Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

8月22日◆インタビューの嵐(年寄りから若者まで)

 今日1日は、今回の調査同行の中でも一番キツい1日になるんじゃないだろうか。ともかく朝から晩までインタビューの嵐。いくら好きで自分と同じ業種の通訳だからといっても、ともかく通訳というのは頭の中を2つに分けてるようなもので、他人の言葉をひとつも聞き逃せず、普段ポケ~~っとしてる時と違って極度に集中しているから、何時間もは続かない。
 それが今日は朝から晩まで、もちろん食事やお茶で休憩は入っているものの、長かった~~~。おまけに今回は同行通訳&コーディネートもしてるから、インタビューしながら所要時間、次のアポイントのことも考えていなくちゃならない。

 まず朝は後小路さんのお得意どころ、日本軍占領時代に美術に関わっていたシニア作家のインタビューから始まった。

b0090333_23515930.jpg スリハディ。インドネシア独立寸前の1942年頃から当時活躍していたアーティストのグループに入った。当時はまだ12歳、グループでも最年少だったというから、当時を知る作家の最後の生き残りともいえる。かなり貴重なお方らしい。


b0090333_23521659.jpg 今日のインタビューで感動したのは、当時ソロ(中部ジャワ)にいた彼の家に毎週末遊びに来ていた日本兵の一人とは、なんと今でも交流があり、つい先日日本兵だった方の米寿記念パーティをバリ島で開いた際にも、スリハディさんが招待されたというのだ。12歳のとき知り合った日本兵と62年の年月を越えて今も仲良くしてるなんて、スゴイ。最近は第二次世界大戦をテーマに作品を作っている私としては、とても印象的な話だった。

ランチタイムをはさんで、午後がまた大変だった。バンドン若手作家を一箇所に集めての集中インタビュー。私が日本で紹介したことのある作家2人に加えて、ここ数年頭角を現してきた新参者など4人の計6人。バンドンは私の「シマ」ではないので、作家とのコンタクトなどはバンドン在住の私の親友ササンに頼んだ。彼とはインドネシア作家を紹介する展覧会を一緒に企画したこともあり、今年5~6月にかけて1ヶ月は一緒にフィリピンに滞在していたこともある。そのときも二人で作品を手荷物として運んで、マニラのCCP(カルチャー・センター)で若手作家の紹介展を作ってきたばかり。


b0090333_23523378.jpg ジョコ・アビアント。若手というほど若くもないけれど、資料として見せた彼の竹の作品が後小路さんの目にとまったために、今回のインタビューとなった。


b0090333_23525192.jpg みんなを集めたのはバンドンでも大きなアートスペース、スラサール・スナルヨ。ここはバンドンのシニア彫刻家スナルヨ氏の個人ミュージアム。もともとは彼の作品を展示する場だったけれど、今ではホームキュレーターをつけ、若手や海外からの作品も紹介している。かなりレベルの高いアートスペースだ。キュレーターのアグンはササンと同期、彼の企画したバンドンのニューウェーブ7人による『視覚と表現』展はあさってオープニングなのだけれど、特別に見せてもらった。おもしろい展覧会で、ご一行様の中の画廊関係者もかなりお気に入りの様子。


 すでに日も暮れ、高地にあるスラサール・スナルヨも寒くなってきた。腹も減ってきた。けれど仕事はまだ続く。今度はバンドンの新しいグループBUTONを訪問。彼らはひとつの家に共同で暮らし、その場で展覧会も開いている。


 今年フィリピンCCPで開かれた『POPSCAPE』展(マニラにあるナショナル・ミュージアムの主任学芸員パトリック・フローレスとササン、私で企画)に出品したOQもこのBUTONメンバーの一人。作品選考のときには作家本人に会わなかったので、私は今回初めてこの子に会うことができた。

b0090333_23531411.jpg ササンが話していたように、確かにキュートな青年だった。話も明快で賢い子だな~という印象、彼はインドネシアのアーティストとしては珍しく教育大学建築学科出身、モノクロの写真作品を作っている(後ろは彼の作品ではなく、BUTON企画のグラフィティ展)。


b0090333_23533269.jpg RADIもBUTONの一人。彼はお父さんも有名な絵描きらしい。近代絵画専門の後小路さんは
「あ~、そうですか~!僕はお父さんの作品、大好きなんですよ。福岡のアジア美術展でも彼の作品はとても人気でした」
とおっしゃってたけど、私は名前を聞いたことも作品を見たこともないのでわからない。

 息子であるRADIの作品は自分を影絵芝居のキャラクターにダブらせたPOPなもの。日本のマンガの影響も大だけれど、作品のいたるところに彼の出身地であるチルボンのバティック・モチーフが散りばめられている。

 ヤル気のある青年がたくさん集まったBUTONの空気はなんともアクティブな元気なオーラがあった。ガンバレ、バンドンの若者!
by midoriart | 2007-08-22 23:49 | Art