Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

8月22-23日◆都会ジャカルタのアート・リサーチ

 思い切り濃いバンドンの取材を終え、一同はジャカルタへ車移動。最近はジャカルタ~バンドン間に高速道路が開通し、随分と移動が楽になった。スムーズならば所要時間は約3時間。今日は早朝に出発したこともあり、予定通りの3時間でジャカルタのナショナル・ギャラリーへ到着。
 ジャカルタ2日の調査にも、バンドンからササンが同行してくれることになったので心強い。いくらインドネシアに長く、バンドンもジャカルタも頻繁に来てるとはいえ、お客様を連れて歩けるほど地理に精通しているわけでないので、こんなときのササンはムチャありがたい。


 到着していきなり始まったのは、インドネシア現代美術界では海外で一番名の知れた重鎮、ジム・スカンパット。現在はナショナル・ギャラリーの名誉アドバイザーであり、いくつかのギャラリー企画も担当するインディペンデント・キュレイターでもある。

b0090333_16351328.jpg ちょうど今、ナショナル・ギャラリーで開催中の「アファンディとその流れ展」を企画したのが彼ということもあり、インタビューの場所に指定されたというわけだ。展覧会にはアファンディの娘であり、本人も有名なアーティストであるアファンディ・カルティカも来ていた。彼女は過去に私の大きなインスタレーション作品を買ってくれたこともある。


b0090333_16353339.jpg そしてジムのインタビュー。
 ササンにとっても、彼はバンドン工科大学の大々先輩だし、先生でもあるので、彼の意見はとっても真剣に聞いていた。取材の後で後小路さんから
「いや~、今日のジムの話はとてもおもしろかったですねーーー。おそらく、通訳がよかったからだと思うんです。ヒロタさんのおかげですよ・・・」
と言っていただき、とても嬉しかった。

 確かに、ササンも言ってたけど、今日のジムの話は理解しやすかったし、言ってることに間違いや寄り道がなくて、訳しやすかった。それになんてったって自分のやってる世界の話なので、ある程度難しい用語や表現方法が出てきても大丈夫というのは強い。


 翌日は宿泊先のホテルで、インドネシア陶芸界の重鎮、ウィダヤントの展覧会が始まった。インドネシア現代美術の脈に入る人ではないけれど、一般大衆にまでその作品が知られているという測りでいったら、かなりの有名アーティストといえる。今回はなんと瀬戸市にある陶磁器会社とのコラボで、ジャワらしいモチーフの陶人形を発表していた。

b0090333_16355369.jpg そしてちゃんと見つけてます!
 ヨーヨーをするジャワの子供~~~!!! これは私のヨーヨー師匠、世界チャンプのTAKAさんにひとつ持って帰りたいシロモノだったけれど、おそらく彼が興味を示すのはヨーヨーそのものであって、陶人形ではないだろうから、今回は撮影するだけにした。


 ジャカルタは広い。さらにムチャ交通渋滞。短い滞在で効率よく人に会うため、ジャカルタのアーティストにはご足労かけてホテルに来てもらった。これはジョグジャのアーティストたちからもリコメンドのあったビデオアーティスト、イルワン。ジョグジャでも個展をしたことがある。彼のおもしろいのは、デザイナーとしてキャリアをはじめ、そこからプロジェクト的な作品を作っていること。

b0090333_16362127.jpg 自分の作品についてのプレゼンなどは、いかにもデザイナーらしい構成で、私は好感が持てた。さすがジャカルタともなると、センスのいい子がいるもんだ。


 もう一人、ビデオ作品も作り、自らインドネシアの近代絵画の歴史に詳しく、当時の作品を使った新しい切り口の展覧会などをキュレーションしているハフィズにも会った。彼はイルワンとはまったく別のタイプで、まだ一世代前のシリアスさをもってて、彼は彼なりにおもしろかった。


b0090333_1636401.jpg 夕方には、キュレーター界の重鎮、ジム氏が推薦してくれたジャカルタの新しいギャラリー、ギャラリーARKを訪ねた。確かになかなかいい空間。さらにお洒落。この前マニラの都心で入ったカフェ・ギャラリーとあまりにも構造が似てるので、思わずオーナーに聞いたけれど、まったく関係はなかった。ここではちょうど、今回の調査に入れたい若手作家の一人、クリスティン・アイチョが個展開催中だったので、作品を見ることもでき、ギャラリー空間を見ることもできてラッキー。

b0090333_1637163.jpg そして夜はまた按配いいことに、ジョグジャの作家ハンディウィルマンがナディ・ギャラリーで個展のオープニングだった。本当にいいタイミング。
(写真は2枚ともギャラリーARK)

 短い滞在で、大事な部分は運良くすべて抑えることができたのは、後小路さんの強運か。約1週間、ジョグジャ~バンドン~ジャカルタと駆け足で見てきたインドネシア現代美術の最先端。私自身も普段めったに会えないアーティストと会え、充実した時間を過ごすことができた。福岡市美術館時代から福岡アジア美術館、そして九州大学での現在、ここまでためてきた後小路さんのアジア美術についての資料が今回の調査もあわせて編纂される。これは本当に貴重な一冊となることだろう。来春の出版が楽しみだ。
by midoriart | 2007-08-23 16:32 | Jakarta