Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

8月1日◆ジョグジャのはずれの家具工場

 来春の国際交流基金事業『ジャパニーズ・アーティスツ・ミート・インドネシア(仮称)』展のための視察団が昨日帰国した。あっという間ではあったけれど、濃い時間を過ごしたのでなんだか一人だけ取り残されたような孤独感がある。
 とはいえ、孤独にひたってる暇はない。私は私で年末の個展の準備をしなければ。

 早速新作のパーツとして使おうと思っている材木探しと、日本で家具の仕事をしている友人の手伝いを兼ね、ジョグジャ市外のチーク家具工場を訪ねることにした。
 まずここの工場主と会う。華奢な身体でなんだかとっても品のあるシルバーグレーのおじさんがオーナー。趣味でランを育てているといって、事務所の入り口はまるで植木屋さんの風情。まずはここでおじさんの人柄を8割方気に入った。私は植物の好きな人に悪い人はいないと思っている。

 事務所からは何も工具の音が聞こえない。どこで家具を作っているのか不思議に思って聞くと、この家の裏にいくつかの場所に分けて工場があるという。
「ほら、一番怖いのは火事でしょう。一箇所に材木から家具から置いていて、火事になったらもともこもない。だから分散させてるんですよ」
ほぉ、なるほど。なかなか賢い。
 

b0090333_3521619.jpg これが事務所から一番近くにある材木置き場。古いジャワ建築で使われていた、しっかり乾燥したチークの柱や扉なども置いてある。新しいものはスラウェシ島から届くという。

「わー、だったらお父さん、去年の地震の後は、崩壊した家の柱とか、たくさん買ったんじゃないの?」
と私が聞くと、このホントに人のよさそうなおじさんは
「いやぁーー、そんなことできませんよ。向こうが買ってくれってもってきた分は買ったけれど、被災にあった人のところに出向いて、そんなこと・・・」
ほぉー、なかなかできた人だ。


b0090333_353614.jpg ここがすごいのは、チーク材のヤニを煮出す釜ももっていること。この釜に製材したチーク板を入れ、一晩煮込むと水はヤニを含んで茶色くなる。それを捨ててしまうと、後の乾燥が速いのだ。ここまでやってる工場は多くはない。

b0090333_3532367.jpg そして乾燥させると、ようやく家具として使える材料となる。


b0090333_3534452.jpg 次の場所ではフィニッシング塗装をしていた。チークの薄い板を貼り合わせて作った工房は、意図せずしてなかなかお洒落な外観をしている。

b0090333_3541970.jpg そして最後に連れてってもらったのが製材所。大きな機械類も充実していて、ここの工場のオリジナルデザインの椅子やバーカウンターを作っていた。職人も慣れたもんで、仕事が速い。こういう場所に来るとついついこっちの腕がうずき出す。
 

b0090333_3544113.jpg 今日のところはリサーチのみとして、材料の質や工場の様子をチェックするにとどめた。帰り道ではこんなバリの絵葉書そのままの風景にも出会えたりして・・・。
 植木好きの工場オーナーの庭に、私が大好きな紅生姜も生えていた。
「わ!私の大好きなジャムー(漢方)なんですよ、これ!」
と叫んだら、さっさと小さな鉢に分けてくれた。やっぱこのおじさん、イイ人だ。
by midoriart | 2007-08-01 22:50 | Yogyakarta