Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

フィリピンの上流階級アートアワード

 昨日ルソン島北部サンバレスの海岸から宿に戻ったのは11時過ぎだった。自動車&道路のコンディションが悪い中、車の往復約8時間は老体に堪えたようで、起きると全身が痛い。でも今日はアルマと以前からの約束がある。
 UP(フィリピン大学)から待ち合わせの場所まではジプニーに乗る。これは米軍使用だったジープを15人ほどが向かい合って相乗りできるよう改造した、最もポピュラーな交通機関。運賃、払うときのタガログ語をアシスタントのアマンダちゃんが教えてくれたので、一人でも乗れるようになった。
 
b0090333_0283389.jpg 今日約束していたのは、横浜やキューバの大型国際展にも招待されている、国際的女性アーティスト、アルマ・キント。彼女とは昨年横浜ビエンナーレの開催時に会っている。今回私をUPに招待してくれたメイ女史の親友でもあるアルマは、偶然横浜で私と会ったことをとても喜んでくれた。
 今回私がフィリピンに来てからというもの、ワークショップ、アーティストトーク、個展のオープニングとすべてに来てくれている。何度もスタジオに遊びに来るよう言われていたのに互いの予定が合わず、今日まで延び延びになっていた。

 彼女は子供たちへのワークショップを開き、自分の作品を子供たちに触れさせるところから作品を発展させていく。心身ともに傷をおった子供たちを集めた施設では、数年に渡り美術を通したコミュニケーションを試みている。そんな彼女のスタジオはUP近く、ニノイ・アキノ公園内にある。緑の多いとても環境のいい一角。ここで横浜やキューバへの出品作品を見せてもらい、その背景にあるフィリピン女性問題、宗教的問題などについて話を聞いた。

b0090333_0293695.jpg 先日、私の個展のオープニングに来てくれた日は彼女の誕生日だった。彼女が作品に布を使っていることを知っている私は、私の七五三の着物で作ったミニ座布団を一枚、誕生祝にプレゼントした。きっとそのお礼のつもりだったのだろう、今日は彼女が彼女の作品を私にくれた。それがこれ。一見海賊の帽子のようにも、飛ぶことのできる不思議な物体にも見えるこの作品、実はおっぱい。かわいい形の裏にはフィリピンの重い女性問題が含まれている。

 アルマとランチを一緒に食べた後、UPに戻り、久しぶりにアシスタントのアマンダちゃんと会う。彼らのクラス(メイ女史の教え子たち)とは今後もまだ私の作品を通してワークショップがあるので、今日はその打ち合わせ。UP内でもっとも人気があるという喫茶店に連れてってもらった。にしても、こんな洒落た喫茶店が構内にあるってのがスゴイ。さらにケーキも美味い(あ~ヤバい、食べちゃった…)。その名も「Chocolate Kiss」、カップルの学生には大人気のデートスポットらしい。

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 夕方からはナショナルミュージアムのキュレーター、パトリックに誘われて「アテネオ・アート・アワード」の授賞式に参加。これはフィリピンでは数少ない美術コンペの一つで、パトリックは審査員の一人だったのだ。
 アテネオというのは、今回私がアーティストトークをする予定だった大学なんだけども、飛びぬけた金持ち大学。美術関係の学部はないのに、構内に立派なギャラリーをもち、それだけじゃなくて大学の名のついたアワードまで開催している。授賞式には国際交流基金ディレクターのBさんも招待されていたので、私も一緒に堂々と審査員席に座ることができた。


b0090333_031862.jpg にしても、パトリックが笑って言うように、絵に描いたようなハイソサエティーな世界。偶然にも去年同じ時期に初フィリピンした私は第2回アテネ・アート・アワードを大学構内のギャラリーで見たのだけれど、今回の場所はロックウェル・モールというとんでもなくお高いショッピング・モール。まだ出来たてでタクシーの運転手も知らないような場所での開催となった。

b0090333_0314838.jpg せっかくなので早めに行ってショッピングモールを探索してみると、私のようなファッション音痴でも知ってる高級ブランドばかり。いったいこの国って経済的に上がり気味なのか?街を走っているとかなり貧しいように見えるけど、ハイソサエティーな人は「超ハイ」みたいだ。貧しいものはずっと貧しく、金持ちはどんどん金持ちになる、インドネシアの社会構造と近いのかな。

b0090333_0325228.jpg とまれ、アワード自体もこんな感じ(一番右はパトリック)。
 まるでアカデミー賞かMTV賞みたいなノリ。ノミネートされた若手アーティストの作品紹介もビデオ。もうスター並み。アーティストがスター扱いされる時代になったのか。それともこのアワードだけが変に浮いているのか? いかにも「アーティストしてます」ってパフォーマンスしてる人もいれば、自然体な人もいる中、選ばれたのはこの3人。
 
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 白黒写真の作品を作っていた一番右の天パの兄ちゃんが一等賞。私は一番左に写っているハゲ兄ちゃんの作品が気に入った。彼はパフォーマーでもあり、ノミネート作品にはパフォーマンス・ビデオと平面作品が一緒に展示されていた。   
 授賞式が終わって午後9時。国際交流基金のBさんが私が一人で帰るのを心配し、本人の運転手を私につけてくださったので安心して長い道のりを宿まで帰ることができた。車内でパトリックに携帯電話メッセージを送る。
「さっきは帰る挨拶できなくてゴメンね。今度は木曜に会おうね」
「ミドリわかったでしょ。これがこの国のハイソサエティー世界なのよ。楽しめた?ハハハ・・・」
 彼自身、好きな世界ではないようだ。パトリックには木曜日、ルソン島南部のアーティスト村に連れて行ってもらうことになっている。
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by midoriart | 2006-08-08 23:21 | the Philippines