのだけれど、タイミングよく愛知県で大きな美術展があり、運のいいことにこれに誘っていただけたので、当初の予定2ヶ月の滞在を延長し、年末年始も日本にいられることになったのだ。展覧会は年明け1月5日~3月7日、会期中ずっとはいられないので、いったんインドネシアへ戻るけれど。


 さてこの美術展、「あいちアートの森」という。愛知県内6エリア、それぞれのエリアに会場が数箇所あるので、参加作家は総勢100人ちかいらしい。10月に1ヶ月東京で滞在制作した「交換プロジェクト~日本編~」を総まとめして、今回名古屋で発表することにした。

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 私にあてられた展示場所は堀川沿いにある昭和5年築の旧家、水谷邸の2階。なかなか味のある空間。


b0090333_0114899.jpg ここに100人の戦争体験者のポートレイトと、その人たちに交換してもらった交換物を展示する。そして皆さんから聞いた言葉でつくったビデオも流す。今日はそのビデオのためのテレビを運んだ。とにかく重いのと、会場に傷つけちゃいけない配慮から、ちゃんと業者さんに依頼した。さすが手際がいい。


b0090333_012489.jpg そして中は徐々に展示も進んだ。


b0090333_0122273.jpg 展覧会は2010年1月5日からだけど、年内にある程度完成させたいので、ここまで進めた。後は開会前日に最終チェックに入ればいいかな。
 詳細は「あいち アートの森」ホームページをご参照ください。
by midoriart | 2009-12-21 23:08 | Art
廣田緑《Memory of Asia ~お爺ちゃんの時代~》
クロージング・パーティのお知らせ


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 10月23日から始まった「廣田緑 Memory of Asia〜お爺ちゃんの時代〜」 もついにこの連休で幕を閉じる。最初はどうなることかと思った日本のお爺ちゃん・お婆ちゃんとの交換も、なんとか40人あまりの人々に協力いただくことができた。連休最後、そちて個展会期最終日には、HIGURE 17-15 casにてクロージングパーティが開催されることになった。
 以下、HIGURE 17-15 casからのご案内。

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「交換プロジェクト」日本編は会期中に進行し、HIGURE 17-15 cas 1F展示スペースの風景を日々変化させてきました。地下、2Fスペースでは、過去に行われたフィリピン編、インドネシア編の「交換プロジェクト」を展開しています。
最終日となる11月23日には、ささやかではありますが作家を囲んでのクロージングパーティを開催いたしますので、みなさまお誘い合わせのうえ、ぜひご来場ください。

日時:2009年11月23日(月・祝)18:00〜20:00
*参加無料(予約不要)

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「廣田緑 Memory of Asia〜お爺ちゃんの時代〜」 開催中
会期:2009年10月23日(金)〜11月23日(月・祝) 12:00〜20:00
会場:HIGURE 17-15 cas
116-0013 東京都荒川区西日暮里3-17-15
Tel (03) 3823 6216

by midoriart | 2009-11-22 09:17 | Art