Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

10月6日◇帰ってきた東:パダンからの報告

 東が被災地パダンから帰ってきた。東(あずま)というのは私のジョグジャの友人でれっきとしたインドネシア人。本名はチャハヨ・インダという。彼とは3年前ジョグジャの地震で知り合い、縁あって9ヶ月間、一緒にジョグジャの被災地で救援活動をした仲。

 最近しばらく彼とは連絡をとっていなかったのだけれど、先日電話をしたら案の定、彼はすでにパダンにいた。
「お~ミドリ、こっちはスゴイことになってるよ(ゴホンゴホン・・・)、今度戻ったら会おう」
そして今日、彼がパダンで撮った写真をもってうちに寄ってくれた。3年前に経験があるからわかるけど、彼は今もまだ咳がとまらないようだ。なんせあのガレキの中を動いてきたのだから。


b0090333_1783218.jpg 彼はインドネシアのボランティアグループに所属しているため、スマトラ地震が起きてすぐ、ジョグジャ500名のボランティア団の一人として専用機でパダンへ飛んだのだった。とにかく身ひとつで飛び、現地で活動をするために。


b0090333_171075.jpg 以下、つい今しがた聞いた彼の話。
「ミドリ、とにかくスマトラの地震はひどいよ。なんせジョグジャがM5.9だったろ?今回はM7.8だからね。それに起きた時間がよくないよ、大きな建物にたくさん人がいる時間だったからね」


b0090333_17113027.jpg 「とにかく4階、5階立てのビルがひしゃけて1階くらいの高さになっちゃってるんだ。その下敷きになってる人が100人いるっていったって、引っ張り出せるもんじゃないだろ?
 僕が見たのは足だけ挟まれて、瓦礫から出られないおじさんだよ。まだ生きてるんだけれど、誰も彼を助けれらないんだ。2日間そこにいるんだよ。たまらないよ。おじさんは足を切ってくれ、出たいから切ってくれって言うんだ」
「で、どうなったの?」
「切ったよ。そして助け出された」
「ちゃんと麻酔したの?」
「医者もその場にいたんだけれど、麻酔はできないっていうんだ。もう年寄りだし、2日間もそこにいるんだよ。心臓への負担が多すぎるから麻酔はできないって。でも本人がもう足の感覚もないからとにかく切って出してくれっていうから切ったんだよ。この人はいい方だよ、命は助かったんだから。下敷きになったまま、飢えや疲労、出血多量で命を落とした人たちもいっぱいいるんだからね。オマケに雨に降られて」


b0090333_17155819.jpg 「日本の救援隊も見かけたよ。しかしスイスはすごいよ、道具がすごいんだ。救助犬の首についてる道具は、人間の心臓の鼓動に反応するんだよ。だから犬が人間を見つけて近寄ると、その道具が発見された人の生死を判断することができるんだ。とにかく今回は救助犬が大活躍しているよ」


b0090333_1718328.jpg 「生存者の救出作業は今日で打ち切られるんだ。もう明日からは瓦礫を壊すために大きなブルドーザーが入るんだ」
「え?でもまだ確実にその下に何百人の人がいるんでしょ?」
「でももう、丁寧に瓦礫を取り除いてる時間もないんだよ。もう次は伝染病が危なくなってくるし。だから犬はずっと働くんだよ。反応があれば、その場所はちゃんと調べて遺体収容することになるんだろう」

 話を聞く限り、ジョグジャの地震よりもひどそうだ。人口の違いがあるため、国内でも異常な人口密度のジョグジャでは犠牲者5000人とも言われた。パダンはもともとの人口が少ないため、最終的に1000人ほどの犠牲者になると予想されている。ただ被害状況は都会でおきたそれに近く、街の復興には相当な時間がかかるだろう。亡くなった方の冥福を祈るとともに、チャハヨのように身体をなげうってボランティア活動している若者たち、また各国からやってきて人命救助に携わっている救助犬くんたちにも敬意を表したい。
by midoriart | 2009-10-06 17:22 | Indonesia