Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

2月23日◇バンドン挨拶巡り・その2

 バンドンのお気に入りホテルBumi Sawunggalingで泊まった朝、タクシーで北へ。最初に行ったのは去年8月に個展でお世話になったスラサール・スナルヨ・アート・スペース。バンドンの彫刻家スナルヨさんの私設ミュージアムだ。以前はずっとここに泊まって作品設置をしてたので、スタッフは清掃員までお友達。久しぶりにみんなの暖かい笑顔に迎えられる。
 お目当てのスナルヨさんに会って、お別れの挨拶。
「しばらくインドネシアに来ないのなら、後から私の新しい家に来なさい。心臓の病から、そっちで畑仕事して、プールにはいるようにしてるんだよ」
とスナルヨさんの新しい家に誘われた。


 b0090333_16342738.jpg まずはその前に今年頭にできたばかりのアートスペース、Lawangwanggiを見に行くことにした。ちょうどスペースの開館記念展覧会が終わったばかり。半分くらいが撤去されていたけど、まだ知人の作品数点を見ることができた。これはインドネシアの中堅作家メラ・ジェラスマの作品。


b0090333_1636730.jpg これは第2回シンガポールビエンナーレのインドネシア代表になった若手ユニットTramaramaの展示。小さなキャンバスに描いたドローイングを写し、それで動画を作って作品にしている。今年夏には日本の森美術館でも荒木夏実氏のキュレーションで展覧会が予定されている。


b0090333_16374829.jpg これが2階会場。窓ガラスを利用して切り絵作品を出品しているのは、私の妹分、バンドンの若手アーティストPrilla Tanya(プリラ・タニア)。向こうにはバンドン北部、ダゴの丘が見渡せる。
 にしてもこの会場もかなりリッチ。数学教授である女性がオーナーで、2階建てのでっかい建物は、前出のスラサール・スナルヨ・アート・スペースを手がけた建築家によるもの。でも正直なところ、展覧会を見るには動線がはっきりせず、今ひとつ見にくい。


b0090333_164102.jpg このLawangwanggiから丘を200mほど上ったところに、スナルヨさんの新しい家がある。大きな門を開けて中に招き入れられたら、バリの高級ビラですか?ってな景色が目の前に開けてきた。


b0090333_16422286.jpg まぁ、中まで見ていきなさい・・・と入ったお部屋はこんな感じ。すべてスナルヨさん本人のアイデアとスケッチにより出来上がっている。まー、この家と敷地全部が、彼の三次元の作品みたいなものなんだろう。にしても、なんでこのお爺ちゃん、こんなにセンスがいいのだろう。ため息が出る。これ本当にバリの隠れ家的な高級ビラにも全然ヒケをとらないぞ。


 スナルヨさんは去年私が個展でお世話になった後に、心臓を患って手術もされたという。そのために最近はあまり身体に負担のかかる立体作品の制作は控え、この新しい家の斜面に作った畑で野菜を育てたり、プライベートプールに浸かって歩いているという。
「え?プールまであるの?」


b0090333_16461956.jpg ありました~~~・・・
 プライベートプール。もう、これはバリです。UBUDです。Tjamphuanです。一緒に行った友達もみんな唖然としている。ため息しか出ない。

 最近のアートバブルでインドネシアの若手アーティストたちはみな成り金になり、土地を買い、家を建てている。そんなあまりに急激なアートの流れを見ていて心配だった私は、スナルヨさんの夢のような新居を見て、実はインドネシアの重鎮アーティストの中には、最近の一過性ブームとは無縁に、昔っから大型プロジェクト(パブリックアートなど)で経済力をつけているアーティストもいたんだなーとあらためて気づいた。
 スナルヨさんのすごいのは、年齢を超え、いろんな世代、いろんな分野の人とも分け隔てなく付き合い、とってもオープンであることだろう。
「そうか・・・ミドリは帰ってしまうのか・・・寂しくなるなぁ・・・」
とこぼすスナルヨさんに
「あの、ここで日本料理のできるコックがいるなら、私できますが・・・」
と半分本気な冗談をかえす。


b0090333_16532148.jpg 最後にスナルヨさんと記念撮影がしたくて、どの場所が一番気に入っているか聞くと、景色を眺めながら執筆をするデスクが好きだと言われたのでこの場で撮影。


 そして夕方まで昔からの仲間とお茶しながら喋りまくり、ジョグジャへ向う夜行電車でバンドンに別れを告げた。
by midoriart | 2010-02-23 23:28 | Bandung