Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

4月21日◆思わぬ長旅(バンドン1日目)

 今回のバンドン行きは、6月中旬からフィリピンで開催予定の「Everyday Life and Popular Culture –Indonesia Young Artists-(仮称)」で紹介する若手アーティストのリサーチが目的。ジョグジャ⇔バンドン間は約500km。中途半端に近くて遠いので、この間の飛行機はあまり飛んでいない。さらにバンドンは1000m級の山々に囲まれた盆地で、着陸時にかなりの覚悟がいるとみんなから聞くので、私としては飛んで行きたい場所ではない。
 そうなると選択肢はジャカルタまで1時間飛んで電車で2時間戻るか、素直にジョグジャから電車に8時間揺られるか。値段的に私は後者を選んだ。


b0090333_14293092.jpg ジョグジャカルタのトゥグ駅を23:40に発つ夜行電車は、バンドンに翌朝07:33着予定。最近はインドネシアの鉄道事情も随分よくなり、1~2時間遅れても当たり前ってことがなくなった。予定より10分遅れて駅に入ったエクスプレス号に乗り、とっとと眠る私。
(夜のトゥグ駅。私が慣れたからか、駅が改善されたからか、物騒な印象はない)


 午前5時、乗務員に毛布を取り上げられる。電車は止まったままで動いていない。乗客がザワザワしている。私の耳にはiPODのイヤホンがささってるので、車内アナウンスが聞こえなかった。隣の席のオッチャンに聞いたら、
「わたしらの前の列車が転覆事故らしい。バンドンまでは行けないから、バスに乗換えないといけないよ」

b0090333_14303972.jpg ここ数日の雨で、弱い地盤が崩れたところを通過した電車が、そのまま傾いて川まで落ちていっちゃったという。こっちが先行してたら・・・と思うとぞっとする。それでも死者がいなかったのは不幸中の幸いか。



b0090333_14301811.jpg そんなわけで、あと1時間半もあればバンドン到着って所まで来ておきながら、我々乗客はバスに乗換え、4時間の山道を通ってバンドンへ向かうことになった。ま~それでも途中にはこんなキレイな景色も見れたので、仕方ないか・・・
(アンラッキーの中にもラッキーを見つけることが上手くなったのは、とにもかくにもインドネシア暮らしが長いからだと思う)。


 結局バンドンの駅に着いたのは11:30。昨晩電車に乗ったとこから12時間の旅、老体には結構厳しい。駅には展覧会を一緒に企画しているバンドン工科大学美術学部の講師、ササンが迎えに来てくれた。セラミック・アーティストの彼も、今度のフィリピン(バギオ)のイベントに招待されている。仕事が速く、正直で真面目なので、彼とは過去にいくつかの展覧会を共同企画してきた。インドネシアの友人の中で、私が一番信頼している人だ。


b0090333_14311494.jpg 駅の喫茶店で2日間にやるべきことを話し合い、ざっとスケジュールを立てて、とっとと始動。アンコッ(乗り合いバス)で第一の目的地を目指す。
(アンコッに乗ってくる子供の流し。ギターも歌もなかなかの腕前)


b0090333_14313544.jpg インドネシア若手作家としてフィリピンで紹介するアーティストの候補の1人は、バンドンで有名なTシャツブランドのデザイナー。彼は今バンドンにいないので会うことができなかったけれど、ササンが事前にコンタクトを取り、彼の作品資料CDをこの店で受け取ることにしていた。
(店内は日本にあってもおかしくないようなコジャレた内装。左隅の細くて高いのがササン)


b0090333_14315775.jpg 次に訪ねたのはCCF、フランス文化センター。ここの展示スペースでパフォーマンス・アーティスト集団が展覧会をしていた。今日は私の旧友ヘルーがディスカッションのパネラーになっていたので、正直あまり興味はなかったのだけれど、のぞくだけのぞいてみた。
 彼にささっと挨拶だけして、次の目的地へ。
(CCF。INVALID URBANというアーティスト集団のグループ展風景)


b0090333_14322818.jpg このヘルーはRed Pointというギャラリーの専属キュレーターでもある。彼はディスカッションが夕方まであったので、私はササンと二人でギャラリーへ。Red Pointは私がバンドンへ頻繁に遊びに行くようになった90年代半ばにすでにあった版画家グループの名で、彼らが集まる場が発展して展示スペースになっていったもの。
 その後、名を聞かなくなった時期を経て最近また復活し、展示スペースでは版画作品に限らずいろいろな作品を紹介している。残念ながら今は展覧会がなく、27日から始まる次の展覧会用の作品がディスプレイ待ちで置いてあるだけだった。


 バンドンもジョグジャと同じで夕方からどよ~んと曇ってきた。
 今日のお宿はバンドンの女性アーティスト、プリラ宅。彼女の作品は2005年夏と2006年春に「Passing On Distance ~90年代以降のインドネシア若手作家たち~」展の中で名古屋(NAF Gallery)と東京(BASE Gallery)で紹介したことがある。
 今回のフィリピンでの展覧会にも、私は彼女の作品を持って行きたいと思っていたので、最新作を見せてもらうついでに、そのまま泊めてもらうことにした。今まではバンドンではササン宅が定宿だった。でも昨年末に結婚して、嫁は東京芸大陶芸科に留学中だという状況で私が泊めてもらうのも今ひとつ気がひけるし、それよりなによりササンちは温水がない。プリラ宅はでかくてキレイで温水シャワーもあるので、気持ちのいい方を選ばせてもらった。


b0090333_14354340.jpg せっかくのサタデー・ナイト。ササンと一緒にプリラのオススメ・スポットに連れてってもらうことにした。コーヒー・ショップ&ライブラリーPatluck。店内は展示スペースもあり、若手アーティストの発表をサポートしているという。プリラもここで過去に展示したことがあるらしい。今はササンの教え子にあたる現役の学生のイラストレーション展が開催されていた。
 

 考えてみたら電車脱線のため、昨日の夜はあまり寝てなかったので、午後11時にプリラ宅へ戻り、とっとと就寝。
by midoriart | 2007-04-21 23:28 | Bandung