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Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

20年ぶりの芸祭&染谷亜里可展

 愛知芸大の芸術祭が11月3日~5日開かれた。在学中サッカー部に在籍していた私は、卒業してから2~3年はOB戦に出たり、見たりするために芸祭にも行ってたけど、だんだん時とともに、どんどん年寄り扱いされ、体力的にOB戦で走るなんてとんでもないことで、そしてるうちに日本を離れ、芸大とも芸祭とも縁がなくなっていた。
 でも今年は違った。昨年くらいから、愛知芸大建替に関する議論が熱くなっていて、日本のモダニズム建築家の一人、吉村順三がつくった愛知芸大を守ろう!という機運が高まってきていた。私の周囲には建築系に進んだ先輩・同期がたくさんいて、署名運動したり、貴重な吉村順三建築保護の展覧会があったりと、愛知芸大を思い出したり意識することが増えていた。
 さらに、私の大先輩にあたる奈良美智さんが一ヶ月くらい前にメールをくれて、「芸祭でおでん屋やるよ~」と教えてくれたのだ。いまや世界を飛び回ってる奈良さんが、芸祭でおでん屋。これは手伝いに行かねば・・・と私なりに気合を入れての芸祭。

20年ぶりの芸祭&染谷亜里可展_b0090333_21131045.jpg せっかくなのでサッカー部のOB戦のある日にあわせ、もちろん私はもう出場しないけど、最終日5日に同期の友達誘って大学へ。懐かしいぃ~~~。これぞ吉村建築!4年間講義を受けた講義棟。この下がそれぞれの科や部の出店になっている。20年前と同じ店があるのも嬉しい。日本画は餅屋の「ぽん」、彫刻科は居酒屋「大刻屋」、サッカー部は「ゴジラハウス」、バスケ部は「ケシの花」などなどこれは愛知芸大の伝統なんだな。

20年ぶりの芸祭&染谷亜里可展_b0090333_21155677.jpgこの店は初めて見たけど感動した。いかにも芸術大学らしい!弦楽器の学生の生演奏が聞ける喫茶店「GEN」だと。これはいいアイデア!それに曲もちゃんとしてる!

20年ぶりの芸祭&染谷亜里可展_b0090333_21165159.jpg 奈良さんが現在彫刻科准教授の森北ちゃんとやってるおでん屋「ぽとふ」はどこかと探したら、あったあった。ちょっとA to Zの作品っぽい、ちっちゃいけど洒落た店。けれど開店は5時とある。そうそう、今日は奈良さんの講演が2時からあるのだった。こんな辺鄙な愛知芸大なのに、奈良さんの講演を聞きたいとすごい人数の人が集まっていた。コンサートでも始まるかという勢いで講演前から長蛇の列。世界の奈良のスゴサを思い知らされる。森北ちゃんのおかげで整理券もGETでき、長野からやってきた油絵科の先輩と一緒に2時間の講演を聞く。奈良さんが自分のことをこれだけ語るのを聞く機会はなかったので、ちょっとしんみり・・・

20年ぶりの芸祭&染谷亜里可展_b0090333_2118592.jpg 講義棟横には夜のライブのためのステージも設置されている。私はこのステージで4年間歌ってたんだなーと感慨深い。3年の開きがある奈良さんと知り合ったのも、このライブステージ。油絵科の先輩と一緒にバンドしてたこともあり、私がステージに立つと、いつも奈良さんは一番前で踊ってくれてた。まさかあの芸祭に20年経ってまたやってきて、20年前に一緒にいた人と時間を共にするなんて思わなかった・・・。年取ったから、こういうことにやたら感動する。20年前と同じ場所、同じ店、同じ顔ぶれ・・・なんて幸せ・・・

20年ぶりの芸祭&染谷亜里可展_b0090333_21215017.jpg さらに嬉しいことに、奈良さんの講演を聴きにいらした櫃田先生とも再会!!!先生がいれば、OPEN前のおでん屋「ぽとふ」にだってフリーパス。店内に入れてもらって奈良さん特製奈良漬とノンアルコールビールをいただく。そしておでん!美味いっ!
 OB戦で40歳過ぎた先輩たちがまだ走ってたのにも感動し、奈良さんの講演に心動かされ、懐かしい先生に会って、科が違う私のことを覚えててくださった事に大喜びし、奈良さんの店で呑み(酔えないけど)、昔の仲間と顔をあわせることができるって幸せ。20年前に戻った瞬間。
(写真右側に見えているのは、店内に奈良さんが描いたビルボードの一部)

20年ぶりの芸祭&染谷亜里可展_b0090333_2124443.jpg しかししかし、今日は濃い1日なので、まだ終わらない。今度は名古屋市内に戻り、栄のKENJI TAKI GALLERYへ染谷亜里可新作展のオープニングを見に行く。亜里可さんも奈良さんと同じ時代の芸大油科の先輩。
 そこでまずあったのが、こちらも先輩の今村哲さん。まさに私が芸祭で同じステージに立って歌っていた「すげえバンド」のボーカル。私は入学して最初の芸祭で彼がストーンズを歌っているのを見たらいてもたってもいられなくなり、ステージを上っていって横からマイクを奪い、一緒に歌ったのがきっかけで、この油科の先輩方からお怒りをかった後に、すごく可愛がっていただけるようになったのだった。すべては芸祭から始まっている。今日長野から出てきて芸祭、この展覧会を一緒に回ったのも、油科の先輩ですげえバンドのキーボードという、バンドつながりの田村美奈さん。


20年ぶりの芸祭&染谷亜里可展_b0090333_2128470.jpg そしてこの展覧会のアーティスト、染谷亜里可さん(写真の顔部分を隠せといわれたけど、こんなにちっちゃいんだから目に黒線入れるのやめましたよ~)。
 こんなに一気に芸大時代の先輩方に会えることなんてめったにないから、なんだか自分の原点に戻れたような、新鮮な気分だった。長らく生きてきて、なんでも自分ひとりで決めて歩くのが当たり前になってたけど、包容力あるやさしい先輩たちと会って、甘えたがりの私はなんだかホッとした。タイムスリップした芸祭での1日、ホント~に濃い1日だった。

●染谷亜里可 新作展 「Table Canon」
2011年11月5日(土)~12月22日(木)
KENJI TAKI GALLERY 11:00~13:00/14:00~18:00
日・月・祝 休廊
名古屋市中区栄3-20-25
by midoriart | 2011-11-05 23:06 | Art