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Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

シンガポールの旅

日本がGWでお休み気分だったとき、私は突然決まったシンガポール旅行に出ていた。といってもたったの二日。実は今まで使用していたボランティアの長期ビザの更新中に、移民局の規定に大幅な変更があり、私のビザの場合、更新ができなくなってしまったのだ。ビザの更新手続きなどいっさいを任せているエージェントからの報告を聞き、やむを得ず私は、いったんインドネシアを出国して一番近いシンガポールへ行き、新しいビザにして入り直すことにしたのだった。

 バリで長く暮らしていたときにも、ビザの手続き等でシンガポールのインドネシア大使館には行ったことがある。シンガポールは今回で3~4回になる。ビザの手続きもあるけれど、たまによその国へ行くのだから、少しはツーリスト気分も味わいたい・・・とインドネシアを旅たったのが5月4日。
 6月の帰国を前に、ジョグジャカルタでやっておかねばならない仕事もたくさんあるので、長旅はできない。3日の予定でチケットを予約したところ、ギリギリになって帰りの便が取れないとわかった。しかしインドネシアでの滞在日数を考えると出発を遅らせることはできないのでやむをえず1泊2日のシンガポール旅となった。
 着いてすぐに大使館の用を終え、後は街歩き。まずは美術館、博物館、ギャラリーをチェックし、何年かぶりの「リトルインディア」へ。ここはインド人の集まったエリアで、ターバン巻いて額に赤い点をつけたおじさんや今にも踊りだしそうな衣装のお姉さまが歩いている。インド大好きな私はもうウキウキし始める。そして早速カレーの屋台でチキンカレーとチャイを注文。この周辺にはアラブ・ストリートなるものもあり、まるで小さな世界旅行をしているようだ。

シンガポールの旅_b0090333_19464690.jpgさすがは多神教のヒンドゥー教、寺院はあふれんばかりの神像。神殿に入る前に入り口で靴を脱ぐ。

バリではヒンドゥー教に馴染み深い私も、本場インド人のヒンドゥー教は随分バリ・ヒンドゥーと違うので驚いた。

 神具はほぼ同じだが、僧侶のコスチュームも「インドっぽい」。バリの場合はやはりどこか「バリっぽい」のだ。さらに、祈祷の後にバリでは聖水と聖水に浸した米粒をもらい、それを額やこめかみにつけるのに対し、シンガポールのヒンドゥー寺院では焚き物の灰をもらって眉間と首の付け根につける。

 もう一つ、バリでは寺院内に入るには正装でなければダメなのに対し、ここでは仕事帰りのお姉さんとかが普通の服装でお祈りしていた。
こうした混合文化はホテルでTVを見ているともっと感じる。ある番組は英語にマレー語の字幕、タミール語放送で英語字幕などなど・・・。インドネシアも他民族国家ではあるけれど、公用語インドネシア語があるためか、もう少し言葉としてはまとまっている感があるけれど、シンガポールでは数種の言語がそのまま一般的な言語となっているのがおもしろい。

 翌日は朝からヒンドゥー寺院巡り。ここでも嬉しい景色を見た。探していたヒンドゥー寺院は中国系シンガポール人の仏教寺院と隣同士に建っていた。道に両方の教徒のために祈祷道具(花、線香など)の売り子がたくさん出ている。ちらっと中国寺院をのぞいてヒンドゥー寺院へ行くと、入り口には何人もの中国人が、仏教式に祈りを捧げている。インド人もそれを当たり前に見ている。  「これはいいな・・・」 と私は思った。

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インドネシアも国教として5つの宗教が認められてはいるが、時にはイがう宗教どうしでもいがみ合い、エスカレートして闘争や爆弾騒動にまで発展することもあるのに対して、シンガポールのこの風景にはとてもほのぼのとさせられた。このくらいのアバウトさっていいなーと本当に思う。見た目と違って結構几帳面な私に沖縄の友人が
「ミドリさん、もっとテーゲーでいいのよ・・」
と私に言ったことがあるけれど、中国人のおばちゃんが仏教徒のやる方法で、ヒンドゥー寺院の前で祈っている姿を見たときに、私は即座に
「なんてテーゲーなおばさんなんだ・・・」
と思った。でも、このテーゲーさが、他民族、他宗教、多言語のシンガポールでみんなが仲良く暮らしていく秘訣なのかもしれないなー・・・と思いながら、短い旅を終えたのだった。
by midoriart | 2005-05-12 21:56 | Culture