Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

6月2日◆最後のヒト交換してバギオ戻り

 キブガン最後の日。昨日野焼きした猿面は一晩クールダウンされ、CGNのメンバーとレイ君工房の皆さんが約70キロのデコボコ道でも破損がないよう、丁寧に梱包してくれている。私は最後のエクスチェンジをすべく、通訳のレネ君とコーディネーターのマリコさん、そして今回の私の個展『The Back of Affection』をドキュメントしてくれているフィルムメーカー、キドラ・タヒミックと一緒に、キブガン村で健在している元フィリピン軍人を訪ねた。

 偶然にもマリコさんのCGNに関わっている女性のお父さんがこの人だった。私の今回のプロジェクトが第2次世界大戦に大きく関わっていることを知ったマリコさんが、気をきかせてコーディネートしてくれていたのだ。日本軍がしでかした「死の行進」では何万人ものアメリカ兵とフィリピン人が亡くなった。その出来事から、私は今回の交換プロジェクトを思いついたのだ。だから第2次世界大戦を知っている人と、私の作品を交換したいという想いをマリコさんは察してくれていた。


b0090333_0434759.jpg 今年86歳というこのお爺さんは、私に日本軍に撃たれたといってスネと右腕の傷を見せてくれた。
「わたしはね、戦争の前から日本人の下で働いていたんですよ。だから日本のことが大好きなんだ。でも政府が悪くて、あの時戦わなければならなかった。アレは政府が悪いんですよ・・・。今、こうして日本人のあなたがわたしの家に訪ねてきてくれる。こんな平和なことはない。嬉しいですよ・・・」
 お爺さんはわたしの手を握って離さなかった。


b0090333_044470.jpg 老夫婦と交換をして、猿面の梱包を始めているだろうササンたちの元へ帰る途中の山道で見たキブガンの山。


b0090333_0441746.jpg ここんところの天気からして、午後になったら雨が降る。そしたらキブガンの山道を走るのも大変だし、今回帰宅組は人数が多いから、ジープの屋根にも人を乗せなくちゃいけない。早々に150個の猿面を新聞紙で包み、11時にシティホールを出発。さらばキブガン・・・。


b0090333_0443247.jpg 途中、川のほとりでランチタイム。久しぶりにこんなピクニック気分を味わった。


b0090333_0444512.jpg 喜びもつかの間、ジープに戻るとブレーキの故障。ポツポツ雨まで降ってきて不安なところでなんとか直って再出発~。屋根の上にはマリコさんキッズ他ササンやレイ君、もう一人のグループ展参加者カワヤンの友達3人も乗っている。どんどん雨足がひどくなる中、でもジープ内にはもうこれ以上の人が乗れる余裕もなく、おおきなシートにみんなが隠れた状態で街まで。

 バギオの街までくるとさすがに警察がうるさいらしく、キッズはジープ内のみんなの膝の上に乗ることになったけど、大人3人にはどうしてもスペースがなかったので、そのままシートの下で荷物と化してもらって、6月5日から始まるこの展覧会の会場、VOCASへ向かう。

 人手のあるうちにすべての猿面をVOCASへ運ぶ。だって、VOCASはビルの4階で、このビルにはエレベーターがないんだから。みんなゼィゼィ言って重い猿面の入ったダンボール箱を運んだところで今日はお開き。

b0090333_045037.jpg キブガンから久しぶりにバギオに出てきたレイ君とササン、そして私の三人はキドラ宅泊まり、思ったより遅い時間になったので、そのままVOCAS近くにあるピザの老舗でディナー。こじんまりと野焼きの成功を祝った。パン焼きの上手なレイ君オススメのパスタとピザ、なかなか美味しかった。明日から2日間は作品展示で忙しくなる。
by midoriart | 2007-06-02 22:42 | the Philippines