Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

2月1日◇ジョグジャ・アートツアー1日目

 東京のお洒落エリア六本木に建つ森美術館。53階にある展示スペースは、「世界で一番高いところにある美術館」でもある。今回この森美術館のキュレーターAさんがインドネシアへいらっしゃるにあたり、ジョグジャの現代美術の様子を視察すべく、私が2日間コーディネーターとしてお付き合いすることになった。


b0090333_16401791.jpg まずは前出の記事『シダルタ回顧展』を開催中のJNM(ジョグジャ・ナショナル・ミュージアム)へ。シダルタの作品を初めて見るというAさんも、彼のマルチな才能に驚かれた様子。
 JNMは昔の芸大校舎の再開発でできたミュージアムで、2008年には国際交流基金による大規模な日本アーティストの展覧会も開催された会場。当時も現地コーディネーターとして数ヶ月働いた私にとっては、かなり親しみのある美術館でもある。その頃にはまだなかったレジデンス用施設も今では完成している。


b0090333_16435080.jpg これが部屋の中。ホットシャワー付きのダブルとツインの部屋が3部屋、AC付きが1部屋、そしてドミトリーが1部屋。なかなかの施設。これが2年前にあったなら、きっと日本から来た若手アーティストもここに泊まりたいといっただろう。


b0090333_16451990.jpg その後、私のオススメなジョグジャのアーティストを訪問し、夕方からはバリ人の友達が最近建てたばかりの、ジョグジャでもっとも新しいアート・スペースSangkringへ。


b0090333_16462593.jpg この大きなスペースが、まだ30代前半のバリ人アーティスト個人の持ち物だというんだからインドネシアも凄い。生きてるうちにそれも若くしてこんな立派な個人ミュージアムを作れちゃうのがインドネシアだなぁ~。本当にここ数年、中国アートバブルがインドネシアに飛び火して以来、この国の現代美術マーケットは気が狂っちゃったように見える。
 ましかし、彼のように作品が売れたお金を貯めてこんな立派なスペースを作り、後輩アーティスト達の発表の場として運営してるってのは頭が下がる。そうそう、彼の名はPutu Sutawijaya、我々親しい仲間は彼をリヨンと呼んでいる。


b0090333_16543585.jpg 2階もまだまだこんなスペース。森美術館のAさんも、
「これ、ミュージアムですよ。ギャラリーってレベルじゃないですよね・・・」
とつぶやく。驚くなかれ、Sangkringは今も建設途中で、メインの建物の他に、ミュージアムショップ、カフェ、木工スタジオ、金工スタジオ、陶芸スタジオなど様々な素材が扱えるスタジオと、海外から来たアーティストが滞在できるようなレジデンス施設までプランされている。裏を除いたら、まだまだ土地はずっと奥まで続いていた。


 驚くべき現代美術バブル。こうやって実物を見ると本当にスゴイ。明らかに彼なんかは日本でいうところの「勝ち組」だろうな・・・。でも彼のすごいのは、それを独り占めするでもなく、村人に(建設の職人は近場で雇っている)、芸大の後輩たちに、こうして還元するところだろう。Sangkringは2009年11月に開催されたジョグジャ・ビエンナーレの一会場としても思い切り活躍した。

 Aさんの言葉が印象に残った。
「日本にもわずかに成功したアーティストっていますけど、彼らが他者に何かを還元してきたかっていったら、なにもないですよね。ここのアーティスト達が、こうして周囲に還元しているってのは本当にすごい。素晴らしい・・・」
 確かに、それがゴトンロヨン(相互協力)のインドネシアなのかもしれない。
by midoriart | 2010-02-01 16:36 | Art