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Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

こどもプロジェクト・プレゼンツ「スペシャル・フライデー・ナイト」

 あっという間にまた週末。今日の私は地道な個展の準備に時間を費やし、東グループは日々のこどもテントのプログラムをつつがなく遂行したのであまり特別な報告はない。なのでお待たせの金曜の夜の報告をここでしよう。
 場所は第3テントのあるプンドン。以前から何度も話しているように、第3テントは一番受け入れ体制がいい。長老組を筆頭に、父ちゃんグループ、ママさんグループ、青年団などがしっかりまとまって動いている。そんな第3テントで、以前から長老たちが東に話していた。
「わしらはなぁ、毎週一回は集まってプガジアン(イスラム教徒が集まって説教を聞いたり、勉強会をすること)をしてたんだけれども、今の状態ではそれも継続できなくて・・・。せっかくあんたたちがこんな立派なテントも建ててくれたし、キアイ(イスラムの宗教指導者)に来てもらって、説教でも聞けたらいいんだが…」
 イスラム教徒たちの日課や信仰心について疎い私に、東が説明してくれた。やはり今彼らに必要なのは、宗教的指導者による励ましの言葉、イスラム教徒としてどうすべきかなどのアドバイスだという。できる限り子供から大人のメンタルケアもしたいと思っていたところなので、こうした方法が第3テントで有効であるなら是非実行したい、こどもプロジェクトがサポートしましょう!ということで「スペシャル・フライデー・ナイト」が実現した。

 以下、6時半から始まったスペシャルナイトのメニュー。

こどもプロジェクト・プレゼンツ「スペシャル・フライデー・ナイト」_b0090333_0115178.jpg 子供たちによるイスラム唱歌。数日前からみんなで練習した。ちゃんとその成果がみんなに見てもらえてよかったよかった。その後は数人の子供が自作の詩を読んだりもして・・・


こどもプロジェクト・プレゼンツ「スペシャル・フライデー・ナイト」_b0090333_0132344.jpg さて、これが今回のメインイベント。村の衆が待ちに待ってた人! 
 写真だけ見ると単にちょっと怖めの兄ちゃんなんだけれど(若乃花が改宗したんじゃない)、実はこの人、イスラムの宗教指導者でもある、スーパーナチュラルなお方。民放TVで番組も持ってるし、インドネシアの有名新聞コンパスには星占いも掲載している。
  なんでこのムー・レオ氏がここに来てくれたかというと、実は東のおかげなのだ。ムー・レオ氏は文化人、映画関係者、カメラマンなどとも交友が深く、ジョグジャ地震の被災者たちに何かできないかと、ちょうど東に相談がもちかけられていたのだ。だからもちろん彼はノーギャラ、ジャカルタから自分で車を運転して、このイベントに参加してくれたというわけ。さらに彼は、ジャカルタで今売れっ子のフォトグラファー、ダルウィスも連れてきた。このダルウィスは私の親しいアーティストとコラボレーションして作品作ったりもしてて、過去には作品がポルノと扱われて裁判沙汰にまでなった人(詳しくは過去の記事「ポルノなアート」を参照)。彼はムー・レオ氏と一緒に被災地を巡り撮影し、後で写真展を開いて作品を売り、その収益を東に託したいというのだ。東~、なかなか交友関係広いじゃん。

こどもプロジェクト・プレゼンツ「スペシャル・フライデー・ナイト」_b0090333_0141656.jpg
 
 説明が長くなったけれど、村の衆が待ちに待ったムー・レオ氏の説教が始まる。といっても、一人で説くってものではなく、地元の知識人や宗教指導者を交えての座談会みたいな感じ。にしてもこのセットすごいでしょ。参加者がとても多かったので、遠くからでも見ることができるように、スクリーンも使っての講演だった。こういうとき映像関係の東グループが本領発揮する。


こどもプロジェクト・プレゼンツ「スペシャル・フライデー・ナイト」_b0090333_0145740.jpg そして地元のキアイ(宗教指導者)による祈り。こういうのが地元の人には本当に大事なんだってことは私も知っている。きっとプンドン村の人たちみんなが勇気づけられたと思う。

こどもプロジェクト・プレゼンツ「スペシャル・フライデー・ナイト」_b0090333_0153041.jpg  次は青年団によるイスラム唱歌合唱。

こどもプロジェクト・プレゼンツ「スペシャル・フライデー・ナイト」_b0090333_0161179.jpg
 締めはママさんと父ちゃんグループによるガムラン・アンサンブル。この村にはもともとガムラン音楽のグループがあり、実は今我々のテントを設営している場所はまさしく彼らの練習場だった。建物は地震で全壊、ほとんどの楽器が被災して使い物にならなくなった。今回は別の村から楽器を借りての演奏会となった。
 
 子供から大人まで、みんながこぞったスペシャルな金曜日の夜。
 日本人の我々がイベントの内容を聞いてもピンとこないかもしれないけれど、こんな時期だからこそ、宗教指導者の言葉や、子供たちの歌声が必要なんだと思う。私は出席できなかったけれど、東の報告から村の衆がどれだけ満足していたかがよくわかった。これからもこのような行事が被災者のメンタルケアに有効であるのなら、こどもテント・プロジェクトの一つのメニューとして考えてもいいと思っている。こうした行事はその村の組織、住民の宗教などによっても違いがあるので、どこでも同じ方法が有効とは限らないけれど、みんなでまとまって何かをするってことは大事だと思った。
 
 来週には芸大教授がリーダーとなる第4テントも始まる。それぞれのテントがそのエリアの必要に応じてうまく活用され、最終的には村の衆でプログラムを継続していけるよう、ベストな方法を探りながら進んでいくつもり。私は今月26日から3週間ジョグジャを空けることになるけれど、「こどもプロジェクト」はまだまだ先が長い。できるだけたくさんの子供の笑顔が見られるように、ボランティアの動きもそれぞれ負担がないようにコントロールしていこうと思っている。

 こちらは乾季に入って寒がりの私にはちと寒い毎日。今朝から鼻風邪ひいたようなので、今日の報告はこのくらいにして早めに床に入らせていただきます。今日は新メンバー報告はありません。ではよい週末を。
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◆東って誰?って思う方は、当ブログの「新たな仲間登場」
http://midoriart.exblog.jp/d2006-06-05を見てください。
◆「救援パック・プロジェクト」隊員って誰?って思う方は「ジョグジャ救援パック小隊:隊員紹介」
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◆救援パック・プロジェクトの1ヶ月の会計報告は
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by midoriart | 2006-07-08 23:59 | Jawa Earthquake