Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

5月15日◆バギオ個展のパートナー:Kidlat Tahimikというオジさん

 ついにフィリピンへの出発まで残すところ2日となった。1ヶ月の洋服や下着、個展の作品一部、マニラのミュージアムで開催するインドネシア若手アーティストの紹介展「POPSCAPE」の作品・・・と荷造りしてたら結構な量になってきた。個展のための作品は、今回の場合すでに大半を去年フィリピンへ送ってしまっているからいいものの、今回使用するガラスの箱とか、陶の作品とか、手荷物にしないと危険なパーツがいくつかあるから、なんだかんだいって多い。

 今回の個展では、昨年8月にケソン市にあるギャラリーGreen Papayaで展示したものと同じ「ヒト」を使う。もともと1,080体作り、フィリピンへ送ったものだ。「The back of Affection」というタイトルのこの作品は、ヒト型のオブジェを並べて見せることが目的ではなく、会場に来た人がこの「ヒト」を一体選び、その場で本人の持っている何かと交換することが目的。観客の置いていったもの、「交換物」が展示作品となる。
 昨年8月と10月、二度の個展を終え、ヒトは残すところ80体あまり。今回の個展は「The back of Affection」プロジェクトの最終章となり、この80体すべてを交換し、過去からの交換物約1,000個をすべて展示する。

 過去の2回と大きく違うのは、観客をギャラリーで待つのではなく、私から一般の人々の家に出向くこと。ギャラリーのように、来訪者が「アートを見る」という意識を持っている環境の中ではなく、フツーに生活している人の「日常」へ私から入り込み、エクスチェンジをお願いするという方法だ。
 そして私が選んだのは、バギオ市から車で4時間のキブガン村周辺。まだまだ昔のままの自然に密着した暮らしをしている山岳地帯。さらに、この交換プロジェクトを、今回はドキュメントしてくれる人がいる。バギオの重鎮アーティスト、キドラッ・タヒミック(Kidlat Tahimik)だ。


b0090333_18192478.jpg 彼とは昨年バギオを訪れたときに知り合い、その人柄に私がとても惹かれた人。人は皆、彼を「クレイジーだ」と言うけれど、私から見れば知的にコントロールされた彼のクレイジーぶりはとてもスマート。植民地、戦争、民族文化問題を真摯に見つめて独自の視線で語る彼はとても魅力的だった。
(右がキドラ。左は三男)


 今日はガイドブックやインターネットでバギオの予習をしていた。
そしてキドラについて調べていて驚き。私の知ってる彼は、バギオのクレイジーなアーティストで、三人の息子(それぞれに美術関係の仕事をしている)のとってもやさしいお父ちゃんというだけなんだけれど、実は映画界ではスゴイ人だった。


b0090333_1820920.jpg 1942年フィリピンのバギオで生まれた彼は、1977年の処女作「悪夢の香り(Perfumed Nightmare)」でその年のベルリン国際映画祭批評家賞受賞、その後の作品「Turumba(81)」や「虹のアルバム:僕は怒れる黄色(94)」などで日本でも高い評価を得ているお方だった。
(「悪夢の香り」の一場面)


 特に「虹のアルバム」は、81年からずっと彼のドイツ人の奥さんと、その間に生まれた三人の息子を数年に渡り淡々と移し続けた作品で、「終わりのないドキュメンタリー」と評されている。山形映画祭ではすでに馴染みの作家らしい。


b0090333_1821715.jpg ネット上の彼は、ふんどしをしていた。私がバギオで会った時も、自分の生まれ育った村の伝統(=ふんどし)について熱く語ってくれたもんだ。さすがに私の前でふんどし姿にはならんかったけど。彼の村には昔からふんどし文化があり、キドラはそれを守るため、植民地批判のアイコンとして、自らふんどしに身を包む。

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(キドラの守る伝統のふんどしに身をつつんでパレードするグループ。
http://baguio.cocolog-nifty.com/nihongo/より)




 少し前に、今回の「バギオ国際環境デー」主催NGOの代表マリコさんとメールでやりとりしていて、私のヨーヨー熱のことを話したら、
「ま~!なんて縁があるんだろうね。キドラが昔『YO YO』って映画撮ってるのよ。ルーツはフィリピンなんだって説があって、それで映画にしたみたいよ。私もまだ見てないけど」
と教えてくれた。お~~バギオにもヨーヨー仲間!!!


b0090333_18214672.jpg そして、マリコさんの言葉を裏付けるように、今日ネットで見つけた彼はこんな姿をしていた(かなり若い時の写真だな~)。これはもう、会ったらすぐにヨーヨー・コミュニケーションかも。今回の滞在中に、なんとしても彼の映画『YO YO』を見なければ!
by midoriart | 2007-05-15 18:22 | the Philippines