Culture & Art Report from INDONESIA


by midoriart

8月24日◇カルティカ・アファンディ・ミュージアム

 インドネシア近代絵画の父といえばアファンディ。ジョグジャには彼が亡くなるまでスタジオとして使っていた家がそのまま美術館となって今も国内外の来客を迎えている。感情を剥き出しに、激しいタッチで描かれた彼の作品は、今でもオークションで高値がつけられ、過去には福岡のアジア美術館でもインドネシア・アーティストとしては初の個展も開催された(もちろん、そのときには残念ながらすでに本人は他界していたけれど)。
 彼が溺愛した娘のカルティカ・アファンディも父の血を受け継いで絵描きになった。父の影響で若い時期から日本を含めた海外での経験も多い彼女はインドネシアでは珍しいセンスの持ち主。70歳を過ぎた今もエネルギッシュに制作を続けている。

 彼女のことはインドネシアに来て当然知っていたけれど、彼女が私を知ることになったのは2004年のこと。ジョグジャの国立アートセンターで開催された女性アーティストばかりの展覧会で、彼女も私も招待されて出品していた。そのときの私の作品を彼女がいたく気に入ってくれて、家に呼ばれたとき、作品を購入したいと言われたのだった。
「もうすぐ私のミュージアムを作るのよ。その中に私がコレクションした女性アーティストの作品も展示したいの。これをそこに置きたいのよ」
 世の中いろんなアーティストがいるだろう。最近のインドネシアでは老いも若きもアートバブルに乗って「売れてなんぼ」が主流になっている。もちろん作品で食べていけるのはいいことだろうけれど、私は自分の手から生まれたものがずっとインドネシアに残って、多くの人の目に触れるということがとても魅力的だった。


b0090333_2221939.jpg とまれ、2004年にすでに買っていただいた私の作品は、ミュージアムが出来上がるまで保管しろとのカルティカからのご用命で、5年もの間私のスタジオに眠っていた。これがこのたびようやく彼女の元で作品として展示室にセッティングされることになったのだ。
(※写真はカルティカの作品展示室)
 

b0090333_21593869.jpg ジョグジャ北部カリウランに作った彼女の私設ミュージアムはまだ七割ほどの出来。それでも彼女のセンスがそのまま実現された空間だった。6000平方メートルの敷地に5つの建物があり、その一つが私の作品を含む彼女のコレクション作品展示室になるとのこと。最初に行き当たるのがこの部屋で、お花のハットをかぶった彼女は相変わらず元気に大工に指示をしている。


b0090333_220444.jpg 正直言って彼女の作品は多大に父の影響を受けている。一つ大きく違うのは、彼女は人間の性器をはっきりとモチーフとして使うことだ。私は彼女の作品タイプを時代順に把握するほどには詳しくないが、私が知り合ってからというもの、チンチン関係の作品をやたら目にする。今日見せてもらった彼女の作品展示室にも、立体のチンチン作品がたくさん並んでいた。
 なんたって今は父のもってるアファンディ・ミュージアムに700点の作品が置いてあるらしい。それをここで全部展示するなんて不可能で、入れ替えをしたり、企画展をしたり、なにしろこれだけの敷地と設備なので、ちゃんと全部をコントロールできる専門職の人を入れる必要もあるとのことだった。
(※絡み合うコミカルなチンチンの先っちょは鶏だったり犬だったりする)


b0090333_2204139.jpg そして久々に自分の作品の梱包をとく。5年ぶりに人目にさらされるんだなー、これ。はいいけど、作品と展示室の素材、色みがあまりに同じで、これ一体いいことなのか、悪いことなのか???
今日は久しぶりにカルティカ(私は彼女をマミーと呼んでいる)に会って、お話しすることが山ほどあったので、セッティングは半分にして、食事したり彼女の今後のプランを聞いたりで時間が過ぎた。


b0090333_2211213.jpg なんたってこのスタイルなんだから。インドネシアの70歳過ぎでこんな人はそんなにいない。女優かカルティカかってくらいじゃないだろうか。彼女に会うたび思うけど、こんな制作意欲の尽きない、それでいてソフトででしゃばらない、可愛いおばあちゃんになれたらいいな~~~。


b0090333_2213621.jpg 展示室に入る予定の他の作品がまだないこともあって、空間の全体を見てからしかセッティングできない私の作品はそれぞれのポジションを決定できず、今日はここまで。他の作品が入って一段落した頃に再度お邪魔して最終仕上げをすることにした。カルティカ・ミュージアムの正式なオープニングは今日のマミーの話では来年になっちゃうだろうとのこと。でも11月26日のマミーの77回目の誕生日には、みんなを呼んでここで宴らしい。作品が皆さんの目に触れるのはその時になりそうだ。
(※女性アーティストのコレクション展示室)
by midoriart | 2009-08-24 21:57 | Art