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Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

栄養失調と疫病

 日本のメンバーの皆さんに支えられてジョグジャ被災地で展開中のこどもテント・プロジェクト、現在我々のプロジェクトはプンドン村の第3テントとセウォンの第4テント、この2箇所で進められている。2週間ごとにプログラムの反省会、村の人たちからの意見を聞き、次の2週間について計画を立てるという方法でここまできた。明日22日は今のタームの最終日、23日からの2週間について第3、第4テントで確認したところ、プンドン村第3テントはそろそろ村の青年団員たちで自立していけそうとの見解になった。

 第3テントでは今まで東グループのスタッフが入り、ヤル気いっぱいの青年団員、心優しい母ちゃんグループと共に、充実のプログラムが遂行されてきた。父ちゃんたちの希望を聞いてイスラム指導者を招待したり、週末のサッカー鑑賞会、遠足なども企画した。

栄養失調と疫病_b0090333_23281477.jpg けれど、我々のサポートは永遠ではない。私と東の願いは、こどもテント・プロジェクトをきっかけに、村人たちで今後のプログラムを進めていけるようになること、つまり自立のお手伝い。今回のミーティングで、ついにプンドン村は自立を決めた。ここからは青年団員で子供たちへのプログラムを続けていくことになる。もちろん、こどもプロジェクトのテントはそのままおいていく。食事と栄養補助食品のサポートは現在のタームが終わる明日まで続けられるが、先週土曜日には村人たち企画のお別れ会が開催された。

栄養失調と疫病_b0090333_23343458.jpg こういう場は私は好きではない(年とって涙もろくなっていけない)ので、東たちに出席してもらい、今日その報告を受けた。お別れ会ではステージも作り(こうした設備もすべてメンバーの皆さんの義援金でレンタルしております)、青年団がバンド演ったり、父ちゃんも大ハッスルで歌っちゃったり、老若男女みなさん大喜びだったらしい。

栄養失調と疫病_b0090333_23291349.jpg この子は第3テントが始まった頃、被災で足を骨折していた。いつも淋しそうな顔をしていたのが、こどもプロジェクトTシャツの配付で初めて笑顔を見せた。私がフィリピンから戻ったら、もうギブスも取れ、松葉杖をつきながら友達と外を走り回れるようにまでなっていた。彼女がテントでの想い出を詩にして読む。最後にはスタッフに泣きついて大変だったらしい。彼女の地震の記憶には、このこどもテントが大きく刻まれるのだろう。

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 これが東グループのやさしきボランティアたち。会が終わる頃にはみんながしんみりしちゃって、子供から大人までが号泣して
「ありがとう、ありがとう。これからも遊びにきてちょうだい、わたしたちのこと忘れないでね…」
とすがりついてきて、それをとりなして場を去る頃には午前1時半を回ってたという。
 あー、行かなくてよかったぁ~。私言ってたら、絶対につられてるからなー。そんな話をする東の目が心なしかうるんでいたのは気のせいではないような気がした。

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 私の壁画描きがいつからできるか、夕方東がチェックしてきてくれた。すでにここまで進んでました~!なので、明日私は壁画描きに行ってくる。東グループから2人の助っ人も来てくれるので、2日もあれば仕上がるだろう。どんどん完成近づいてきてワクワク。明日には幼稚園の机&椅子セットも発注、目標は来週明けの開園式。

栄養失調と疫病_b0090333_23304133.jpg 裏に作ったトイレもこんな感じで完成。明日にはこのタンクの下を掘り、簡易井戸を作る。最初は隣りの家の井戸から水を引くつもりだったのだけれど、工事が進むにつれ、そこの家主の思惑に少々気になる点があり、できれば幼稚園で独立して水源をもっていた方が、後々問題がなくていいと東と決め、多少費用がプラスされたけれど自力で井戸を作ることにした。


 ところで、今日東から聞いて驚いた。
 このバンブー幼稚園近くの村では、0~60ヶ月までの子供70人中、15人が極度な栄養失調だというのだ。激災地は何度も言うようにジョグジャの中でも貧困層が暮らすエリア。もともと子供たちには栄養が足りなかったところへ今度の被災。親も子供の栄養にまで気が回らない。回らないというか、お金がないからどうしようもない。国は何も援助してくれないから病院へ連れて行くこともできない。

 今日この話を聞いてから気が重くなってしまった。我々の救援活動には当然限界がある。けれど、今幼稚園建設を進めているこの村に、生命に関わる栄養失調の子供が15人もいる。一つの村だけでこの数だ。被災地全体ではどれだけの子供が明日の生命もわからずにいるのだろう。東に頼んで正確な子供の健康状態や人数のデータと、我々にできるサポートの方法を村長と相談してもらった。我々が全能ではないことはよくわかっている。お金ですべてが解決できるわけでもない。けれど、今身近にいるか弱き命に対して、何が我々にできるのかを考えたい。もし方法さえ見つかれば、義援金の残りはそのために使ってもいい。いくら幼稚園を作ったって、そこに来る園児たちが栄養失調では意味がないんだから。
 
 まずは何かの縁で幼稚園建設が決まったエリアの子供に限って、我々で手を差し伸べようと思う。今日の相談では、栄養食・粉ミルク・ビタミン剤が定期的に手に入るだけでも大きなサポートになるとの意見だったので、正確なデータをもらった上で一人一人に確実に配布するつもりだ。今週中に動くことができるだろう。今まで幼稚園建設に頭がいってて、子供の健康状態に気が回っていなかったのは確かだ。こうしたことも、あるエリアに深く関わっていってこそわかってくることだ。今でこの状態となると、しばらくして始まる雨季以降はもっと伝染病などが広がってくるのは目に見えている。今から、我々にできるベストなサポートを考えていこうと思う。後半戦は栄養失調、疫病との闘いになるのかもしれない。

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by midoriart | 2006-08-21 23:19 | Jawa Earthquake